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雑魚兎が貴族に飼われててもいいじゃない!?  作者: べべ
第二章 「兎、町と村に行きます」
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二章ー3

どもどもべべでございます!

カクでもやれる遊びシリーズ、読者様の案その1、「ヒゲダンス」(笑)

いつか余興で書こうかな!

というわけでご投稿!どうぞ、お楽しみあれ~!

 

「それで、お兄ちゃん。これは何?」

「……えぇっと……」

「デブ兎、アンタも共犯よね?」

「……フシュゥ……」


 商人ギルド、ロビーにて。

 俺と坊っちゃんは、テーブルの向かい側に座る悪魔チビっこに威圧され、縮こまっていた。


 商人ギルド、ホーンブルグ支部。町が発展した際に、王都の命により派遣されたギルド員が管理する建物だ。ここでは、商人や職人達の著作権や利権を取り扱っており、この町から周囲の国に向けて発信する商業がパクられないようにしてくれている。

 どんなに小さくとも、町を名乗るからにはギルドがなくてはいけない。でなければ、どんなに優れた特産品を持っていたとしても損をするのが目に見えているから。


「お母様がギルドの人と話をしている間に、職人コーナーでお買い物ってわけ? お兄ちゃん」

「い、いや、職人コーナーを覗くにあたっては、やっぱり少しは買ってあげないと冷やかしになるでしょ? だから……」

「お母様に報告するわ」

「なにとぞご容赦を!?」


 そんな商人ギルドの面々が見守る中で、妹にがっつりヤラれている次期当主。ううん、格好がつかない。

 ちなみに、このギルド内でも買い物はできる。職人コーナーと言い、店を持たない若い職人が、足がかりとしてここで商売をしている事があるのだ。

 俺と坊っちゃんは、この辺で掘り出し物がないか探すつもりでいたんだが……あっさりチビっ子に見つかり、今に至る訳だ。


 というか、チビっ子はなんで俺たちの所持金に気づいたんだ? いきなり俺の腹に手ぇ突っ込みやがったからびっくりしたぞ。


「お兄ちゃん……貴族っていうのはね、足元をすくわれたら終わりなの。良いように搾取されてしまうって、お母様も言っていたでしょう?」

「お、仰る通りで……」

「つまり、弱味を見せてしまったお兄ちゃんは、どんな行動を取るべきなのか……わかる?」

『こ、コイツ……』

『ま、ますますお母様に似てきているなぁ』


 どうやら俺たちは、最近ただの腹ペコになって来ていたコイツを見誤っていたらしい。

 このチビっ子、油断も隙もあったもんじゃねぇ! 俺たちの弱味につけ込んで、美味いもん食うつもりでいやがる!

 というかヨダレ! ギルド内で貴族がヨダレ垂らしてるのも立派な汚点ですよ!?


「まぁ、テレサレイン様ったら、もう男性を良いように扱う術を覚えているのですねぇ」

「さすが、ネアヒリム様のご息女。兄妹仲良くて微笑ましいですねぇ」

「ははは、テルムレイン様にもいい経験となるでしょうなぁ」


 わかんない! 商人の仲良し基準がわかんない!

 明らかに脅しの図なんですが!?


『どうすんだ坊っちゃん。このままじゃ全部持ってかれるぞ!?』

『そうだなぁ、全部ではないだろうけど、このままだと僕とテレサで半々だろうなぁ……その時点で共犯だから、お母様に報告される事はないだろうけど……被害が大きすぎる』


 だ、だなぁ。

 今持ってる金を坊っちゃんとチビっ子で半分ずつに分けるなんてのは、あまりに暴利で旨味がない。

 どうせ減るなら、少しでも多くこっちに残さないとやってらんねぇわな……。


「さぁお兄ちゃん! お母様が戻ってくるまでの間に、フードコーナーでパーリナィよ!」

「ま、待つんだテレサ! その前に、分け合う額を決めよう!」

「半々に決まってるでしょ?」


 ブレない妹。それが当然と言うように、腕を組んで笑っている。

 職人コーナーで売られている、ギルドのマスコット「ギルネコくん肉まん」を凝視している姿は、まさに今から征服すべき土地を定めたイスカンダル王の如き存在感だ。

 しかし、坊っちゃんも諦めない。必死で頭を働かせ、いかに傷を浅くするか考えている。


「ま、まぁまぁ、どうせなら、テレサももっと欲しいでしょ?」

「当然ね」

「じゃあ、お互い文句なしでこのお金、取り合おうじゃないか……! ギャンブルだ……!」


 な、なん、だと……!?

 坊っちゃんめ、とんでもねぇ策に出やがった。

 どうせ失うならと、ハイリスク・ハイリターンな選択肢……チビっ子相手に、ギャンブルの打診……!


「ざわ……」

「ざわ……」


 あまりの発言に、周囲のギルド員達もざわついている。


『カク、カクッ』

『あん?』

『今すぐ、何か知ってるギャンブルの案出して! なるべく公平なやつっ』

『俺に頼るのかよ!?』


 とんだ無茶振りまで来やがった。

 まさに今、ここは地獄のフチ……! 食うか、食われるかの関ヶ原……!


「ふぅん? 良いけど、一体何をするの?」

「そうだな……」


 坊っちゃんが考える素振りを見せるが、それはブラフ。少しでも時間を稼ごうとしているのだ。

 もう俺が決めるのは確定なんだろう。しかたねぇ。仕方ねぇから、俺は必死に周囲を見渡す。


 職人コーナー、フードコーナー。ギルドのカウンター、そこに寝転ぶネコ。

 受付のお姉さんに撫でられて、幸せそうだ。今日は要件のある商人が少ないから、番号札も必要ないくらいに空いてて暇なんだろう。


『ん? 番号札……?』


 番号札。

 1番から10番までの番号が記された、赤、青、緑の木札。

 名前を呼ぶ際には、赤の5番だとか、緑の2番だとか……こ、これだ!


『坊っちゃん! ひらめいたぜ!』

『流石だねカク! さぁ教えて!』


 突貫だが、これならなんとかなる。

 一見フェア、心理戦が主体となるゲーム。ギャンブルとしても成り立ち、必要な物も揃っている!

 そして、なにより。

 チビっ子に一泡吹かせられる、ウルトラCの仕掛け付きだぜぇ……!

 

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