7話 『特異個体』のテイム
ブックマークの登録、よろしくお願いします。
下の方に評価や感想が出来ますのでしてもらえると、励みになりますので何卒よろしくお願いします
ハロンドをスラ参と一緒に倒せるようになり、灰は特異個体と呼ばれるハロンドをテイムすることを決心した。
そのために準備しないといけない物がある。消臭スプレーだ。
特異個体のハロンドは消臭スプレーの匂い、化学薬品を嗅ぎ分けることが出来るらしく、スーパーに行って購入する。
ネットでハロンドの特異個体について調べていると、他の冒険者も探していた者がいたらしい。
それは少し昔の事で、今のログを確認してみると見つからなくて諦めたようだ。
すぐに見つからないと知り、灰は長期戦になると悟り、ハロンドの特異個体のテイムを休日の土日にすることにした。
その間、アイテムの購入のためにひたすらハロンドを倒して魔石を回収する。
休みの日、灰はハロンドの特異個体をテイムするためにダンジョンへ向かう。休みの日という事もあって、人は多い。
地下二階も人は多いが、ほとんどは通り過ぎていくだけ。皆の目的はさらに下のようだ。
正規ルートから離れ、人がいない所まで移動して灰は自分に消臭スプレーを使った。
あとは待つだけ。
普通のハロンドは消臭スプレーを使うと匂いが特定できず、滅多に遭遇しないため残った時間は待つしかない。
スラ参を召喚して猫で遊ぶように、撫でたり抱き上げて揉んだり、嫌われない程々な感じで遊び続けて三時間。流石にスラ参で遊ぶのも飽きて歩くか、と立ち上がった時に何かが近づく音が遠くから聞こえる。
やっと来たか。
消臭スプレーを使っている以上、嗅ぎ分けられるのはハロンドの特異個体だけ。普通のハロンドは来ない。
剣を抜いてスラ参を盾に貼り付かせて準備万端にした時、灰の眉に皺が寄る。
ハロンドが近づく音が近づく事で徐々に大きくなっていく。それは問題ないのだ。問題なのは、複数の足音が聞こえる事。
灰の不運な事は二つ。今回嗅ぎ分けたハロンドの特異個体が強力だという事、そしてもう一つは群れを率いるリーダーだという事だ。
基本的にこんな事はあまりない。
ただ、正規ルートから外れた事で冒険者が寄らないため魔物達は生き生きと生活していた。
その結果、ハロンドの特異個体が群れを率いるほどになった
正面から迫るハロンドの群れ。先頭を走るのは群れのリーダーのようで、他のハロンドよりもさらに一回り大きく、凛々しい顔つきをしている。より狼っぽくなっている。
ハロンドの群れが灰の正面、少し距離が離れた所で止まると群れのリーダーが吠えた。それはまるで、襲えと言っているかのようだ。
群れのリーダーが吠えた事を合図に後ろにいたハロンドの群れが灰に襲い掛かる。
数にして十弱。群れで移動しているせいで、数を正確に数えている暇がない。
「スラ参!」
戦闘だ。灰は盾に貼り付くスライム、スラ参の名を呼ぶと理解してくれたらしく先頭を走るハロンドに溶解液を吐き出した。
正面から迫る溶解液に、先頭を走るハロンドは横に移動して避けるが、後ろにいたハロンドは避けられず顔に浴びてしまう。
人の肌を溶かすほどの力を持たない溶解液だが、目に入れば流石に効果はある。
もがき苦しむハロンドは足を崩し、転倒する。それは後続のハロンドにも影響与えて交通事故を引き起こした。
迫るハロンドの群れの一部を引き剥がし、灰に迫るハロンドの数は三体。
その内の一体は、既に灰が処理した後だ。
スラ参が吐き出した溶解液は囮で、吐き出してすぐに距離を詰めた。溶解液を避けたハロンドの目前にまで灰が迫っており、避ける暇も与えず斬りかかった。
一体を処理すると、残り二体が挟み撃ちするように襲い掛かる。
挟撃に灰は左の方にシールドバッシュをした。盾が顔に当たり、ハロンドはクラクラしている隙に灰は斬る。
右から迫るハロンドは、無防備な灰の背中目掛けて飛び掛かる。
そのまま馬乗りして、顔を、喉を噛み千切ろうという思惑があったがそれは一匹のスライムに阻まれた。
にゅるり、と灰の鎧を這うようにスラ参が移動すると、飛び掛かるハロンドに触手を伸ばして拘束する。
飛び掛かったハロンドはそのまま地面に落とされ、その隙を突いて灰が処理をした。
立て続けに三匹処理したが、数はまだ残っている。
このまま戦うのは数の差でも不利だ。灰は今の内に逃げ出した。逃げながら、消臭スプレーを自分の身体に吹きかけた。
息を潜み、灰は隠れ続ける。
消臭スプレーの効果はハロンドの鼻を曇らせ、追いつくことはないはずだ。
一匹を除いて。
灰に近寄る影があった。
それはハロンドの群れのリーダー、特異個体である。
特異個体には消臭スプレーは効かない。逆に寄って来るのだが、灰の本命でもあった。
さっきとは違って、一騎討だ。確実に仕留める。
灰は突撃≪チャージ≫の構えを取った。
特異個体も身体を沈ませ、いつでも飛び掛かるような姿勢をして駆ける。
灰も突撃し、両者の距離が縮まっていく。
特異個体は大地を蹴って飛び掛かり、灰の太ももを噛みつこうとする。
本当だったなら、噛まれていたかもしれない。だが、灰には仲間がいる。
最高の防衛担当が。
スラ参が身体網のようにして、灰の前に飛び出した。
ハロンドはスラ参に捕まった事で失速し地面に落ちると、その隙を狙われ灰の伸ばした刺突により身体は粒子となって散り、魔石だけが残った。
『ハロンドのテイムに成功しました。テイムしますか?』
「はい」
今度こそ、灰はハロンドのテイムを了承した。
簡潔に現在の執筆状況について、今は第一章の執筆がようやく終わりました。なので、それまでは毎日投稿が出来ます。また、一日一話執筆をモットーとしているので、何もなければ毎日投稿できます。というか、するよう心がけます。
ブクマや誤字脱字の報告をしてもらい、ありがとうございます。
できれば、評価や感想、レビューしてもらえると有難いです