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ダンジョンの魔物使い  作者: 佐藤龍
第2.5章 日常
83/111

9話『人とエルフ 3』

色々書きたかったですが、端折ってます

ブックマークの登録、よろしくお願いします。

下の方に評価や感想が出来ますのでしてもらえると、励みになりますので何卒よろしくお願いします

 予想を現実にする。

 それは過去の時に未来の事を想定し、行動すること。

 ただ、灰からすればその想定していた未来は否定したいものであり、避けたいものであった。

 出来れば来ないで欲しい、そんな事を考えながら大型ショッピングセンターに行くと、予想していた未来はあっさりと合致する。

 

「誰、あれ?」


「綺麗」


 男女問わず、そんな声が聞こえる。

 それだけリベレッサに注目が集まっていた。

 真由も綺麗だ。見れば目を奪われる。

 しかし、相手が悪い。

 

 リベレッサの美貌は人の範疇を越えている。

 人ではないのだから、当たり前なのだが。

 

「なんだか、一杯見られてますね」


 多くの人から視線を集め、リベレッサは困惑していた。

 

「エルフの村ではなかったのか?」


「なかったです。基本的に皆美形揃いといいますか、ここまで注目されませんでしたから」


 全てが外人の村と、外人一人にあとは日本人の村なら、視線が一点に集まるのは当然の事か、と灰は自分なりに納得する。

 

「ここまで見られると、逆に凄いわね」


 真由も感想を漏らす。

 ただ歩くだけで、視界に入ったリベレッサを見てそのまま追いかけている。

 そして、当然ながら隣にいる灰にも視線が向かう訳で、

 

「なんだよ、あの冴えない男」


「釣り合わねえ」


 もし灰が逆の立場だったなら、同じ感想を抱いていただろう。だから、反論する言葉が見つからない。

 

「言われ放題ね」


 灰の妬み、僻みの言葉を聞いて真由が漏らす。

 大型ショッピングセンターに向かう道中、そして入っても尚聞こえる言葉に、もうわざと聞かせるように言っているのではないか、そう錯覚させた。

 

「まあ、事実ですし」


「そうね。あなたも服を買ったら」


「必要性が感じられないんですよね。それよりもダンジョン用の武器とか防具にお金をかけたいですし」


 冒険者として、服でオシャレするよりもダンジョンに向けてのお金を使いたかった。

 もしお金に余裕があるのなら、服にも使えただろうが、今はそんな余裕がない。

 

「なら、私も服は……」


 灰の話を聞き、遠慮しようとするリベレッサだが、

 

「いや、買いなさい。というか買え。俺の目の保養になるから」


 美人を見ていても飽きない。お洒落をすれば尚更だ。

 そんな事を話していると、服屋に着いたのだが……。

 

「ねえ、ここって下着のお店だよね?」


 真由が先導し、それについてきた二人が真っ先に来たのはランジェリーショップだった。

 

「そうよ。リベレッサにも必要でしょ?」


「ええ、まあ。必要ですけど……」


 一言で言うと、居心地が悪い。

 男からすれば魔境。近づきがたい聖域なのだ。

 灰の取る行動は一つ、戦略的撤退。

 

「あとはリベレッサを頼みますね。俺は冒険者専門のお店に――」

 

 即座に離れようとする灰だが、

 

「そういえば、言ってなかったわね。リベレッサの付けているネックレスの対価」


 何故それを今? その言葉が口から出ようとして飲み込む。

 このタイミングでそれを言うという事は、一つしかない。

 

「あなたも来るのよ、灰。師匠命令」


 その言葉に、灰が思い浮かぶのはランジェリーショップに入った後の事。

 並ぶ女性用の下着を見て、手に取り、撫で、

 

「この肌触りは良い物だな」


「これはリベレッサに似合いそうだ」


 そんな事を言う自分を想像し、さらにその灰を見るお客さん。引いた状態で灰を見つめ、しまいには。

 

「お客様」


「はい?」


 店員に呼ばれる始末。

 想像は一瞬だ。数秒も経っていない。

 しかし、その破壊力は絶大であった。

 灰のメンタルライフポイントが一気に、ガリガリと削られていく。

 

「俺、変質者の仲間入りか」


 ぼぞりと呟くその言葉に、真由が必死に笑いを噛み殺していた。

 

「じょ、冗談よ。冗談。流石にリベレッサの下着を選ぶのに、あなたが一緒に居られる訳ないでしょ」


 その言葉を聞いて、灰はまるで救われたと言わんばかりの笑顔を浮かべる。

 逆に、リベレッサはえっ? と驚いたような顔をしていた。

 

「近くにいてくれないの?」


「そりゃあ無理でしょ」


 真由がキッパリと否定する。

 

「だって男よ。あなたは彼に自分の下着姿を見せつけたいの?」


 そんな事を言われ、リベレッサは理解したのか言葉が詰まる。

 何故リベレッサがそんな思いをしたのか、灰にはすぐに分かった。

 

「リベレッサ、寂しいのは分かる。ここに来てまだ一週間も経っていない。信じられるのは俺くらいだろう。だけど、真由さん、師匠を信じて欲しい。この人はガサツで人を虐める」


「ちょっと、悪口を言わないでくれる?」


 さっきの仕返しを、さりげなく混ぜる。

 

