盛鴎外 その3
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
羽曳野あひる Dstars2期生 雑談配信が得意
<話題に出てくるだけ>
津軽りんご DStars特待生 きまぐれ僕っ娘
【シチュエーション】
収録前の楽屋でのお話
◇ ◇ ◇ ◇
あひる「じゃあ次。これもあひるの実例なんだけど」
「あひるがりんごの家に泊まった話」
ばにら「あぁ、お泊まり配信した時の……?」
「たしかりんご先輩がたくさんご馳走を用意してくれて」
「『もう食べられない!』ってなったやつ」
あひる「そう。これは分かりやすいよね」
ばにら「流石に盛ってるって分かりますよ」
「食べきれないほど用意するとかあり得ませんて」
あひる「そう、そこなんよ」
「けどさ、よく考えてみて?」
「なんで『そんな話の盛り方』をしたと思う?」
ばにら「ふぇっ?」
あひる「もっとインパクトがある方がいいよね」
「『まぐろの頭が出てきた』とかの方が面白いよね?」
ばにら「それは、人によるかと」
あひる「実はこうしたのには理由があります」
「これは完全にあひるが悪いんだけれど」
「あひるって生魚が食べられないのね?」
ばにら「そうなんですか?」
あひる「そうなの。配信では言ってないけど」
ばにら「知りませんでした」
あひる「りんごにもそれ言ってなくてさ」
「そしたら、お泊まり配信の時に用意してくれたのよ」
「四人前のお寿司」
ばにら「…………ありゃぁ」
あひる「いなりとガリしか食えるもんがない」
「足りないからりんごのカップヌードルを貰ったよね」
「シーフード味」
ばにら「シーフード味は食べられるんバニな」
あひる「まぁまぁまぁ」
「とにかくね、そういう訳でね」
「笑い話にしたけれど、実際は地獄だった訳ですよ」
ばにら「違う意味で食べられなかった訳ですね」
「けど、配信者的にはおいしいのでは?」
あひる「ばにら(ガチトーン)」
ばにら「あ、ハイ(スン)」
あひる「流石にこれをネタにしたらりんごが傷つくやろ」
「笑い話にできるハプニングとできないハプニングがある」
ばにら「……おっしゃる通りです」
あひる「はい、話を盛るポイントその2」
「笑える話にするために盛る」
「VTuberは転んでもただでは起きない」
「ハプニングはネタにする」
ばにら(それは芸人では……?)
あひる「けど、言うと角が立つこともある」
「そのために――盛るんや!」
ばにら「なるほど」
あひる「『苦手な生魚が出てきて食べられなかった』ってのはおいしい」
「けど、あひるが『生魚が苦手』って情報はいらない」
「だからカットする」
ばにら「盛るんじゃなくて?」
あひる「そうカットする!」
「そのカットした部分を盛って誤魔化すんだグヮ!」
ばにら「なるほどバニ」
「『生魚が苦手で』を」
「『大量の料理が出てきて』に変えて」
「『食べられなかった』エピソードを使うってことバニな?」
あひる「そういうこと!」
「これで辛い話も笑い話に変わる!」
「話せるようになる!」
「誰も傷つかないグヮな!」
ばにら「……ちょっと目から鱗です」
「あひる先輩。けっこう周りのことを考えてるんですね」
「何も考えていないと思ってました」
あひる「おい!」
ばにら「これは本当に参考になりました」
「お礼にご飯おごりますよ」
「回らないお寿司でいいですか?」
あひる「だから生魚は食べられんのじゃ!」
「いなりとガリしか食べられんのじゃ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
尊敬してんのか舐めてかかってるのか。
先輩VTuberへの弄り返しもいいですよね。
お互いに信頼してるのが伝わって来て……。(ほくほく)
ゆるゆる更新なんで気軽に☆を入れてくると嬉しいです。m(__)m