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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第三章 強者へと至るその代価
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ジジタイ


 あれから数日馬に引かれながら帝国の首都へと連れていかれた。

 引きずられているので道行く人に凄い目で見られていたが、そこを気にしても仕方がないだろう。


「おうジジタイ! 今日からコイツを俺等の隊に入れろ!」

「あんじゃあ? ワッパなんぞ連れてきおって、わりゃあ何考えとるか?」


 お城の様なところに連れていかれたと思ったら、あれよあれよと訓練場に引きずられ、そこで魔法使いの様な長い髭の生えた爺さんと対面することとなった。

 ただ、魔法使いの様に見えるのは顔だけであり、お爺さんの身体はムキムキの筋肉に、両腕に大きな丸盾を抱えているので、職業はどう見ても魔法使いではないだろう。

 あの姿で大魔導士です! 何て言われた日には詐欺もいい所である。


「コイツはそんじょそこらのガキとは比べ物にならないほど頑丈だ。俺等の遊び相手に丁度いいぜ」

「試し斬りにはもってこいだ」

「試し殴りにももってこいだな」

「高位神官の治療魔法でなくとも回復する異常なほどの回復力。こういう特殊生物はなかなかお目にかかれねぇ。捕獲しておくべきだ」

「・・・・・お前等全員の意見が合うとは珍しいこともあるもんじゃな」


 普段から意見など合わぬくせにと思いつつ、目の前に縛られたシオウに視線を向ける爺さん。


「ふむ・・・・・・オラッ!」

「!? でやっ!」


 躊躇することなく、シオウをぺちゃんこにしようと二つの丸盾で思い切り挟み込もうとした。

 後ろに飛んで逃げるにも騎士達が邪魔で逃げられず、だからと言って前に逃げようにもそれも騎士が縄を短く持っているので逃げられない。

 そして真上にジャンプするにも判断が遅れてしまい逃げられず、シオウは仕方なく挟み込んでくる巨大な盾を両足で受け止めた。


「ウギギギギギギッ!」

「ほう、これはなかなか面白い」


 爺さんからしたら騎士達の頑丈と言う言葉がどれほどのものか確かめる為の行動だったのだが、まさか受け止められるとは思わなかったようだ。

 というか、この爺も優しそうな顔して、行き成り攻撃してくるとか頭がおかしい。


「力も結構あるだろ。そのガキ、船の壁ぶっ壊したり、檻をひん曲げたりしたらしいぜ」

「見た所魔力のまの字も知らぬようだな・・では純粋に身体能力だけと言うことか」

「だろうな。だからよぉ。俺等の隊に入れようぜ。これで魔力が使えるようになりゃあ、もっと楽しいオモチャになりそうだろ?」

「ふむ・・・・・・・」

「ウグググギギギギギッ!!」


 ぺちゃくちゃ話してないで、いい加減人をぺちゃんこにしようとするのをやめてほしいと思うシオウ。

 無駄口叩いている間にもどんどん爺さんの力は強まっていき、その内力負けしそうだ。

 あっちは腕力でこっちは脚力で対抗しているのに、全く勝てる気がしない。


「まあ良かろう。儂もこのワッパに興味が湧いたしな。ただし、試験を通らねば隊には入れることはできぬぞ」

「おう、そりゃあ道理だな」


 ジジタイと呼ばれる爺さんの言葉に騎士は頷くと、シオウの身体ごと拘束具を斬り飛ばした。

 そしてジジタイは騎士が拘束具を斬り飛ばすよりも一瞬早くシオウを挟み込んでいた力を弱めた。


 当然盾で押しつぶさんとする力が弱まれば、重力に任せて落下するものだが、シオウの身体はそうはならなかった。

 騎士が下から上に振り上げるように斬り飛ばされる強力な一撃で、シオウの身体は宙を舞う。


「ッッッッ!?」


 息が止まるほどの一撃。

 一瞬何をされたのか思考が追い付かなかったが、視界にジジタイが落下するシオウに向けて構えを取っている事を知り、本能的に頭を守った。

 腕を深く斬られて大量に血が流れているが、傷付いている腕でもそうしなければいけない、腕が使い物になら無くなるかもしれないが守りに徹しなければ死ぬと予感し、力を入れても力を入れられているのかわからない腕でもって防御する。


「いい判断じゃ。耐えてみせい」


 なぜ褒められたのかと疑問に思う前に、ジジタイの盾がシオウに接触した瞬間、耳を塞ぐほどの爆発が起こり、シオウは吹き飛ばされることとなった。

 吹き飛ばされる際、腕の感覚が完全に無くなっていたが、吹き飛ばされた先で運悪く見慣れない騎士がドデカイハンマーを振り回しており、その素振りに叩き潰されシオウは意識を失うことになった。




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