この隊の隊長はなかなかに大変
ジジタイは馬車と手勢を引き連れて、先行したバカ騎士四人を追いかける。
元々バカ騎士四人を先に行かせるつもりなど無かったのだが、アイツ等がこちらの命令に従わないことなどいつものことなので諦めている。
まあ、皆殺しにしない程度の脳みそは持っているので問題はないだろう。
少々男の数が減るだろうが、減った分は増やせばいいだけだ。
「・・・・・アイツ等は何をまじになっておるのだ?」
目的の村に着くと家々は破壊され、そこら中に死体が転がっていた。
そのことに関しては特に文句を言うことはない。
数を増やすための女も、次の世代が育つまでのつなぎとなる子供も若い男も想像よりも多く生きて捕らえられているのだ。
なのでこのことに関して責めることはない。
ただ疑問が浮かんだけだ。
今のこの状況を
「おぉ、モロにくろうたか。ありゃあ確実にアバラが折れたじゃろうなぁ」
最近訓練場でよく見られた光景。
アナーキー部隊のサンドバック騎士となったシオウが殴り続けられる光景だった。
ただいつもの違うのは一対一ではなく、一対三と言う状況だった。
細剣使いのザンザ、爆剛拳のタングラ、柔獣術のオウマ。
三人が遊びで共闘することはあれども、一匹の獲物を本気で攻めたてることはしない。
そんなことしてしまってはすぐに獲物が使い物にならなくなり、面白みが減るからだ。
「ジジタイ遅かったな」
「遅かったではないわい。先行するのはこの際咎めはせぬが、荷運び用の馬車くらい用意しておかぬか。なぜ隊長の儂がこんな雑用な事をしなくてはならぬのだ」
「そういう細かい作業が俺等にできる訳ねぇだろ? 全員人を殺すことしかできないんだからよ。あれだ、全員一芸に秀でるのさ」
「ただ面倒なだけだろ。物臭どもめ。それで今何をやっておるのだ。遊び・・・とは思えぬ光景だが?」
「ああ、あれな。あれは今勝負している所だ」
「ワッパ相手に騎士が三人であるぞ。アレで勝負になるまい」
休みなく襲いくる攻撃の嵐に反撃などできる訳もなく、ただ身を守り続けるシオウ。
アレは勝負とは言えないだろう。
「仕方ねぇさ。アイツ等に喧嘩吹っかけたのはあのガキだからな」
「ほ? なんじゃい。ワッパから喧嘩吹っかけたのか?」
「ああ。無意味に村人殺すことを止めないから、帝国のルールに乗っ取って全員叩きのめしてやるんだと。そうすりゃ逆らえないだろうから、全員かかってこいって挑発してたぜ」
「く、クハハハハッ!! 何じゃいそれは! 面白いこと言うワッパじゃのう!」
それで挑発された三人は遠慮もなくワッパをボロ雑巾にしていると言うことか。
なんとも大人気ない者達だ。
ワッパの戯言など聞き流せばいいだけだと言うのに。
「それであ奴等はいつまでやっておるのだ。さっさと積み荷を積んでさっさと帰らねば一雨来るぞい」
「一雨来るなら今日はここに泊まればいいだろ。随分壊しちまったが、無事な家もあるしよ」
「イヤじゃい。儂はさっさと家に帰るのじゃ。かわゆい妻奴隷共が儂を待っておるのじゃからな」
「テメェの奴隷共もいい年だろうにまだ子供こさえさせるきかよ。くたばっても知らねぇぞ」
「そしたら新しいのを奪ってくればいいだけじゃろ? まあ、儂の好みの年上女はなかなかおらんで難儀するがのぉ」
「爺の年上好きとかもはや死にかけしかいねぇだろ。それか長寿のエルフでも奴隷にするのか?」
「人モドキに興味などないわい。アホな事を抜かすでない。それよりお主そろそろあ奴等を止めてまいれ。それかお主一人で積み込み作業をいたせ」
「誰が野郎共の仕事までやるかよ」
アホな事を抜かすなと言わんばかりに肩をすくめるとシオウを痛めつけている騎士達の元へと向かった。
そして騎士達の元へと着くと、一言二言言葉を交わし・・・・・なぜか騎士同士で戦いだした。
その光景を見て、そう言えば儂の元にいる騎士共は全員口で言って止まる利口な奴等ではないことを思い出す。
止めたいなら己の拳で止めろ。
お願いではなく命令ならば勝負に勝ってからにしろ。
舐めんなこのヤロウの精神は生粋の帝国民であることを思い出した。
「帝国民としては間違っておらぬが、なんとも扱いにくい奴等じゃて。はぁ、仕方がないちと格の違いを教えてやるかのう」
そう言うと、ジジタイも五人の戦いに参加するのだった。
勝敗は言わずともジジタイの完勝だったと言っておこう。
だてに問題児ばかりの騎士共の頭を張ってはいない。




