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ダンジョンの魔物使い  作者: 佐藤龍
第2.5章 日常
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5話『進化と条件 2』

「それでどうするの、進化先は?」


「今の悩みの種がそれなんだよね」


 リベレッサの濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、入浴中に起きた事を話す。

 今は浴室の洗面台前。そこにしかドライヤーが置いていないため、わざわざ移動したのである。

 

「正直に言えば、スラ参はほぼほぼ決めてる」


「何に進化させるの?」


「一号、バランス型」


「どうしてわざわざバランス型に? 個性を伸ばそうと思わなかったの?」


「勿論思ったさ。だけど、今後の事を考えるとスラ参はバランス型の方がいいと思うんだ」


 最初、スラ参は防御に使っていた。盾や鎧代わりにし、魔物の攻撃を受け続けた。その理由はヤークトだ。

 ヤークトは俊敏で、瞬く間に懐に潜り込んで襲い掛かる。ただ、弱点として打たれ弱い一面もある。

 

 そのこともあって、ヤークトを集中攻撃されないためにも盾になるしかなかった。

 だが、変わったのはエルフの森に迷い込んだ時だ。ヤークトが戦うのは勿論だが、武器に防具も持っていないこともあって、盾としての機能を十全に発揮することはできない。

 攻撃こそ最大の防御、なんて言葉もある通り、スラ参を利用して攻撃した。そのお蔭で生き残れたし、スラ参の利用に幅も広がった。

 そういう事もあって、スラ参はどこかに特化させるよりかは今のまま成長してもらった方が良いというのが俺の考えだ。

 

「問題はヤークトのほうだ。バランス型がないせいで、どこかを特化させるしかない。そこが悩みなんだよ」


 ヤークトの進化先は奇襲特化、戦闘特化、索敵特化の三つ。どれも使う。それだけヤークトを頼りにしていたというのもあるのだが、悩ましい。


「それで私にお悩み相談をしたという訳ね」


「ああ。リベレッサも新しく仲間の一員にもなるんだし、仲間外れにするわけにもいかないだろ?」


「そうね。もし仲間外れにしてたら拗ねてたかも」


 良かった、と内心ホッとしつつドライヤーを温風から冷風に切り替える。髪はもう大体乾いた。後少しだ。

 

「冗談だけどね」

 

 リベレッサは小声でいたずらっぽく、最後に付け加える。

 

「私から言わせてもらうと、一緒に戦ってきたとはいえ決めるのは灰だと思う」


「だよね。それは知ってるけど、進化したのを戻すなんて出来ないだろうしな~」


 リベレッサから助言が貰えないと思い、灰はどうしようと悩む。

 もし進化した後に戻せることが出来るのなら、全て試す。ただ、進化した場合は戻すことはきっと出来ないだろう。

 そう考えて行動したほうがいい。適当に選ぶより、考えに考えた上でどれに進化させるか決めたい。


 悩む灰にリベレッサは、


「今のフォーメーションの事を考えた方が良いと思う」


「今のフォーメーション?」


「うん。私が新しく入ったでしょ、だから戦い方も変わると思うの」


「ああ、確かに」


 灰の頭にあるのはリベレッサが加わる前のフォーメーションであり、リベレッサが入ったのに加えていなかった。

 そうなると、少し話が変わって来る。

 

「よし、髪も乾いたしあとはリビングで話そう」


 櫛で髪を整え、リビングに移動する。

 長話することにも備えて冷えたお茶を用意し、ソファに隣同士で座る。というか、リベレッサが離れようとしない。

 近くにはスラ参やヤークトもいて、広いはずのリビングがとても狭く感じてしまう。

 

「まずはリベレッサが出来る事を考えようと思う」


 フォーメーションを考える上で、まずはリベレッサが出来る事を今一度再確認した方が良い。

 ついでに、スマホの冒険者アプリを開き、マイページに移動してテイムしている二匹と一匹を確認する。

 リベレッサを『テイム』した事で、ステータスを見る事が出来ると考えたからだ。

 

 魔物名:エルフ 名前:リベレッサ

 体力:E

 魔力:C

 膂力:E

 頑強:F

 俊敏:D

 器用:B

 英知:B

 

 スキル:四大精霊の加護 視力範囲拡大

 

 完全に後衛だ。ただ、四大精霊の加護が気になる。

 

「リベレッサ、これ」


 彼女にスマホの画面を見せると、眉を細めて分からないという顔を浮かべている。

 知らない、のか?

