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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第三章 強者へと至るその代価
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幸せなひと時


『ステージクリア! ステージ30に上がります! くわえて貴方の全てが上昇します! 更に今回より新たな機能とスラコレの画面が追加され、癒しのお話時間が伸びました。追加された機能はスキンの着せ替えです。自分だけのコーデを考え、貴方もスラコレに参加しましょう! 癒しのお話機能は一分間から十分間に伸びました。


 注意:スラコレに参加する場合は画面をスラコレの画面に切り替えてください。スラコレ画面に切り替える場合は念じて頂ければ変更できます。ただし通常時のスライム画面に戻す場合は五秒間長押しし続けてください』


 女の人に言われた通りステージ30までクリアすると、お着替え機能と言うのが追加された。

 スキンを選ぶとその周りに空欄の四角い箱のようなモノがいくつも表示されている。

 それはゲームのキャラのステータス画面のようなモノであった。


『新たに追加された機能を使えば、貴方の装備品を好きに取り外しできるわ。奴隷の首輪は頭装備扱いだから、まずは頭装備の空欄をクリックしてみて』

「おぉ! お姉ちゃんだ! やっほーーっ!」

『はいはい、やっほー・・・・って、これ毎日やる気?』

「うぁ? そうだよ?」

『そう・・・・まぁいいわ。それより話せる時間が長くなったとはいっても無限ではないのだから早くクリックして』

「くりく?・・・栗食いたいの? まだ秋じゃないから取れないと思うよ?」

『誰が食材の話をしましたか。クリックとはタッチ・・・ではわからないわよね。頭装備の四角い空欄に触れて、いえ、つついてもらっていい?』

「うん! おりゃりゃりゃりゃりゃりゃっ!!」

『誰が連打しろと言ったのよっ! 一度でいいのっ! 一度でっ!』

「うぇ?・・・・・・は~い」


 新たな機能は、シオウには馴染みのないものであり、とても扱いにくかった。

 色々機能を追加されるのはいいが、ちゃんと説明書くらい寄越せと思わないでもない。

 まぁ説明書代わりにこの女の人がいるので、いらないのかもしれないが。


「お姉ちゃん! ズボン脱げた! けどパンツが脱げないよ?」

『誰が下半身の装備を外せと言ったの! 頭装備って言ったでしょ!』

「だってステージ攻略していくと時々ちんちん大きくなってたりするんだもん。だから見てみたかったんだもん」

『そんなの後にしなさい! というか全体的に強化されてるのに何でそれを一番気になるのよ! もっと他にあるでしょう!』

「だけどパパが「股間はデカイに越したことはねぇ!」って言ってたよ?」

『貴方のお父さんはなんてことテメェの息子に吹き込んでるのよ!』

「あっ、ママも「デカイの大好き!」とか言ってたよ! なんで好きなのかわかんないけど好みなんだって!」

『貴方の親は変態なの!? 年端もいかない子供になんてこと教えているのよっ!?』


 そして好奇心旺盛で自由な子供相手に、言葉だけで色々指示を出すのはとても大変な事であり、いかに有能な者であっても手を焼くのだった。








「むん! 戻った!」


 あれから何とか女の人の指示の元、無事奴隷の首輪を外したシオウは人の姿に戻っていた。

 青スライムのポヨポヨした身体も楽しかったが、やはり元の人の身体の方がしっくりくると、シオウは満足そうに胸を張る。


『よかったわね・・・はぁ』


 そんなシオウとは真逆に女の人はとても疲れたようにため息を吐いた。

 まあ、なんというかお疲れ様である。


『それではまた何かあったら呼んで。とはいっても今日はもう話せる時間はあまり残されていないけど』

「えーーー! もっとお話しようよ!」

『そうしたくてもできないの・・・・・そうね、もっと話したいならどんどんステージをクリアしていきなさい。ステージ100までクリアすれば丸一日話し続けることだって可能になるわよ』

「ホント!? よーし! ならやる!」

『今じゃないわよ! 今は街に着くのが先決! だから今やろうとしない! はいはいっ! さっさと街に向かう! 街道を歩いていけばどこか街に着くはずですからね。ああ、勿論あの頭の可笑しい騎士達がいる帝都から離れるように向かうのよ』

「え~~~! 僕もっとお姉ちゃんとお話したい! だからこれやりたい!!」

『駄々こねてもダメなものはダメです! それじゃあ、気を付けて向かうのよ。変な人についていっちゃダメですからね! お菓子あげるとか言われても絶対付いて行っちゃダメですからね! わかった!』

「むぅ~~~・・・・・・・・・は~い」


 めっ! と言うように怒られてしまい渋々シオウは頷く。

 そして女の人の声は聞こえなくなった。


「・・・・・・・・・・・・つん」


 なので女の人は眠ったのだろうと思い、隠れてクリッカーを使用し遊ぼうと思ったのだが、


『めっ! ですよ!』

「ぶぅ~~・・・・・・は~い」


 どこで見ているのかわからないが、また怒られてしまったシオウは不満そうにしながらも、素直に頷くと街道を歩き出した。


「・・・・・・ふっふふ~ん」


 ただすぐに機嫌が良くなる。

 何か面白い物を見つけた訳でも、美味しい物を食べている訳でもない。

 ただ一人で旅をするのではなく、旅のお供ができたことが嬉しかっただけだ。

 声だけだとしても一人じゃない。

 一人ぼっちじゃないことがとても嬉しかったようだ。




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