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ダンジョンの魔物使い  作者: 佐藤龍
『テイム』
20/111

20話 『灰の持つスキル、魔法』

 家に入った灰は真由を自室に案内した。

 お茶を二つ用意すると、真由は置いたお茶をすぐに飲む。ついさっき入れたばかりなのに、もう三分の二がなくなっている。

 それほど、真由の喉が渇いていたのだ。灰を待って外にいるのが長すぎたせいもあった。

 

 乾いた喉を潤わせた真由は、

 

「灰がまず覚えるべきは、必殺技なの」


 開口一番は、やはりその言葉であった。彼女が必殺技だと言うのは、灰も納得はできる。今の灰のパーティーに足りないものは、決定打だ。だからこそ、真由は必殺技を求めているのだろう。

 ただ、それよりも気になる事があった。

 

「あの、真由――」


「師匠よ、師匠と呼びなさい」


 あ、これ駄目なやつだ。師匠と呼ばないと話が進まないと理解した灰は、渋々ながらも真由の事を師匠と呼ぶことに決めた。

 

「それで師匠。どうして家に来たんですか?」


「簡単よ。灰に必殺技を教えに来たの」


「さっきも聞きました。俺が聞きたいのは、師匠の本音を知りたいんです」


 灰が聞きたいのは、真由がわざわざ教えに来る理由だ。わざわざ教えてくれるのはありがたいが、どうして教えるのか知りたい。簡単に教えてもらって、後で交渉に使われるのは御免だ。

 少しばかり灰が警戒していると、真由は深くため息を吐く。

 

「私の思惑を知りたいわけね」


 コクリと灰は頷いた。

 それを見て、真由は少しばかり俯いて、何やら思案するような顔を浮かべる。彼女はどこまで話せばいいのか、考えていた。

 灰とは会って間もない。時間にしても半日も経っていない。彼を信じられる材料がなく、あるのはネームドという互いが共通している事だけ。

 

 敵になるかもしれない、と考えると深く話す事ができず、真由は話せるだけの内容を口にする。

 

「私達は力が必要なの。そのためには新たな戦力も必要不可欠」


「それが俺なんですか?」


「ええ。ただ、新人も放っておくと死んじゃうでしょ?だから、死なないように助けて上げないと」


 真由の言う事が本当なら、灰は凄く有難かった。だが、後にややこしい事が待っているような、そんな気がした。

 それでも、灰は生きるためなら真由に助けてもらう事にする。

 

「そういう事なら、よろしくお願いします」


 真由は灰の言葉を聞き、少しばかり嬉しそうな顔をする。嬉しいという感情を隠そうとしているらしいが、隠し切れていない。

 

「さっきの続きを話すけど、灰はスキルを手に入れたと思うけど、何のスキルを手に入れたの?」


 スキルの話になり、灰はどうしようかと戸惑う。

 全てを話してもいいが、灰が手に入れたスキルは少しばかり特殊なものだ。冒険者になったばかりの灰でも、全てを話すべきではないと理解した。

 

「手に入れたスキルですけど、支援系のを選びました。スキルの名はONE FOR ALL≪一人は皆の為に≫。自分のステータスが減少する代わりに、テイムした魔物のステータスが上がるというものです」


「ONE FOR ALL、か。スキルの効果だけを聞けば、テイムした魔物が多いほど強いと思っちゃうけど……」


「そうだったらいいんですけどね、欠点があってこのスキルは分配方式らしくって、テイムした魔物が多いほどステータスの上昇は減ります。それと、元は減少する俺のステータスなんで、俺のステータスの値が高くないとそこまで上昇しません」


 効果だけ聞けば強いスキルだが、勿論弱点はあった。それは真由も分かっていたようだ。このスキルを最大限生かすためにも、ダンジョンで戦うのは勿論、外でも鍛えて強くなる必要がある、と灰は感じた。

 

「そのスキルは強いけど、必殺技にはなりにくそうね」


「必殺技ではないですからね。ただ、それに近いスキルは持ってます」


「どんなスキル?」


 興味津々とばかりに尋ねる真由だが、灰は詳しく教えるつもりはなかった。

 

「秘密です。師匠も前に言ったじゃないか、こういう話はしないものだって」


 最初に会った日の、ファミレスでの出来事を灰はまだ忘れていない。それに、このスキルは灰にとっての生命線でもある。話せば、ONE FOR ALLの事もあるため弱点がバレてしまう。

 教えなかった灰に、真由は怒り心頭という事はなく、そうと軽く流した。

 

「話せないなら仕方がない、か。それなら必殺技がある、ということでいい?」


「はい。そう考えてもらっても構いません」


 頷く灰を見て、真由は静かに立ち上がる。教えるという目的で来た真由だが、教える事が何もないと分かった以上、ここに長居をするつもりはなかった。

 

「それなら、私はもう出るわ。また何かあったら連絡するから、それじゃ」


 ばーい、とでも言うように手を振って真由は去る。

 突然現れて、唐突に去って行く。まるで嵐のような人だと、灰は真由の事をそんな印象を感じた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 真由に抵抗を覚えてしまいました。 やり方が乱暴で苦手です。
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