表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔狼の異世界冒険  作者: はすか
迷宮攻略編
32/33

今後の予定と準備

 

「フェリル様! 保存食買ってきたっす!」

「夜営の道具も買ってきました」

「二人ともありがとうございます。私の方も、必要そうなものは買ってきました」



 この街の領主であるキンバリー様の護衛依頼が正式に終了してから一週間程が経ちました。

 私たちは次の予定に向けて準備をしています。



「あと必要なものって何があるっすかね?」

「これで大丈夫なはず。たぶん」



 イジェンとエルフィアも随分とこの街に馴染んできました。

 今までなら時間の掛かっていた買い物も、分担して済ませることが出来るようになりましたし。

 それに、二人とも美形の部類に入る程の可愛い顔立ちなので、街の住人からの評判も良いですし。



 イジェンは所々はねた耳に掛かるくらいの赤い髪が特徴的な人族の女の子です。

 また元気もよく、その明るい性格が街の人達に可愛がられる要因の一つになっています。


 対するエルフィアは肩に掛かるくらいまで伸ばした緑色の髪が特徴的なエルフの女の子です。

 元気溌剌なイジェンとは対照的に物静かな性格で表情もあまり変化しません。

 そのせいか、時おり出てくる笑顔が印象的になっているようで、彼女も街の人達に可愛がってもらっています。



「二人とも、買い物中は何もなかったですか?」

「何もなかったっす!」

「私は、商人に声をかけられました」

「「商人?」」

「はい。義肢を売ってほしいと言われました」



 エルフィアの両手足は義肢です。

 それもただの義肢ではなく、私が作製した魔道具です。

 この世界では無くなった腕等を新しく生やす魔法やスキルは存在はしますが、難易度が高すぎるため使用できる人は極僅かしかいません。

 それに生やすことはできても、一回の施術で腕一本が再生すると言うわけではなく、ほんの数ミリ程度しか再生しないので、数ヵ月から数年といった長い時間をかけて再生させるのが一般的です。


 私の持っているスキル[治癒の天使]なら短時間で再生させることはできますがね。

 それ以外で短時間で再生させることが出来るとすれば、回復が得意な光魔法を極限まで鍛えるか、私のような特殊なスキルを習得するか位でしょうね。

 まぁ、そんな特殊なスキルなんて、そう簡単に習得はできないでしょうけどね。


 私のスキルも、神様から貰ったから習得できているだけですから。

 それがなければ、まず間違いなく習得なんて出来てないですからね。



「というか、仮に義肢を渡したとして、今後のエルフィアの生活に関してはどう考えていたんすかね、その人」



 何も考えてないと思いますけどね。

 ちなみにその人はかなり執拗に迫ったせいで、衛兵に連れていかれたようです。

 自業自得ですね。



「それでは、次は冒険者ギルドに行きましょう」

「「はい「っす!」」



 冒険者ギルドに行く理由は、とある街への護衛依頼を探すためです。

 そもそも、何で違う街へ行くことになったかと言うと、キンバリー様から受けた新しい依頼が関係しています。





 ーーーーーーーーーーーーー



「勇者を鍛える、と言うのは理解しました。ですけど……」

「どうした?」

「いえ、どうやってA級の称号を得ようかと思って」

「ランクを上げるんじゃないのか?」



 勇者の育成に携わる冒険者の選考基準はAランク以上かA級の称号を持っていること。

 私のランクはCですから、後二つランクを上げる必要があります。


 Bランク以上になると冒険者個人に対して依頼を出す『指名依頼』という制度の対象になります。

 指名依頼の何が面倒かというと、基本的に指名依頼を出してくるのは貴族であり、その殆どが拒否できないという点です。


 普通なら貴族相手の依頼ともなれば報酬も高く設定されているので、ランクを積極的に上げる冒険者も多くいます。

 しかし、貴族の中には無理難題を吹っ掛けてくる人もいるので、冒険者の中にはランクをCで止めている人も多くいます。


 各言う私もそれが理由です。

 私の場合は魔道具を作製できるので、確実にそれ関係の依頼が殺到するのが目に見えています。



 閑話休題。


 ですのでCランクで止めていた分、Bランクには比較的短い期間で昇格できるでしょう。

 しかし、そこからAランクになるともなると、流石に時間が足りません。

 少なくとも十年ほど時間があればAランクになれるでしょうが、勇者召喚の時期次第では不可能です。



「勇者召喚はいつ頃なんですか?」

「そうだな。国同士の決め事やら条約やらを決めてからになるだろうから、早くても一年後だな」



 はい。確実に無理ですね。

 正直時間が掛かりすぎだとも思いましたが、世界中の国と協力するとは言っても、協力的でなはない国もいますし、中には少しでも自分達に得のある条約にしようとする国もいるため、話し合いが長引くことは明白なんだそうです。


