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74/169

その74

 翌日のボピくんの職場は前にも

行ったことのあるスタジオ203

でした。この番組は話題の人をゲ

ストに招き、色んな話を聞くとい

うものです。

 前回、この番組の言葉指導をし

た時、アゴヒゲトリオの田中がボ

ピくんに反発してきたのです。そ

の結果、ボピくんの威信が損なわ

れそうになりました。

 なので、今回はボピくんにとっ

て、リベンジの機会でもありまし

た。ーーーーーーー

司会女子アナ「今日のゲストは、

 漫才コンビの七郎・八郎のおふ

 たりです」

七郎・八郎「よろしくおねがいし

 まーす」

司会アナ「今や、お二人は大人気

 ですね」

七郎「おかげさまで、どうにか、

 やらせてもらっています」

八郎「売れなかったころは本当に

 大変でしたけどね、今は毎日が

 楽しいです」

司会「漫才のネタはどちらが作っ

 ているんですか」

八郎「主に僕が作っています」

七郎「いやあ、八郎の作るネタは

 本当に面白いです」

八郎「おや、七郎にいさん。今日

 は随分、やさしいですね」

~すると、そこへボピくんがショ

ボショボと背中を丸めて、申し訳

なさそうに出てきました。その姿

にはいつもの勢いがありません。

実は、ボピくんはみんなに嫌われ

るのがイヤになり、硬派路線をや

めて、柔和路線に変えようと思っ

ているのです。

 それでも、これまでの流れがあ

るので出演者たちはボピくんを見

て、こわがりました。

司会・七郎・八郎「ヒエー、で、

 で、で、で、で、出たあー」

ボピ「あっ、みな様。こわがらな

 いでくだちゃい。ぼくは決して

 暴力は振るいまちぇんから」

その言葉に出演者達は落ち着きを

取り戻しました。

司会「あのぉ~、ここまでで何か

 日本語の間違いがあったでしょ

 うか?」

ボピ「はい。大変、保守的な考え

 方でちゅみまちぇんが・・」

 ボピくんは両手をすりあわせな

がら椅子に腰かけました。これも

出演者を怖がらせないための工夫

なのです。

ボピ「楽しいです、という言い方

 なのでちゅが、これが少し気に

 なるのでちゅ」

八郎「はあ、なぜですか?」

ボピ「〇〇です、と、〇〇だ、は

 親戚のようなものです。そして

 〇〇です、は、〇〇だ、を丁寧

 に言ったものと考えることがで

 きまちゅ」

八郎「はあ・・・」

ボピ「例えば、平和だ、を丁寧に

 言えば、平和です、となるので

 ちゅ。逆に言えば、平和です、

 を簡単に言うと、平和だ、とな

 りまちゅ」

七郎「だから、何なのですか?」

ボピ「ちゅまり、〇〇です、とい

 う語尾と、〇〇だ、という語尾

 は入れ替え可能でなければいけ

 ないのでちゅ」

司会「ほお・・・」

ボピ「例えば、彼は有名です、と

 いう文があったとしまちゅ。こ

 の文を、彼は有名だ、と言い換

 えましょう。この文に不自然な

 点はありまちゅか?」

八郎「彼は有名だ。この文に不自

 然な点はないですね」

ボピ「では、さきほど八郎さんは

 毎日が楽しいです、と言いまし

 たね。これを言い換えて、毎日

 が楽しいだ、という文はどうで

 しょうか」

七郎「毎日が楽しいだ。うーん、

 楽しいだ、は不自然ですね」

ボピ「そうでちゅね。今の人達は

 何も感じなくなっていますが、

 昔の人は、楽しいです、という

 言い方も不自然だと感じていた

 のでありまちゅ」

八郎「へえ・・・」

ボピ「では、ここでクイズです。

 以下の5つの文で文法的に正し

 いのはどれでしょうか?

 1-この物語は面白いです。

 2-この映画は感動的です。

 3-兄さんはやさしいです。

 4-この部屋は静かです。

 5-宇宙は広いです。 」

七郎「ヒントを下さい」

ボピ「正しいのはひとつとは限り

 まちぇん。~です、の語尾を

 ~だ、に置き換えて考えてみて

 くだちゃい」



 


 





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