運命を変える
初投稿で、15歳以下です。文章力がないのは許してください。
「うっぅぅ。優…」
魔導士・咲は泣いていた。大きな部屋に一人。いや。正確には2人というのだろうか。
白いワンピースの裾は赤黒く染まり、優と摘んだヒマワリの花びらさえも
赤く染まる。咲の視界はぼやけているが、優が。優の死体がはっきり映っている。
泣き声はだんだんとかすれ、部屋に響くのは午後3時10分を指す時計のカチカチという音だけ。
「優。ねぇ。なんで?死んじゃったの?ねぇ?」
時計の音を引き裂いて。咲の淡々とした悲しみの言葉が響く。
そんな咲を見つめる男が一人。男は、何を悲しむわけでもなく、
ただ笑っていた。あざ笑っていた。部屋についた、一つのガラス窓から。何をするわけでもなく。
「…よくも…よくも優を…」
その男を睨めば、男は大笑いして口を動かす。
_ざまぁみろ_
男の口はそう動く。それが引き金となり咲の怒りはついに爆発した。
「なにが。なにがざまぁ見ろだ・・・。」
咲はなかなかの美貌の持ち主だが、言葉遣いが悪い。そのせいで女の敵は多かった。
でも、男の敵なんてそこまでいない。つまりこれは。多分優の敵だ。自分を狙ったわけではない。
それでも咲は許せなかった。咲にとって優はゆういつの友達だった。
どんなときでも。ずっと一緒だった。それに、この世界は、物語みたいに争ってるということもなく
人間も魔族も、魔法使いも皆平和に暮らしていた。優だって私と違って人間だったけど
一緒に学校行って、遊んで、お花摘みして。
咲は優と過ごした日々を思い出しながら口を動かす。
「 『 』 」
滅びの呪文。この言葉を簡易的に説明すると、これしかない。
呪文を唱えると、咲の周りから赤に近いような、影のようなものがゆらゆらと
浮き上がる。それを見た男は、冷や汗をたらりとたらし、またもや口を動かす。
_さすが。悪魔の魔女様_
「…っ…うるさい!その名前で呼ぶな!」
『悪魔の魔女』咲はその言葉に言葉を詰まらせながらも必死に言い返す。
気づくと影のようなものは咲の太ももくらいまで来ている。
「 『 』 」
またもや呪文を唱えると、男は冷や汗をぽたぽたとたらしながらにやりと笑う。
そしてまたゆっくりと口を動かす。
__巻き戻しの呪文か__
世界がどんどん渦巻くように回る中、最後に男は満面の笑みで一言叫ぶ。
それは、ちゃんと『声』として聞こえた。
「運命は変えられない」
冷たい口調で言い放つその言葉はなぜだかとても心地よかった。
****
目を覚ますとそこは小さな小屋だった。木の床に寝転がり日時を確認する。
6月20日。どうやら呪文は成功したらしい。
確か、あの悲惨な出来事が起きたのは7月25日。後、1ヵ月と5日の有余。
優が変わり始めたのは今日。上手く思った日にとんでこられた。
_運命は変えられない_
最後に男が言い放った言葉が頭から離れない。
優が死ぬ運命は変えられないということなのだろうか。
男と会うという運命は変えられないということなのだろうか。
想像が広がる。
「…お~い!」
「っ!?優!?」
「ん?優だけど?今更何?」
懐かしい優の少し生意気な声に現実に戻される。
優がきたのも都合がいい。原因を探るとしよう。
「優‼今開けるね‼」
元気な声に続き、「絶対に助けるから」と小声で呟く。
その声を聴いたものは誰一人といなかった。
____優。死亡まであと1ヵ月と5日_____