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転生魔狼の異世界冒険  作者: はすか
貴族暗躍編
23/33

ギルマスと登録

あけましておめでとうございます!

頑張って執筆していきますので、皆様よろしくお願いいたします!m(__)m

 

 冒険者ギルドの建物は地下一階が訓練所で一階が酒場と受け付けカウンター、解体用の倉庫があります。

 そして二階にはギルドマスターの部屋と医務室。

 三階と四階は職員用の居住スペースになっています。


 さて、なぜ急にこんな話をしたのかと言いますと。



「まったく。帝国の馬鹿どもが、面倒ばっかりおこしおって」

「えっと、お疲れ様です」



 あの模擬戦が終わってすぐにギルドマスターに呼び出されて、ギルマスの部屋まで来ているからです。

 怒られるのかと思っていたのですが、ギルマスの怒りは帝国の冒険者たちに向いているようです。



「先に言っておくが、今回の件であんたらには罰則は一切ないからね。安心しときな」

「あ、はい。ありがとうございます」

「一応自己紹介をしておこうかね。あたしはこのギルドのマスターをしている、ドミニク・イアンさ。家名は持っちゃいるが貴族って訳じゃないよ」



 ドミニクさんは初老の女性で、元Sランクの冒険者だった人です。

 初老とは言っても腰は全然曲がってませんし、何なら並みの冒険者よりもフットワークは軽いぐらいです。



「はじめまして。エルフィアです」

「わたしはイジェンっす!」

「はいよ、はじめましてだ。フェリル、今日はこの娘達の登録に来たのかい?」

「はい。そうです」

「なら、私の権限で二人ともEランクで登録しといてあげるよ」



 トントン拍子で話が進んでいきますね。

 変にこじれるよりはマシですけど。



「あの、いいですか?」

「なんだい? エルフィア」

「冒険者のランクは確かGランクからでは?」



 確かにエルフィアの言う通りです。

 本来はGランクで登録したあと、ある程度の依頼をこなした後にランクアップする、と言うのが本来の流れです。

 しかし、中には例外もあります。



「大丈夫さね。そもそもGランクの依頼ってのは清掃や荷物運びといった雑用がほとんどなのさ。Fランクには少なくともゴブリンやウルフといった、最下位のモンスターを倒せるだけの戦闘技術があると認められればすぐに上げられるのさ」

「でしたら、私とイジェンはFランクでの登録になるのでは?」

「Cランクの冒険者と戦って勝てる奴を下のランクに登録しておくような真似は出来んよ。とは言っても、一気に上げちまうとお互いに色々と面倒なことになるからね。だからこそのEランクでの登録にしたのさ。分かったかい?」

「はい。分かりました」

「それに、フェリルには恩もあるからねぇ」



 そういうとドミニクさんは、左目の眼帯のところを指で叩きます。

 ドミニクさんは冒険者をしていた頃に、左目を失ってしまったようです。


 恩と言うのは、数年前にドミニクさんの誕生日の際に私から義眼を贈ったことです。

 私以外にも沢山の職員や冒険者からプレゼントを貰っていたのを見ると、ドミニクさんは皆から慕われているのだと分かりましたね。




「左目の調子はどうですか?」

「良好だよ。特に痛みもないしね」

「何かあったら言ってくださいね? すぐに調整しますから」

「あいよ」




 ドミニクさんと話していると、部屋のドアがノックされます。

 そして受付嬢のクレアさんが入ってきました。



「失礼します、ギルマス。エルフィアさんとイジェンさんのギルドカードが完成しました」

「ありがとよ。それじゃ二人に渡してあげとくれ」

「はい」



 二人にギルドカードが手渡されます。

 ギルドカードには名前・年齢・称号とランクが書かれています。

 称号はゴーレムや悪魔、ドラゴンなんかを倒したりすると与えられます。

 称号にはそれぞれにランク付けがされていて、持っていると高位の依頼が受けられることもあります。


 例えばA級ドラゴンバスターの称号をCランクの冒険者が持っていた場合、通常の以来はCランクの物しか受けられません。

 しかし、依頼書の受注条件にA級ドラゴンバスターが含まれていた場合は、受けることが可能になるのです。


 とは言っても、そう簡単に称号は与えられるものではないので、持っている人は少数ですけどね。

 私も一つも持ってませんし。



「それとギルマス。またワーテル様から催促がありました」

「はぁ、またかい。ほっときな。冒険者ギルドにゃ強制権は無いんだからね」

「あの、何かあったんですか?」



 ドミニクさんが怖い顔をしていたので、思わず訊ねちゃいました。

 しかし、クレアさんもうんざりした顔をしてますね。



「ごめんね、リルちゃん。流石に他の依頼主のことを話すのは」

「気になるなら教えてやりな」

「ギルマス? いいんですか?」

「クレア、奴は依頼主でもなんでもないだろ? ただ単に無茶を言ってくる厄介者だよ」



 すごいボロクソ言いますね。

 よっぽどの無茶を言ってるんですかね?



「奴ってのはシルス・ワーテルっていう貴族だよ。少し前に東の街道に盗賊が出たって話があったんだが、どういうわけか『さっさと討伐しろ』って喚いてるのさ」

「冒険者ギルドはどの国にも属さないあくまでも中立の組織だから、貴族といっても命令権はないんだけどね」



 なるほど。典型的な馬鹿貴族って訳ですか。

 二人から聞いた話だと、その貴族がギルドに要求しているのは。

 ・街道に出た盗賊を討伐しろ。

 ・盗賊の持っていた財宝を取り返してこい。

 と言うことらしいですね。


 これだけならまだ普通に依頼すれば受けてくれる冒険者もいるんでしょうけどね。

 でもその貴族は、これは貴族の命令だから報酬はない。

 更には盗賊の持っていた財宝は全て、ワーテル家に譲り渡すこと。仮に不当に取得しようとした場合は極刑。


 とまぁ、好き勝手に言ってくれてるわけですね。

 とりあえず一つ言えることは。


「大馬鹿ですね、この貴族」

「全くだよ」

「えっとギルマスもリルちゃんも、絶対に外では言わないでくださいね?」



 私とドミニクさんの言葉にクレアさんが苦笑いで言ってきます。

 それでも否定の言葉を言わないところを見ると、クレアさんも私たちほどではないにしろ、貴族に対してはいい感情は持ってないみたいです。


 ちなみにこの話をしている間、イジェンは話についていけず居眠りを、エルフィアは部屋の中の美術品を眺めてました。

 一応二人にも関係のある話だったんですけどね。




 結局その貴族は、ちゃんとした依頼を持ってくるまでは相手にしないと言うことで話はまとまっているそうです。

 相手はそんなことお構いなしで来てるそうですけどね。


 さて、私たちはそんな貴族とは関わりたくないので帰りますか。

 当初の目的のギルドカードも受け取れましたしね。



 ちなみに、私たちに絡んできた帝国の冒険者たちは気絶したままだったそうで、ギルドの医務室に横になっているそうです。

 そして彼らが目を覚ましたのは夜も更けた頃合いだってそうで、ギルドから安くはない医務室の使用料を請求されたそうです。


 ま、知ったこっちゃありませんね。

 彼らの自業自得ですし!




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