盛鴎外 その5
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
羽曳野あひる Dstars2期生 雑談配信が得意
【シチュエーション】
収録前の楽屋でのお話
◇ ◇ ◇ ◇
あひる「どうだばにら」
「話の盛り方について少しは分かったか?」
ばにら「まぁ、なんとなく」
あひる「なんとなくってなんや。ちゃんと教えたやないかい」
「はい復唱!」
ばにら「その1、盛る相手は選ぶ」
「その2、笑える話にするために盛る」
「その3、リスナーの気持ちになって考える」
あひる「そう!」
「これだけ覚えれば、お前も今日からモリモリ盛鴎外や!」
ばにら「モリモリ盛鴎外は普通にダサくていやです」
あひる「なんで!」
ばにら「けど、参考になりました」
「ありがとうございますあひる先輩」
「これからトークの時に使ってみます」
あひる「待てばにら」
「まだお前に、話していないことがある」
ばにら「どうしたんです? 急にシリアスになって?」
あひる「いいかばにら」
「これだけは覚えておけ」
「盛るのと嘘は違う!(ドヤ顔)」
ばにら「……ぉぉぅ(引き顔)」
あひる「実際にあったことを誇張するのはいい」
「面白くするために盛るのはいくらやってもいい」
「けどな」
「実際にはなかったことを言うのはダメ」
「それは嘘や」
ばにら「……そうですね」
「嘘はリスナーさんに失礼ですもんね」
あひる「違う! そうじゃない!」
ばにら「違うんですか!」
あひる「嘘を配信で話してしまうと――」
「その嘘をずっと覚えてなくちゃいけない!」
「嘘に振り回されることになるんや!」
ばにら「当たり前の話ですけど⁉」
「え、もしかして⁉」
「あひる先輩なんかやっちゃったバニか⁉」
あひる「やっちゃったバニ!!!!」
ばにら「なにやっちゃったバニか⁉」
あひる「えー、これは本当にやらかしなんですが」
「あひるの鉄板ネタ『高校時代に男子が言ってた』ってあるじゃん?」
ばにら「あるバニですね」
「男子高校生の思春期弄りネタ」
あひる「あひる――共学は小学校しか経験ないんだグヮ!!」
「中高大と女子校だったんだグヮ!!」
ばにら「嘘バニでしょ⁉」
あひる「全部台本書いてます」
ばにら「嘘バニでしょ⁉(二回目・迫真)」
あひる「『高校時代に男子が言ってた』シリーズは」
「女子校出身VTuberがネット知識で書いた妄想です!」
ばにら「嘘バニでしょ⁉(三回目・白目)」
あひる「マジマジマジ」
「これは本当の話です」
「ガワのコンセプトが『君の隣の悪友系VTuber』だからさ」
「そこを忠実にやろうとしたのよ」
ばにら「女子校出身なのに⁉」
あひる「そうなの!」
「だから――嘘吐くのめちゃくちゃしんどいの!」
「いつもヒヤヒヤしながらあの話をしてんの!」
ばにら「大変バニですじゃん」
「実体験からくる忠告ってことバニ?」
あひる「そういうことグヮ」
「一度でも嘘を吐くと、その嘘をずっと吐き続けていくことになるグヮ」
ばにら「……これは何も言い返せないですわ」
「当たり前すぎて」
あひる「悪いことは言わん盛るだけにしておけ」
「あひるのように、嘘でがんじがらめになったらいかん」
「誇張ならリカバリは簡単だから」
「最悪『あひるちゃん盛りすぎ』って、周りがカバーしてくれるから」
ばにら「雑談芸って奥が深い……」
あひる「話を盛るポイントその4」
「嘘は吐かない」
「これだけ覚えて、今日は帰ってもろて」
ばにら「あひる先輩」
「今日は、どうもありがとうございました」
あひる「…………」
ばにら「……もしかして泣いてます、あひる先輩?」
あひる「……いや、もう、ホントマジで辛くてさ」
「なんで『高校が共学で』とか言っちゃったかなぁ」
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設定に忠実であろうとするVTuberもいいですが、ほどよく中身が出てきてるくらいがおいしいかなと僕は思っています。人間ですから無理のない範囲で!
ゆるゆる更新なんで気軽に☆を入れてくると嬉しいです。m(__)m