「けど、信用出来る人だ。俺を救ってくれたから」


「……はい、分かりました。頑張ってみます」


 ここはダンジョンじゃない。

 力は使えない、か弱い乙女なのだ。

 灰はリベレッサを後押した。あとは、二人に任せるしかない。

 

 

 

 ランジェリーショップに来た真由とリベレッサは、買うためにも下着のサイズを知らないといけない。

 リベレッサはそういう類は知らないだろうから、まずは測定をしてもらう必要がある。

 下着を手に取るよりも先に、リベレッサを試着室に連れて行く。

 

「今から胸のサイズを測定するけど、胸の下着とか何かしてる?」


「えっと、サラシを巻いてます」


「サラシ?」


 リベレッサは頷く。

 

「戦闘すると、胸が揺れて痛いので」


「ああ。なるほど」


 合点がいき、真由は納得する。

 

「なら、そのサラシは外して。あと、測定は服の上から測るから脱がなくていいわ」


「はい」


 サラシを外すために、真由は開いていたカーテンを閉じる。

 その際、見えてしまった。

 服の中に両手を入れ、サラシを取ろうするリベレッサが。サラシを取り、胸のサイズが少しばかり大きくなったのが。

 

 あれ? サイズが大きくなった? 着やせ? それとも締め付けてる……。

 同じ女性。種族は違えど女性。

 真由も自分の美貌には自信があった。しかし、その美貌が正面から打ち崩され、さらに胸のサイズすら……。

 

 内側から崩れていく音を聞きながら、真由は店員に測定をお願いするのであった。

 

「サイズは……Cですね」


 店員がリベレッサの後ろに周り、メジャーを使って胸部を測定した。

 リベレッサはもうされるがままだ。

 

「ブラジャーはどうしましょう?」


 店員がリベレッサに返事を求めるが、当のリベレッサはなんて答えていいか分からず、戸惑っているのを見て真由がフォローする。

 

「寒色と暖色のを適当に見繕ってもらっていいですか? あとは試着して選ぼうと思います」


「かしこまりました」


 店員はそう言って、去って行く。

 

「これから、大変よ。頑張って」


「え?」


 真由の言葉に、リベレッサは困惑する。

 リベレッサは試着というものを知らない。

 これからは一人の戦いだ。そして、絶世の美女であるリベレッサが下着を着るのだ。

 胸の測定をしていた店員の目が、激しく燃えていたのを真由は知っていた。

 

 真由は何もできない。だからこそ、せめて助言することしか出来ない。

 昔の自分が、同じ思いをした時を思い出しながら。

 

 最終的には下着は五つ買い終わったが、終わる頃にはリベレッサの精神はすり減っていた。

 

 

 

 下着を買い、服を買い、そして家に戻って来た。

 真由とは大型ショッピングセンターを出る時に分かれている。

 ついでに夕食を買い、灰の左手には食料の入ったレジ袋と大型ショッピングセンター買った色んな物が入ったレジ袋。

 リベレッサの両手にはランジェリーと服の詰まった袋が。

 

「まずはお疲れ」


 食材をキッチンに置き、大型ショッピングセンターで買った物をリビングの食卓に置く。

 

「お疲れ様です」


 肉体的な疲労はないかもしれないが、精神的な疲労があるらしく、かなり疲れていて顔にでている。

 床に服の入った袋を置くと、リベレッサはソファにダイブした。

 

「大変だったみたいだね。終わるのに時間かかったし」


「ええ、まあ……」


 リベレッサはとうの昔だと、少し前の事を過去に葬り去っている。

 灰も又、リベレッサが買い物した時の光景を思い出す。

 店員たちが笑顔で、お辞儀をして見送る様は圧巻だった。

 

「疲れている所悪いけど、ちょっと来てもらえる? プレゼントがあるんだ」


「プレゼント?」


 顔を起こし、立ち上がったリベレッサが近づいてくる。

 

「まずこれ。リベレッサ専用の御茶碗とお箸、あとコップ」


 この家に住むのだ。彼女用の物があっておかしくない。

 リベレッサ専用。その言葉を聞いて、目を丸くさせたリベレッサは、嬉しそうに目を潤わせる。

 

「あとはスラ参とヤークトのお皿は置いといて。あとは料理本も置いといて」

 

 料理本を食卓の上に置くと、リベレッサが反応する。

 

「これは?」

 

 正面に料理の写真がプリントされたその本は、一目で料理に使う時の本だと分かる。

 リベレッサはペラペラとページを捲り、軽く中を読む。

 

「それは料理の手順を書いてる本だよ。リベレッサと一緒に暮らすことになったし、ちゃんとした料理を作らないといけないからね、買ったんだ」


 一人暮らしだったら適当に済ませたが、リベレッサもいる以上は適当で済ませることは出来ない。

 少しは勉強しよう、そう思って買ったのだ。

 

「ん?」


 料理本を読むリベレッサが、今まで以上の集中力を発揮していた。

 かじりつく様に読んでおり、思わず心配してしまう。

 

「どうしたの?」


「いえ、なんでもない」


 料理本から目を離したリベレッサは、それを胸に抱える。

 

「私、料理を作ってみたいです」


「本当? なら一緒に勉強しようか」


 できるなら二人で一緒に作りたい、そんな淡い気持ちが灰の心の中にあった。

 だから、それが叶って嬉しく思う。

次から三章になりますが、ストックがないので毎日投稿できません。

二日に一回の更新で、ストックが溜まり次第毎日更新に移ろうと思います

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