表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

再会

「おいおい、ほんとにいんのかよ。アップルちゃんはよぉ」

「きっと、姉さんはいるはずだ……」

「とは言ってもよ。こんな広い街で、しかも女の子がこんな夜に歩いているもんかね? シーナくん?」

「そう呼ぶのはやめろ」

 シーナの隣を歩いているのは黒い長髪、長身の男だった。尖ったナイフのような鋭い目をしている。

 二人が並んで歩くと、身長さが際立つ。シーナはまだ少年と言った感じで、背は高くはない。

「おお、怖いな。悪かったよ」

 シーナは答えない。

「ったく、いつまで続けるんだか……」

「聞こえてるぞ、エドガー」

「へいへーい」

 全く反省のない様子で、エドガーは応じた。

 二人は暗い夜道を歩く。途中で風俗店や居酒屋にエドガーが入ろうとするのを、シーナは止めた。

「それにしても、明日の作戦大丈夫かね? シーナ殿?」

「二人だけだと厳しいものがあるな……」

「日程をずらすことはできるのか?」

「できないな。ソルデ王国から影縫いを送り込む都合もある。それに、日程をずらすのにも、連絡取ることはできない」

「そうだな、傍受されるだろうな。魔法を介しての連絡は無理、かと言って手紙では遅すぎるか」

「明日、やるしかないんだ」

 エドガーは仕方ないな、と言う表情をして頷いた。

「でもさ、問題っつーかなんつーかだけどよ」

「なんだ?」

「相手は預言者様、だろ? 俺らの作戦、丸わかりなんじゃないか?」

「かも知れない……。しかし、それを考慮した上での作戦なんだろう。だから、俺達が遣わされたわけだ」

「そうだな……。いやぁ、楽しみだ。暴れていいんだろ? 戦いの時はよ」

「……ああ」

 苦渋の表情をしながら、シーナは頷いた。シーナはエドガーの魔法を知っている。それが、同数の兵士や魔法使い達が戦う、まっとうな戦争であるなら、暴れてもいいなんて言えない。

 しかし、今回の作戦の場合は違う。多勢に無勢、だ。エドガーの魔法は、そういう条件下で際立つものだからだ。

「あ」

 突然、視界の端をよぎったのは女性の姿だった。エドガーが最初に気づき、それとほぼ同時にシーナも気づいた。

「姉さん!!」

 それは、アップルだった。

 すぐにシーナはアップルのもとへと駆け寄る。エドガーはそれを眺めながら、ゆっくりと歩いている。

「シーナ……」

 アップルはシーナの姿を見た途端、安心したのか、意識をなくして体のバランスを失う。シーナは倒れかかった彼女を抱きかかえる。

「姉さん! 大丈夫!? 姉さん!!」

 ――体調不良なのか!? それとも、怪我でもしたのか!? 

「姉さん!!」

「おいおい、寝息立てて寝てるだけだろ。心配しすぎだって」

 そう言われてみると、確かにアップルはシーナの腕の中で寝息を立てていた。

「さ、宿に戻ろうぜ」

 エドガーは振り返り、歩きだす。

「お、おいちょっと待て!」

「あー? どうせ、俺にアップルを触らせる気ないだろ?」

 そう言われて、シーナは答えることができなかった。

「ま、おいてかねーよ。いくか」

 シーナはアップルを抱え、とりあえず自分達の宿に戻ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