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第1話 どこにも届かないから
嘆いて天を見つめる
そこから天使なんて降ってはこない
神様なんて見守ってはいない
黄昏の空から 光だけが落ちてきている
祈りを捧げて 空しくならないかい?
「どうしようもない世の中をどうにかしてほしい」
「余るほどの不幸をなくしてほしい」
そんなの無理だから
ありえないから
空を見るより
周りを見ていたほうが
ずっと有意義じゃないか
期待なんてしないさ
自分以外の何かになんて
「ストーリー」
お金もない、食べるものもない。
家はない、着るものはボロボロだ。
それでも「助けてくれ」なんて言わないよ。
そんな事しても、誰も聞かない、どこにも届かないから。