 しかし、そうなると後残されているのは称号を獲得することです。

 以前悪魔を討伐しているので、B級デーモンキラーの称号を獲得していますが、あんな存在と遭遇すること事態が稀です。

 どうしようかと悩んでいると、帝国の王子であるアラン様からとある提案が出されました。



「なら、帝国領内にある迷宮に挑んだらどうだ?」

「迷宮、ですか?」



 アラン様曰く迷宮、一般的にはダンジョンと呼ばれている所ならば、出現する魔物もほぼ判明しているので、A級の称号を取得できる魔物を狙って挑むことが出来るそうです。

 そして、フォレスの街から比較的近い所にちょうど良さげなダンジョンがあるそうです。



「迷宮都市バランの迷宮か。確かにあそこなら称号も獲得しやすいな」

「うむ。あそこの迷宮は私も挑んだことがある。帝国の王子の学びの一つに迷宮挑戦があったからな」

「ちなみに、どういった魔物が出るんですか?」

「それは行ってからのお楽しみだ!」



 ソウデスカ。

 アラン様の気持ちいい笑顔、殴りたいです。

 ですが、楽しみでもあります。



「分かりました。それでは一年以内には戻ってきます」

「よろしく頼む」

「帝国から沢山の商人が来ている今なら、バランまでの護衛依頼も出ているはずだよ」


 というわけで、私たちは次の目的としてバランへ行くための準備をしているわけです。



 ーーーーーーーーーーーーー


「食料と夜営用の道具はこれで大丈夫っすかね?」

「多分?」

「食料に関してはアイテムボックスに沢山入ってますから、最悪それを出せばいいですからね」



 アイテムボックスの中には今までに屋台で買った料理関連が大量にしまってあります。

 それに、アイテムボックスの中は時間の流れが止まっているので、腐敗の心配もないですからね。


 とは言え、二人には普通の野営というものも体験してもらいたいので、今回はアイテムボックスの中の料理は極力使わないようにする予定です。

 とはいっても、食材は遠慮なく取り出しますけどね。



「それでは、次はギルドに行って護衛依頼を探しましょうか」

「はい」

「はいっす!」



 本来なら先に依頼を受けてから野営や食料の買い出しをするのが一般的な流れなのですが、今のフォレスには帝国の商人が沢山来ているので、護衛依頼は選び放題です。

 実際にギルドに来て依頼を確認してみると、帝国方面への護衛依頼の紙が多く張ってあります。


 その中からバラン行きの依頼を探すと、ちょうど良さそうなものを見つけることができました。

 どうやら複数の商人たちが合同で依頼を出したもののようです。



「私はこれが良いと思いますけど、二人は良さそうな依頼ありました?」

「私の方はあまり良さそうなものはなかったです」

「こっちもっす」



 と言うわけで、私が選んだ依頼を受けることになりました。

 出発は5日後となっているので、一先ずは街の外の住処へと帰ることにします。


 これと言って問題もなく帰ることができました。

 おそらく数ヵ月は戻ってはこれないはずなので、住処内の清掃用の魔道具を作っておきます。

 作ると言っても、ル○バをイメージして作るのでそこまで難しくはないですけど。


 ゴミや埃を吸い込む為に風の属性石を取り付けました。

 試しに使ってみます。



「もう少し、風は弱めでも大丈夫そうですね」



 吸引力は申し分ないのですが、その分排出される風が強くなってしまっています。

 扇風機の強めの風ぐらいが魔道具から出されています。

 住処に帰ったと言うこともあって、ラフなワンピースを着ているのですが、スカートがかなりはためいてしまいます。


 何度か修正を加えて、ようやく完成させることができました。

 ちょっと遊びで土の属性石を組み込んで、床だけでなく壁や天井も掃除できるようにしてみたりもしましたが、存外しっかりと動いてくれました。


 後はこれを各部屋に一台ずつ設置しておきます。

 後は迷宮攻略用にイジェンとエルフィアの装備を作ったり、改良しておきます。


 そうしてあっという間に時間は過ぎ、護衛依頼の日となりました。

 私たち三人は集合場所である正門前に集合していたのですが……。



「ふざけんなっ! なんでこんな女どもに!」



 私たちを睨み付ける4人の男の子たち。

 彼らもこの護衛依頼を受けた冒険者のようですが、見て分かるほどに私たちのことを敵視しています。


 これは、また一悶着ありそうです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