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ダンジョンの魔物使い  作者: 佐藤龍
『テイム』
19/111

19話『新たなスキル、それは魔法』

 灰が気づいた時、灰はどこか見知らぬ場所にいた。

 冷たいや温かいという温度はなく、ただ真っ暗な空間だ。足場もなく、何かふよふよと身体が浮いているような、そんな感覚がある。

 水の中にいるような感じでもないし、不思議な空間だと認識した時、脳内に声が響いた。

 

『戦闘プログラムの終了を確認しました。ネームドのスキルを確認、確認中…………確認完了しました。スキルを選択してください』


 そう言って、脳内に選択肢が生まれる。攻撃、防御、支援、と。突然の事に頭が追いつかないが、これが真由の言っていた事なのだろう、と灰は理解した。五階層に行けば倒す手がかりを得られる、と。

 それが、この得られるスキルなのだ。

 

 外の時間がどうなっているか、少し疑問だ。こういう空間ならゆっくり流れていたり、時間経過がなかったりするのだが、本当は外の時間と流れが一緒かもしれないため、早めに決めた方が無難。

 灰はどのスキルにするか、考える。フォーメーションA、そしてBの事を考えると防御系、攻撃系のスキルだと都合がいい。どちらにしようか悩みつつ、もう一つのスキルの事にも考えた。

 

 支援系のスキル。考えてみれば、元はテイムした魔物達をサポートするために戦い方を変えよう、と思っていた事に気づいた灰はどのスキルにするか決めた。

 

「俺は支援のスキルにする」


『スキルが確定しました。新たなスキルが付与されます。ネームドのスキルの名称を使役者≪テイマー≫に変更。完了しました』


 直後、真っ暗闇だった世界が白い光により、目を覆い隠したくなるほど晴れ、視界全てが白い光に包まれる。

 

 

 目を覚ますと、そこはダンジョンの中だ。周りを見れば、先程まで闘っていた第五階層だ。身体に蓄積している疲労と節々の痛みが、現実にいることを実感させていた。

 灰は身体を起こした時、現実の事を徐々にだが思い出し、ヤークトが負傷していた事を思い出す。

 

「そうだ! ヤークト!?」


 すぐさま身体を起こし、倒れているヤークトを探す。戦闘中に無事だったスラ参がヤークトを運んでおり、壁際近くまで運んでいた。急いで近づくと、ヤークトは身体を起こしはしないが微かに反応している。

 裂傷があり、スラ参がいた事で深くはないため重症とまではいっていない。

 

 ここまでの傷が回復ポーションで治るか、少し疑問で使う事ができなかった。灰の持つ回復ポーションは一番安い物で、擦り傷などの小さな傷を回復できるレベル。裂傷が完全に治療できるか分からないが、しないよりかはましかと、回復ポーションを飲ませる。

 

 手に回復ポーションを注ぎ、皿代わりにして口に近づけると、ヤークトはチロチロと舌で舐めた。やはりというべきか、灰の持つ回復ポーションではヤークトの裂傷が回復できなかった。

 こうなったらもう、戻ってもらうしかない。

 

「ヤークト。回復するまでもう戻れ」


 小さく鳴いたと思うと、ヤークトは消えた。

 その直後、スマホがバイブし手に取ると冒険者用のアプリにあるマイページ。そこのテイムリストにあるヤークトの所が召喚不可という四文字がある。その横に、召喚できるまでの時間が表示されていた。

 

 時間にして二十四時間弱、約一日だ。灰はダンジョンに帰ろうと、リザードマンの魔石を回収してスラ参をスマホに戻した後、ダンジョンから離れた。

 

 

 

 翌日、灰はいつものように学校に通っていた。学校が終わった後、いつもならダンジョンに行くのだがヤークトがまだ完全に治療が終わっていないためダンジョンに行くことを諦めた。

 自転車を漕いで帰っていると、家の前に誰かが立っているのが遠目でも見えた。

 

 誰だろうと目を凝らすと、風に揺れてスカートがヒラヒラと動いていて、女性なのは分かった。灰の知り合いに女性は少なく、そして、家を知っているのは片手で数える程度。

 誰がいるか、ひそかに推測しているとその予想は当たった。

 

「遅い!!」


 仁王立ちし腕を組んで、家の前で待っていたのは真由だった。灰が家に辿り着いての開口一番の言葉がそれだった。

 呼んでもいなかった来客に、灰は驚きつつも真由の前で止まる。

 

「お久しぶりです、真由さん。どうして家の前にいるんですか?」


「師匠と呼びなさい」


「は?」


 唐突にそう呼べと言われ、灰は理解できなかった。そこまで、何の脈絡もなかったからだ。あるとすれば、五階層を攻略しただけなのだが、それが以外は何もない。

 

「五階層を攻略したようね」


「ええ、まあ」


 攻略した事は、まだ誰にも言っていない。どこからその情報を? 尾行していたのか? と少しばかり怖くなる。知り合いでも、尾行されるのはやはり怖いものだ。

 

「それで、灰の次の攻略は第四階層にいるヤツでしょ?」


「そうなりますね」


「あれは多分だけど、五階層の魔物よりも強い。そんな灰に必要なものは一つ、必殺技よ。という訳で入れなさい」


 ここは家に入れないと話が長くなるな、と推測した灰は真由を入れる事にする。それに、周りのご近所さんからの世間の目を痛かった。時折、通りすがりの人からジロジロと見られるのだ。

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