無題
カップラーメン最近食べてない。
暗く沈んだ海の底。
横たわる船から流れるは、愛の唄。
錆びつき朽ちゆくブリキの箱で、私は今日もこの人のために歌っているの。
あの日はとても夜空がキレイだった。
珍しくご機嫌な姉さまたちと、空を見上げて歌ったわ。
途端に海はご機嫌斜め。
大きな船を飲み込んだ。
おんなじ表情をした人間が、手足をバタバタさせて沈んでいくの。
人間に私達の姿は見えないはずなのに、まるで助けを求めるみたいに手を伸ばしてくるのが面白くて、思わず鼻歌を歌ったの。
そしたらまた、大きな波。一瞬で飲み込んでいった。つまらなくなった。
思い出したように、沈んでいく髪を追う。
ねぇ、人魚姫。
人間のどこがいいのかしら。と元人間は思うのよ。
あなたって本当に恵まれた環境にいたのね。
裏表のない王子様、人魚姫想いの優しいお姉様、引き留めようとする蛸の魔女
声を失ったら想いは伝えられないのに、それでもあなたは声と引き換えに足を手に入れた。
結果は残念だったけれど、王子の幸せを願いながら泡になったあなたは強者だ。
私は弱虫だから。
「大好きですよ。」
死んでしまえば、相手の心なんて関係ないもの。
閲覧ありがとうございました。
岩塩美味しい。