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60 鉱山主の代理

第3章章末問題の解答です

〈解答:(1)1.5 (2)「water flow:ζ; do ice;」 (3)風:4 合成:2.6 

(4)2 (5)土属性、香属性 (配点30点 すべて5点、(5)は完答)

解説:(1)問題文で与えられたとおりに計算すればよい。30÷20=1.5 

(2)魔力値をxとおいて計算する。x÷3=2 x=6 宣言文の綴りミスに注意する。

(3)5÷1.25=4よって水魔法のみの消費魔力は4。よって、合成消費魔力が5であることから、三平方の定理より4^2+y^2=5^2 y=3 よって風魔法の消費魔力は3。風魔法のみの魔力値は12なので、12÷3=4。よって風魔法の魔力効率は4となる。 また、この魔法の合成魔力値は、5^2+12^2=13^2より13。合成消費魔力は問題文より5であるので、13÷5=2.6より、合成魔力効率は2.6となる。

(4)2つの属性の魔力効率が等しい場合、その合成魔法の魔力効率もそれと同じ値になる。よって2。実際に計算することでも求められるが、少々煩雑である。

(5)自然魔法は水、風、土、香の四属性で構成される。他に、無機魔法や哲理魔法があり、それぞれ4つの属性から成る。〉


収穫月のついたち、街は夏本番といった気候の中、俺とリアナは今日も授業をしていた。


「詠唱のタイミングと魔法の発動が同時ではないような魔法を非即時的な魔法という。例えば詠唱してから魔法が発現するまでに時間がかかる大魔法や、魔法具によって効果が持続する魔法とかだね」

「大魔法って、例えば?」


リアナが右ひじを机について首を傾げた姿勢のまま俺に問いかけた。

「そうだね、例えば雷属性の魔法とかかな。魔力値300程度のものだと、詠唱から発動までに三十秒くらいのラグがあるものもあるらしいよ」


俺は教科書で暗記した知識を口にした。雷属性の魔法には、この世界に来てからまだ一度もお目にかかったことがない。名前からして雷や電気の類を使うというのは明白だろう。

リアナが一応納得といった表情を見せ、俺が再び話を戻そうとしたところで、部屋の扉ががたりと音を立てて開いた。


「失礼します、ノエリアちゃん、ちょっと」

隙間から見えたのはメイド服。現れたのはルーシェだった。ルーシェはセラフィが居ないところでは、いまだにこの呼び方をしてくる。


「どうしたの? 今授業中だよ」

「お客様がいらっしゃっていて、お二人をお呼びだそうです」

「お客様、一体誰かしら?」


リアナの問いかけに、ルーシェは自分もよく分からないのだけど、といった調子で遠慮がちに答えた。

「ケルヌ鉱山の鉱山主、その代理の方だそうです」

「代理? 鉱山主さんの?」

リアナは眉を顰めた。


俺とリアナは立ち上がり、ともかくも部屋を出る。

廊下を歩きながら、俺はリアナに尋ねた。


「鉱山主のことは知ってるの?」

「ええ。何度か父と話しているのを見たことがあるわ」

「来ているのは、その弟さんだそうですよ」




俺たちはルーシェに連れられて、屋敷の玄関の隣にある応接間へと向かった。

応接間には、向かい合わせのソファや背の低い机、チェストなどが備え付けられていた。俺が初めてこの邸宅に連れてこられた時に目を覚ました部屋とおよそ同じつくりで、どの家具にも気品があった。


二人掛けのソファに座ることを遠慮しリアナの隣に立った俺、その目の前に座っている男が、ルーシェの言った鉱山主の弟のようだ。

いまいち掴みどころのない中途半端な笑顔を浮かべている。三十代前半か、あるいは二十代にも思える、茶髪の男だった。


「初めまして、私、リアナ・シャーロックと申します。以後お見知りおきを」

リアナが社交場のような挨拶を慣れたようにして口にする。


「ノエリアです。リアナさんの家庭教師をしています」

「へえ、家庭教師? 使用人じゃなくて?」

男が軽い感じで俺に質問する。俺の苦手なタイプかもしれない。


俺は今まで幾度となく経験してきたこの質問に辟易としながらも、あくまで平静を装って言葉を返した。

「はい。家庭教師ですよ」

間違ってもメイドじゃありません、何てセリフを言いそうになるのを、ルーシェの手前ぐっとこらえた。


「オレはライエルだ。兄さんが最近ずっと病気で寝てるから、代理で来たんだよ」

男は少し体を前に乗り出すようにして話を始めた。ちなみに、その病気の兄の名前はカリストというらしい。


「それで、私たちに一体何のご用件でしょうか?」

リアナの質問に、男は一瞬だけ考えるような素振りを見せた。


「いや、大したことでもないんだが、少し気になることがあってな。市長から、お嬢さんたちがユーバ村の閉山した鉱山で賊に襲われたって話を聞いてな。ちょっとその話を確かめておこうと思ったのさ。閉山しているとはいえ、賊に棲みつかれちゃこっちとしても迷惑だからな」


なるほど、その話か。まあ、鉱山の所有者として気にかかるのは無理もないだろう。

しかし同時に、これはあまり誰彼構わず言いふらしていい問題でもない。人骨があったことなんてなおさらだ。


そのことはリアナもある程度心得ているようで、

「そうね、雨宿りに鉱山に入ったら、突然現れた男に出口をふさがれて、襲われそうになったところをノエリア先生が魔法で返り討ちにした、ってところかしら」

と、かなり簡単な答えを返した。


「返り討ちに? 君が?」

信じ難いといったような表情を浮かべたライエルの問いに、俺は仕方なしに小さく頷いた。

リアナがその後、その時の俺の活躍について嬉々として語り始めたのだ。が、ここでは省略することにする。

更新が遅れていてすみません。年初めにもお伝えしたとおり、私はこの春から受験生になるため、ここから先ほとんど投稿ができない期間が続くかと思います。

どうか気長にお待ちいただければと思います。申し訳ございません。

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