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シングルハーツ  作者: ゆーき
プロローグ
8/12

第8話

「なんだ貴様、今更命が惜しくなったか?」


「………」


 落ち着きを取り戻した男が朱里を嘲笑うように話かけてくる。



「ふふふっ、お嬢さんの話をした途端貴様の目が生き返ったのが分かったぞ!それほど大切な彼女なのか?安心しろ、ちゃんとお嬢さんは俺達が面倒見てやるから。だから早く……俺に殺されろ!!」


 男を無視して次にどうしようか考えを巡らせている朱里を男が挑発する。



「………ざけるな」「あぁ?」



「ふざけるな!!貴様は俺が倒す!アイルも傷付けさせない!」



「面白い。やってみろ……出来るものならなぁ!!」


「―っ!?」


 男と完全武装した男の部下が朱里が潜んでいる岩に一斉に攻撃を始めた。



 朱里がいる岩の横をレーザーが途切れなく飛来し、岩影から出る事が出来ない。



「ふはははは、どうした?俺を倒すんじゃなかったのか?」



「………」


「仕方ない……か」


 朱里が上着のポケットからビークルを遠隔操作するためのリモコンを取り出すと、



「お前らのせいで歩いて帰るはめになったじゃないか……」




 独り言のようにそう呟き、スイッチをおした


 ――瞬間、男達の宇宙船が着陸するときの衝撃波で吹き飛ばされ、かなり離れた位置にあった朱里のビークルが爆発した。


 辺りにこの星の生物ですら一瞬で逃げ出す程の超高音をだしながら……。



「ぐぁあっ!?」


 男達は全員耳を抑え、その場にうずくまっている。


 もともと、サンドワームなどに襲われどうしようも無くなったとき、それらを驚かせて何とか逃げる時間を稼ぐための装置、人間がまともに聞けば頭に直接響くその音波はしばらく行動することを不可能にする。


 ただ、難点はビークルを爆発しなくてはあまり大きな音波が出ないこと。





 だが、逃げるチャンスは出来た。


「ハァ…ハァ……チッ、1発殴ってくりゃ良かったか?」


 朱里はコロニー側の廃墟まで来ていた。もちろんずっと走って来ていたので、相当息が上がっている。



「とにかく……武器がいるな!」


 男達に抵抗する為にも武器が必要だった。


 しかし、レーザーガン等の武器はここからまだかなり離れている第一コロニーにしかない。




「どうする!?奴らが来る前にコロニーまで行けるか?……いや、無理だ!それに、第一コロニーにはアイルがいるかも知れない」


 アイルを危険にさらしたくはなかった。



 だから、


 ここで奴らを食い止めるしかない!


 そう思い立ち、腕時計に内臓されている端末をいじり始めた。



「ここから一番近いサヴァイブユニットは……」


 サヴァイブユニットにはこの星の進化した生物から自身を守る為の装備がある。



 それを利用出来れば……、


「よしっ、攻撃型のA-25がある」



 朱里は端末で場所を確認し、落としていた腰を上げA-25に向かい歩き始めた。



 A-25までは大体10分程で到着した。


 だが、そこである問題が……、



「こいつ、こんな所に居やがったのか」


 A-25の側にビークルが乗り捨てられていたのと、サヴァイブユニット内部にある小型レストルームが使用状態になっていたことから内部に入る前から予想は付いていたが……。



 朱里はレストルームにあるスリープポットの中でぐっすり眠っているアイルを見つけた。



 ただ、


「泣いてるのか?」


 アイルはアンドロイドだが涙腺も感情もあり、人間と同じように泣くことが出来る。


 朱里が見つけた時、アイルの頬が少し濡れていた。



「俺のせい……だよな?」


 少しアイルをからかい過ぎた自分のせいだと考えていた。


「ごめんな……」



 朱里はそのまま、静かにレストルームを出るとサヴァイブユニットのコマンドルームへ向かった。


 そこで何か操作をして、武器庫からレーザーガン等を取りだし朱里はサヴァイブユニットから出てきた。




 朱里がサヴァイブユニットからある程度離れると自動でサヴァイブユニットが移動し始めた。



 アイルを戦闘区域から遠ざけるために、朱里がそうするように設定したのだ。




「さようなら」


 朱里は遠ざかるサヴァイブユニットを見ながらそう呟いていた。



 1人で勝てるわけない。アイルの力を借りればなんとかなるかも知れない。


 だが、朱里はアイルを守りたい、傷つけたくないその想いが強くでてしまって涙を流しながら眠るアイルを起こすことが出来なかった。




「増援のサヴァイブユニットが来るまでざっと20分か……」


 星全てのサヴァイブユニットを操作するにはコロニーからしか出来ないが、緊急時に近くのユニットを呼ぶ機能はどのユニットにもついている。


 朱里はアイルの乗ったサヴァイブユニットをここから遠ざけるとともに、近くのユニットにSOS信号をだしていた。



 だが、それでも約20分はサヴァイブユニットの攻撃支援無しで男達と戦わなくてはならない。


 首里が男達の迎撃の準備を終わらせて身を隠す場所を探していると、


「……来たか」



 遠くで砂ぼこりが立っているのが見え、それが徐々に首里のいる場所へと近づいてくる。


 中型のビークルに乗り、銀髪の男とその部下が接近して来るのがみえた。



 そして、首里がいる位置から100m程出前で男達はビークルから降り、


「首里とやら、出てきたらどうだ?この辺りにいることはわかっている」


 生体反応等で首里の居場所はバレていたようだ。



 迎撃、待ち伏せは敵の油断をついてこそ効果がある。


 存在がバレている以上、大した効果は見込めない。しかし、やるなら奴等がまだこちらの正確な位置の分かってない今しかない。


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