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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第三章 強者へと至るその代価
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帝国(港町へ)到着


 船に揺られて帝国の港町に着いたシオウは治療院へと連れていかれ、そのまま目が潰れかねないまばゆい光を浴びせられ手足の治療を施された。

 勿論治療費などシオウに払える訳もなく、借金することになった。


「金貨一枚だねぇ。さっさと払いねぇ」

「相手見てせびりな。俺達は魔特武装騎士隊アナーキーだぜ」

「そんなことはいわれてもねぇ。払ってもらわねぇとこっちも生きてゲピッ!?」

「なら死んどけ」

「おいおい、金貨の一枚や二枚払っとけよ。ケチクセェ奴だな」

「ならテメェが払えよ」

「おう、ちゃんと後で払っとくぜ。つうわけだガキ。テメェは俺に金貨一枚の貸しができた。その分俺の遊び相手になれよ」

「くははっ! ケチクセェのテメェの方だろうが! まあいい、おいガキ俺もさっき金払っといたから俺にも貸しだ。せいぜい良質なサンドバックとして長生きしろよ」

「なら俺もそう言うことで」

「右に同じ」

「・・・・・・・・クズ共め」


 それもここにいる男達から全員金を借りたことになってしまった。

 普通に考えて払っていないのに、払ったことにされるなどまかり通る訳がないのだが、この帝国ではそれがまかり通る。


 強者は強者故に正しく、弱者は弱者故に悪い。

 それがこの帝国のルールであり法であった。

 文句があるならば弱者であり続けるな。

 力を付けろ。

 金で戦力を揃えろ。

 権力で圧し潰せ。

 それがこの帝国で生きていくための絶対不変のルールであった。

 そして、そんな強者達に向かって生意気な口をきいたシオウは


「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぅぅぅぅぅぅぅっ!?」


 道中馬に引きずられて帝国の首都を目指すこととなった。







「イテテッ、ちょっと切っちゃった」


 丸一日休みなくシオウを引廻しながら首都へと向かった帝国騎士達。

 というか丸一日引廻されて少しの怪我で済むはずがないのだが、そこは能力で普通の人よりも頑丈に強化されているので今更気にする事もないだろう。


 軽症ですんでいるシオウを見て、騎士達は機嫌よく笑い、褒美だと言いながら食い物を大量に渡してきた。

 どうやら、騎士達はシオウがもっとズタボロになると思っていたようだ。

 何度も言うがこの国では強い者が正しく、弱い者が悪い。

 ならば、引廻しで重傷を負うことなく軽症ですませたシオウは正しい。

 強者の予想を覆し、力ある強者故の結果を出したことは正しい。

 故に騎士は褒美を渡したのだ。


 なんとも独特な価値観を持っている国である。


「よっしゃ! なら今度は首都に着くまで休みなく走るか! おいクソ馬! テメェも根性見せろよ。じゃねぇと馬肉にして食うからな!」

「うえぇぇぇぇっ!? ふざけんな! はなせー! はなせーっ!! はーなーせーよーーーっ!!」


 そう言うと騎士達はシオウの叫びなど無視してまた走り出す。

 今度は丸一日などではなく、本当に首都に着くまで数日馬を走らせた。

 五日間近く寝ずに馬を操れる騎士も、騎士の要望に応える馬も化け物並みに凄いが、


「く~~~~・・・か~~~~・・・いて・・・うぅぅ・・いたい・・すぴ~~~~~」


 馬に引きずられることに慣れてしまい、普通に眠れるようになったシオウも化け物並みに異常であるのは言うまでもないだろう。





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