期限が・・・
女性の声に従い、シオウは家の中にある食料を食い荒らす。
台所にあるのも、床下に隠してあるのも、棚にある食料も全て食べ尽くした。
スライムの身体は満腹感と言うのが存在しないのか、まるで掃除機の様に見つけた食料を全て吸収していく。
人の身体であれば絶対こんなに食べきれないと言うほどに。
「ぺったん! ぺったん! ぺったん! ぺったん!」
そして大量の食べ物を食べ終えれば、あの女の人の言う通りに、画面上で赤く光るシオウの身体をペタペタと触れていく。
最初は触手でペシペシ叩いていたのだが、途中から飽きてしまい今はポヨポヨと跳ねながら画面に向かって体当たりを繰り返していた。
こうして跳ねていると、画面上のスライム達と一緒に跳ねて遊んでいるような気がして、ちょっと楽しいのだ。
それに
「おーい! お姉ちゃん! 返事してよーーーっ!!・・・・むぅ~」
先程から何度もあの女の人を呼ぶが一向に返事が返ってこないので、そのイラつきをぶつけることができていい怒り発散運動になるのだ。
まるでバスケットのボールの様に床と画面をドリブルしている様にしか見えないが、そこは気にしてはいけない。
「むぅ~~~! お姉ちゃん! 無視しないでよ!・・・・・むぅっ!!」
怒りながらも、何度も画面に体当たりを繰り返す。
お姉ちゃんと呼ぶ存在がシカトし続けても、画面に体当たりすることを止めることはなく、画面上に表示されていた人型のシオウの身体は、徐々に赤い色からオレンジ色へと変わり、そして最終的に正常を示す青色へと変わるのだった。
だが青色に変わったのは日が昇り、淡く暖かな光が包む朝方までかかっていた。
奴隷の首輪が爆発するまでの時刻が刻一刻と迫る。
いかに能力で強化されたシオウの身体であっても、ゼロ距離から爆発の魔法を喰らえば無傷では済まない。
それも急所である首を囲むように爆発されれば死は免れないだろう。
「えいやっえいやっえいやっえいやっ! お姉ちゃん返事! えいやっえいやっえいやっえいやっ!! お姉ちゃん返事!!」
だが、見知らぬ女性の声に気を取られているシオウがそれに気が付くことはなく、もうスキンの修復は終わったよと言わんばかりに青色に表示されていても、無駄にぺったんぺったんと画面に体当たりを繰り出すのだった。
「・・・・・時間だな」
シオウを置いて来た騎士の一人がそう呟く。
部屋の窓から見上げる太陽が真上に登っているのだが、その時刻になってもシオウは帝国に戻ってこなかった。
ならば時間通り奴隷の首輪が作動し爆発したことだろう。
「もう少しやる奴だと思ったんだがな。見込み違いだったな」
「あのガキならぜってぇ戻ってくると思ったのにこの程度かよ。くっそ、こんなんでくたばるなら俺の手で殺しておけばよかったぜ」
騎士達はある意味シオウを信用していた。
毎日あれほどぶちのめしても、次の日も変わらず挑んでくるその根性を信用していたのだ。
「まっ、死んじまったもんはしょうがねぇだろ。それより戦利品の女共はどうするよ。聖教国アルリアのスパイ共だが抱くか?」
「脂ぎった神官共に弄ばれた女なんざどこもかしこも緩くなってんだ。使いたくねぇっての」
「それにあの女共弱そうだからな。一発ぶん殴るだけでくたばる女なんざ抱くだけ時間の無駄だ」
「タングラの好みは殴っても死なない女だからな。そんな女そういるわけねぇっての。高望みしすぎじゃねぇか?」
「何言ってんだ。昔いただろ。どっかの国のデケェ女騎士がよ」
「それはあの巨漢女が特別だっただけだろ。人族であれほどデカくて男と見間違う女は早々いねぇっての。そんなに頑丈な女が欲しけりゃ人族以外の獣人なり、亜人なり攫ってこいよ。奴等は人族と比べて頑丈にできてっから早々ぶっ壊れねぇぜ」
「ノミまみれの雌共なんざ抱いたらあそこが痒くなるだろうが。ぜってぇ無理。近寄るのも無理だぜ」
「だな。奴等きたねぇから病気とか持ってそうだしよ」
「それな」
「それは俺もわかる」
「俺も無理だ」
そう言うと騎士達は何が楽しいのか笑い出した。
種族差別甚だしい。
別に人族以外の種族が皆汚いと言う訳でも無ければ、中には人族以上に綺麗好きな種族もいると言うのに。
「なら全員いつも通り繁殖小屋行きでいいな」
「ああ、それでいいぜ」
「異議なし」
「話は終わり終わり」
話がまとまった騎士達は、捕らえた者達を繁殖行きと紙にサインすると、それぞれ訓練場へと遊びに出かけるのだった。。




