的外れの騎士
「それで、そのガキはどこに行った?」
シオウらしき子供の目撃情報を掴んだ騎士達は報告のあった街へと向かった。
だが、街を出て行った後の足取りが掴めず、それぞれ己の直感に従いばらけると、そのうちの一人が森の中で彷徨っていた男を捕まえる事となった。
いつもならば気にも留めないただの男。
道に迷っていようが、遭難していようが助けることはしないし、少し遊んでしまうだけで壊れてしまう人間などに興味が湧くわけもないのだが、なぜかその時はその男に声をかけるべきだと思ったのだ。
そして今気になる単語を口にした男を締め上げている所であった。
「し、しらねぇ! 俺は逃げて来たんだ! あの化け物がどこに行ったかなんて知らげひゅ?」
だが、結局得られる情報は少なかったため、これ以上話している時間は無駄だと思いそのまま首の骨を折り捨てる。
「使えねぇ奴。まあ数日前まではここら辺にいたことがわかっただけでも良しとするか・・・・しかしあのガキどこに向かったんだ?」
ここは帝国領の北東に位置する場所。
直感だよりでここまで来たが、まさかこんなところでシオウの目撃情報が得られるとは思いもいなかった。
ぶっちゃけ己の勘を疑うほどの場所だというのに。
「てっきり聖教国か連合国にでも逃げるのかと思っていたが、そうじゃなさそうだな」
西に聖教国・南に連合国・連合国の先にあのガキが住んでいた公国が存在する。
そして帝国の北と東には海が広がっているだけだ。
「・・・・・まさか新天地でも目指すつもりか?」
探検隊などは時々出ているが、東の海の先に島があったなどの報告は受けていない。
そして己の現状を理解するならば、そんな事をやっている場合ではなく、身を隠すか帝国から逃げる事を優先するだろう。
だがあのバカならやりかねないと、思わなくもない。
壊すつもりで攻撃しても壊すことができず、日に日に身体が頑丈になっていき、爆発する奴隷の首輪を付ければそれをものともせずに逃げ出す奴だ。
こちらの予想をことごとく裏切られ、裏をかかれて逃げられてきた。
あのガキなら、こちらの考えを読んで突拍子もない事を平然とやりそうだ・・・と騎士は考える。
「くっくっくっ、そうだな。あのガキならそれくらい予想外な事をしてくれるよな。もしかしたらそれすら読まれているかもしれねぇが。まぁ、そんときゃそんときだ」
騎士は一人納得すると東へと向かいだした。
はっきり言って騎士がシオウに向ける評価は過大評価もいいとこである。
そしてシオウに逃亡者としての自覚はとても薄い。
だって自分が騎士達に追われている自覚は無いのだから。
ただ帝都の近くにいると騎士達と鉢合わせしそうだから、離れているだけである。
しかもシオウはこの帝国の北と東が海に面しているなども知らず、ただ真っ直ぐ向かう方角を間違えないようにするために、朝日が昇る方角に向かって進んでいるだけだ。
自慢げに考察する騎士であったが、その考えは的外れもいいところである。
ただそれでも、向かう方角は間違っていないため、確実にシオウとの距離は詰められているが。
「騎士様、お仕事です」
「あん? 何で伝令がここまで来てんだよ。くんじゃねぇよ。つかクソ面白くもねぇ仕事なんざしるか。帰ってジジタイにでもやらせてお「公国が我が国に戦争を仕掛けてきました。それに合わせるように聖教国も大規模の軍が派遣されております」・・・ほぉ、それはなかなかに面白いな」
だが、シオウの運が良かったのか騎士の興味はシオウよりも大規模戦争へと向けられる事となり、難を逃れる事となった。