 

「今見せてるのがリベレッサのステータス、自分の能力なんだけど、この四大精霊の加護に見覚えは?」


「ない。私は風の精霊しか加護が貰えなかったのに、なんで?」


 リベレッサも分からないらしい。という事は、新しく生まれた四大精霊の主であるエルフが原因ということになる。

 災厄の竜を倒した後の事を思い出していると、五体目の精霊を思い出した。

 そういえば、契約はしたけど名前がまだだった。後でやっとこう。

 忘れないように、脳内に記憶しつつ話のレールを元に戻す。

 

「きっと長が原因なんだろうね。リベレッサの知らぬ内に、加護を渡したのかも」


「多分。私には記憶がないし」


「それで話を戻すけど、リベレッサが出来るのは弓と精霊魔法でいいのかな?」


「うん。精霊魔法は前までは風しか使えなかったけど、その時は風向きを操って匂いで索敵したり、毒煙を魔物の方に流したりとしてたかな」


 やること案外えげつないな。しかし、リベレッサも索敵は出来るのか。

 その事についてもう少し深く尋ねてみると、

 

「索敵は出来るけど、常時精霊魔法を使えるわけじゃないかな。魔力の消費もあって辛いんだよね」


 灰の頭の中で二つの選択肢に狭まった。そして、今後の事、先の事を考える。新しく仲間が増え、さらに強敵とも戦う。そうなると、灰の中には選択肢が一つになっていた。


「よし!」


 スマホを素早く操作し、進化させる。

 

 魔物名:スライム→スライム試作一号 名前:スラ参

 体力:F→E

 魔力:F→E

 膂力:F→E

 頑強:C→B

 俊敏:F→E

 器用:F→E

 英知:F→E

 

 スキル:溶解液

 

 スラ参のステータスは、全体的にまんべんなく上がった感じだ。

 

 魔物名:ハロンド(特異個体)→闇夜に潜む暗殺者≪ハイドオブアサシン≫ 名前:ヤークト

 体力:E→E

 魔力:F→E

 膂力:E→E

 頑強:F→F

 俊敏:D→C

 器用:F→E

 英知:E→D

 

 スキル:威嚇 new:風脚

 

 ヤークトの進化先は奇襲特化の方を選んだ。ステータス的には特化させるであろう部分が上がった、ということなのだろう。

 膂力が上がらなかったのは不服だが。

 最後まで悩んだ進化先は索敵特化で、悩んだのだが今後の事を考えると、戦闘であまり戦わせられないということは出来ないと思った。

 

 リベレッサも加わった今、チームの全体的な底上げはできたと思うが、より一層リベレッサを狙われる可能性が上がる。

 そのためにも、ヤークトには背後から襲ってほしい、そういう意図も含めて奇襲特化を選んだ。

 

 そして、何故か見知らぬスキルが増えている。なにこれ?

 風脚。それは災厄の竜との戦いでヴァシュマリーを呼び出した上で、『ONE FOR ALL』を発動した時に手に入れた借り物の力だったが、ヤークトの実力で自身の糧にしたのだ。

 

 二匹を進化させた途端、近くで遊んでいたスラ参とヤークトがぐったりと倒れたと思うと、この場から消えた。

 

「スラ参! ヤークト!?」


 突然の事に困惑し、名前を呼ぶが応えずに消えたと思うと、スマホが振動する。

 目を向けると、『テイム』欄にあるスラ参とヤークトの名前の隣に二四:〇〇という時間が一秒ずつ減っていた。

 もしかして、進化した事が影響か? というかそれしか考えられない。

 無事な事にホッと安堵しつつ、元気に遊ぶ二匹を見たいと思うのであった。

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