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転生魔狼の異世界冒険  作者: はすか
貴族暗躍編
22/33

模擬戦と決着

 

 さて、イジェンとエルフィアの模擬戦が終わって、残るは私だけですね。

 さっきの模擬戦は一対一でしたけど、今度は一対三ですから色々とてこずりそうです。


 さて、私はいつも使っている刀を腰のところに結びつけます。

 対する相手三人は各々の武器を装備していきます。


 二人は比較的軽装な鉄製の防具に片手剣と槍。

 残る一人は全身を鎧で固めていて、更に左手で大楯、右手には片手用のハンマーを装備しています。


 さっきまでの模擬戦をしてた二人の装備が魔法系とナイフ使い。

 と言うことは、片手剣と槍、ナイフ使いが前衛で後方から魔法使いが後衛。重装備の盾とハンマー使いが魔法使いが詠唱している間の護衛と言った形の布陣なんでしょうね。


 パーティーとしてはスタンダードなものですね。


 それに、多分リーダーだと思われる男の持っている片手剣。

 あれはミスリル製の片手剣ですね。

 一応鑑定してみますか。



 ~ミスリルの片手剣~

 ・ミスリルで造られた片手剣。魔力を流し込めば切れ味、耐久力が上がる。また、多少の刃こぼれなら修復される。



 とまぁ、一般的なミスリル製の武器ですね。

 ミスリルは魔力を通しやすい鉱石で、加工次第で様々な効果を付与できます。

 例えば、以前の盗賊の討伐で手に入れた属性石を混ぜれば、魔力を流すと燃える剣や風の刃を発生させれる剣を造ることもできます。


 と言っても、ミスリルの加工は中堅以上の鍛冶職人にしかできませんし、さらに属性石を混ぜるとなると、一級クラスの職人の腕が必要になります。


 ちなみに中堅以上の腕前になるには、腕を磨き続けて十年はかかると言われてますし、一級クラスともなると、更に倍以上の年月がかかると言われています。

 大抵は途中で断念したり、鍛冶職人の道を諦めたりしてしまうので、一級クラスの職人の数はこの世界に百人も居ないと言われています。


 そう考えれば、ミスリルを持っている彼らがランク相応の実力は持ち合わせていることが分かりますね。

 ま、だとしてもランク相応であって、特別強いわけでもないんですけど。



「それでは、始め!」

「いつも通り行くぞ!」

「「おぅ!」」



 掛け声と共にリーダーの男が私に向かって剣を振るいます。

 両手で握ってるだけあって、力強く私の首めがけて剣が横一線に振るわれます。

 普通なら防ぐか避けるかをするのですが、彼らの狙いは私がそのどちらかの行動をした後に、リーダーの男の後ろ側にいる槍使いが、一撃を入れることでしょうね。


 剣の一撃で決まるならよし。

 仮に受けるか避けられるかされても、その後に槍の追撃を決め込み一撃を入れる。

 確かに堅実で有効な手ですね。


 避けても受け止めても相手の思うつぼになってしまう。

 なら、受け流します。

 相手の剣の勢いを殺さずに、尚且つすぐには態勢を整えられないような位置に剣が受け流されてしまうようにします。



「なに!?」



 計算通りにリーダーの男は大きく態勢を崩してしまいます。

 さらに、態勢を崩したことで槍使いの男の攻撃のエリアが狭まってしまい、追撃ができなくなってしまっています。

 さすがにこの好機を逃すほどお人好しでもないので、きっちりと峰の部分でリーダーの男の首元を叩き戦闘不能にしておきます。

 無事?に気絶してくれたみたいです。



「くそ!リーダーの仇!」

「よくもリーダーを!」



 リーダーの仇うちに燃える男たち。

 いや。死んでませんけどね?

 これで残ったのは槍使いと全身鎧の二人だけです。

 さっきと同じように全身鎧の男が前に出ていて、その後ろに槍使いが私に一撃入れようとしています。


 さっきと変わらずに、槍使いがとどめを刺す作戦で行くようですね。

 あるいはリーダーが気絶してしまったので、ほかの作戦が考えられないだけかもしれませんが。



「叩き潰してやる!」

「できるものならどうぞ」



 鎧の男が私に挑発してきました。

 一応私も挑発で返しましたが、思いのほか効果があったのか心なしがハンマーを握る手が怒りで震えているようです。

 せっかくなので、この挑発を利用させてもらいましょう。


 そう考えると鎧の男目掛けて突っ込みます。

 冷静に考えれば、槍使いの追撃を考慮して縦で防ぐべきでしょうが、さっきの挑発で頭に血が上っている状態今、私を倒そうと……もとい殺そうとしている今では、ハンマーを叩き下すという選択肢しか頭に浮かんではいないようです。



 さて、いくら片手用とはいえ重量のあるハンマーを全力で振り下ろすには、しっかりと踏ん張る必要があります。

 なので私は突っ込んでいく勢いをそのままに、鎧の男の足の間を滑り抜けていきます。

 鎧の男は兜をかぶってもいるので、私の居場所を見失ってしまいました。


 槍使いの方は、私が滑り込んできた驚きで動きが止まってしまいます。

 それでもとっさに槍を私に突き出してきますが、ある程度接近している相手には突きは効果があまりないので、最小限の動きでかわしてリーダーの男と同じように気絶させます。


 残るは鎧の男だけです。

 しかし鎧を着ているということは、その分重さで動きが鈍ってしまいます。

 それにいくら鎧は防御性が高いとはいっても、関節部や繋ぎ目部分は構造上、簡単に刃なんかが通ってしまいます。


 なので、こちらに気づいてハンマーを振るおうが、一対一なら簡単にかわせます。

 あとは冷静に関節部分に刃を突き立てれば終わりです。

 今回は模擬戦なので本当に突き刺したりはしませんけどね。


 しかし生半可のところに突き立てたのでは、難癖をつけて模擬戦を続行してきそうなので、鎧と兜の間。つまりは首に刀を突き立てます。

 鎧の男もいくら頭に血が昇男ているとはいっても、現状は理解できているのか微動だにしていません。


 とはいっても、降参するのはプライドが許さないのか気絶している二人を眼だけで確認しています。

 しかし二人ともまだ気絶しているので、完全に決着がついている状況です。



「これはもう、決着ですよね?」

「ぐ、くそがぁ」

「それでは。この勝負、リルちゃんの勝ち!」



 クレアさんの判断もあり、私の勝ちでようやく模擬戦が終わりました。

 それに伴って周りで観戦していた人たちから歓声が上がります。

 元からこの街にいた冒険者の人たちからは称賛の声が飛んできます。


 帝国から来たであろう冒険者からは特に歓声は上がらなかったものの、私たちを見る目から不快な感情は消え失せました。

 そして一緒に見ていたであろう商人っぽい人たちは、私たちから金儲けの気配を感じたのか、私たちに話しかけたそうにしています。



 まあ、主にエルフィアの義肢が原因でしょうね。

 厄介ごとの気配がします。

 あれ?模擬戦前も似たようなことを言ってた気がしますけど、深く考えないようにしましょう。

 考えたら負けです。



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