19話『化け物の封印』
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またエルフのいる場所に迷い込んでしまった。
魔物が出る為、素早くスマホを操作してスラ参とヤークトを呼び出そうとするが、それよりも先にリベレッサが現れる。
「お待たせしました」
着くや否やリベレッサは安全な所、エルフの住む村に案内する。まるで灰の現れる所が分かっているような登場に、灰も驚きを通り越して受け入れつつあった。
そもそも、彼女を灰の場所まで導いているのは、エルフの村で会ったカーテンの向こう側にいた人だ。
その人はエルフの中で敬われるぐらい偉い人らしく、何か特殊な力で灰が現れる場所を分かるのだろう。会話した時も、心の中が読める素振りもあった。
リベレッサに村に連れて来られた後、案内されたのは彼女の家だ。
家族はいるらしいが、今は仕事に行っているらしく家にはリベレッサだけ。二人っきり。
彼女の自室に案内され、リベレッサはお茶を取りにキッチンへ。一人になった灰はリベレッサが来るまでの間、彼女の部屋の中を見ていた。
藁のベッドに、こじんまりと丸型のテーブル、壁には弓が掛けられるように台が設置され、隅には小さなタンスがある。
最初に部屋に入った時、灰の鼻腔に甘い匂いがした。香水の甘ったるい匂いではなく、上品な仄かに匂わせる花の蜜のような匂いだ。
その匂いが灰に改めて女性の部屋にいる、という現実をより強く突き立てる。まさか初めて入った女性の部屋がエルフの女性だとは、もし賭けがあったら大損だ。
女性の部屋に来て、灰は何をすればいいか分からず、とりあえずとテーブルの近くで腰を下ろすと、リベレッサがお盆に乗せたお茶を持ってきた。
「お待たせしました」
テーブルの近くで膝を床に着けて腰を下ろし、お盆に乗っている二つのお茶。そしてお茶菓子も二つ分、並べる。
リベレッサが持ってきたお茶を、灰は口に近づける。見た目はピンクと灰の思っていたお茶、緑茶とはかけ離れていた。どちらかといえば、紅茶に近いのかもしれないが、ピンクはないはずだ。
匂いはリベレッサの部屋に似た、仄かに甘い匂いだ。
一口、口に含み飲んでみた。喉を通ったお茶が残したものは微かに広がる甘さ。その甘さも酷く強烈なものではなく、誰でも飲める程度に甘さが加減されていた。
美味しい、と感じた灰はさらに一口飲む。
そんな灰を観察するように、リベレッサはジッと見ていた。エルフではなく、人。彼の口に合うかどうか心配で見ていたのだ。
リベレッサが用意したお茶は村で取れる茶葉で、ここでは一般的に皆が飲むもの。
エルフに出す分には心配しないが、口にした事ない人に提供するとなると少し勇気がいる。不味いと言われないかな? 変な顔されないかな、と。
灰が飲んでくれた事にホッと安堵したリベレッサは、不安でしょうがなく今まで握っていたお盆を置き、灰の対面に座った。
「今回、こちらに案内したのは少しお話したい事があるからです」
「お話?」
「はい。ハイオークとの戦いで見せた灰の技、あれは何なんですか?」
それは『ONE FOR ALL』、『ALL FOR ONE』の二つだ。というか、今の灰にはそのスキルの二つしか使えず、他に思い当たる節がない。
ただ、それを全て説明すると長くなるので、灰はかみ砕いて説明することにした。
「あれは二つあって、一つは俺のテイムした魔物を強化する。二つ目は俺自身を強化するものだ」
「テイムした魔物を?」
リベレッサが気になったのは、『ONE FOR ALL』のようだ。
「ああ。俺の能力が減少する代わりに、テイムした魔物が強化されるんだ」
「なるほど」
灰の説明を聞いて、リベレッサは何やら俯いて考えこむ。それを灰はお茶菓子を食べながらリベレッサが喋るのを待つ。
彼女の事を考えている事は、なんとなくだが灰にも推測出来たからだ。
現状、このエルフの村は脅威が迫りつつあった。その脅威に対抗するためには、戦力が一つでも欲しい。
その一つとして数えられる灰が、見知らぬ技を使った。その技を知りたいのも当然だ。
そこまで考え、灰がお茶を飲んだ時だ。リベレッサの気になったスキルを思い出し、一つの予測をしてしまう。
それは、予測というよりかは答えに近かった。
「その技は、私も灰にテイムされれば効果があるのでしょうか?」
予想通りの答えに、灰は沈黙する。静かに思考する。
まず、彼女の問いに関しての答えはイエスのはずだ。エルフという種族の扱いだが、ダンジョンの中にいるため魔物の扱い、のはずだ。そもそも前例がない。試してみないことには分からない。
まずはリベレッサがテイムできるかどうか、そこが問題だ。次に問題が、彼女には大事に思っている人がいるという事。テイムするのは良いが、離れ離れになってしまう。
リベレッサがどういう思いでこの答えを出したのか、その思いは灰にも分かるつもりだ。
村を守るために自分を犠牲にする、それは崇高なことかもしれない。だが、残された者の気持ちはどうなるのか。そこら辺が灰の中で引っかかっていた。
沈黙を通し続ける灰に、リベレッサは答えらない原因を考え、見当違いな答えを思い浮かぶ。
「私をテイムするのは、嫌ですよね? 長に頼んで、何か特別な物を送ります。ですから――」
「いや、違うから。そういう問題じゃないから」
リベレッサの見当違いな答えに、灰は思考を止めてしまう。また考えてもいいが、なんだか考える気も失せ、思った事をそのまま口にした。
「テイムするのはいいとして、親はどう思っているの? 了承しているの? 次に、一時的にテイムするというのは試したことないから無理かもしれない。親とは離れ離れになるかもしれないけど、そこら辺は――」
灰はその言葉を残し、消えてしまった。
今、二章終盤を執筆中なのですが、何かおかしい所があったら教えてください




