囚われて
檻 檻 檻 手枷 足枷 首輪 鎖 鎖 鎖
シオウの状態を単語で説明するならこんな感じである。
シェミを何とか逃がしてから、手足をハチの巣にされたまま枷を付けられ鎖で繋がれ、三重の檻にいれらてしまった。
こんなことしなくても手足がボロボロの時点で逃げられないとは思うが、どうやら色々とやらかした事でかなり警戒されているようだ。
「はぁ、はぁ。はぁ、はぁ」
最低限の治療をして貰えてはいるが、それでも負った傷の量が多すぎて熱がでており、身体に巨大な焼き石を乗せているみたいでとても熱い。
食事や薬もちゃんと用意されるが、ただ目の前に置かれているだけで誰も食べさせてはくれない。
何とか這いつくばって犬の様に食べてはいるが、熱を帯びた体ではその行動だけでも辛いものがあった。
「おぉ、おぉ、やっぱりすげぇ根性してんな。そのまま帝国に着くまで持ちこたえろよ」
時々様子を見にあの強い奴等が来る。
今回はシオウに細剣を突き刺した男が檻に入ってきた。
いつもは檻には入らず、話しかけてくると言うのに。
「・・・・・・・・・」
「しかし、こんなに気合の入った奴でも当たりじゃねぇとはな。世の中わからねぇもんだぜ。残念だったな。お前が当たりなら今頃最高の待遇と治療を受けさせてもらえてたぜ? つっても薬何ぞ碌にねぇから今とそう変わんねぇだろうがな!」
器用に目元だけ悲しそうにさせながら、口だけとても楽しそうに口角をあげる男。
どっちがこの男の本心なのかと思いながら、別にどっちでも自分には関係ないかと思い、シオウはただ黙って目を閉じた。
だがそれが気に食わなかったのか、男はシオウの頭を掴むと一度だけ床に頭を叩きつけた。
「ングッ!」
「シカトとは随分と悲しいねぇ。もしかしたらこれから俺達がお前のお仲間になるかもしれねぇんだぞ? 少しは可愛げ見せといた方がいいと思うぜ? なあ後輩候補君よぉ」
「・・・・・・・・・」
「はっ、ホント可愛げのないガキだ。まっ、そのクソ根性は好みだぜ。つかお前マジでカテェな。どんな体してんだか・・・・・・・・・・・・ほんじゃまた来るぜ。せいぜい死ぬなよ」
男が出ていく前にもう一度シオウの頭を床に叩きつけ、その後男の手が光った。
男の手が光だしたとき僅かに傷の痛みが引く。
多分何かの魔法を使われたのだろうと思いつつも、本当に僅かに痛みが引いただけで、ハチの巣にされた手足の激痛が消えることはない。
「・・・・ちくしょう」
男が出て行った後、シオウは悔しそうにそう呟く。
シェミを逃がせたことは誇りに思っているが、だからと言ってこの状況を悔しくない、などと言えるわけがない。
僕は強い。自分は強いんだと言っていたのにこの体たらく。
本当は自分が弱いことなど知っていたが、それでももっとやれると思っていたのに、これでは情けなくて仕方がない。
「・・・・・ひっく・・・・・ひっく・・」
一人檻に入れられた寂しさからか、それとも己では敵わない相手がいる恐怖からか、それとも自分が弱く情けない事を認めたくないのかわからない。
痛い、熱い、寂しい、痛い、暑い、苦しい、怖い、冷たい。
自分でも自分の心がわからなくなり感情がぐちゃぐちゃになりシオウは泣きだす。
「・・・く・・ぐしゅ・・・・ぐ、ぐりっが~」
寂しさを少しでも紛らわすために、クリッカーの能力を使いいつも傍にいてくれるスライム達の画面を呼び出す。
呼び出されたクリッカー画面は変わらずスライム達が元気に跳ね回るスライム村が映し出されていた。
いじめっ子ゴブリンを追い払い、いじめっ子ゴブリンのせいで傷ついた赤スライムを治したおかげで皆とても嬉しそうだ。
平和になった村が、幸せそうなスライム村がそこにあった。
「ぼくも・・・・ぼくもそこに行きたいよぉ」
それを見てシオウはその世界に入りたいと願った。
今だけは人を止めてスライムになってもいいから一緒に跳び回りたい。
そう願い、自然と仲間になる為にシオウは手を伸ばした。
そんなことを願っても意味がないとわかりつつも、画面に手を伸ばし彼等に触れる。
柔らかくなく板に触れているような感触。
彼等はここにはいない。
今目に映っているスライムは全部作り物。
それが嫌でもわかるが、それでもそれを認めたくないシオウは彼等に触れ続けた。
傷だらけの手で・・・・。
『ステージクリア! ステージ20に上がります! くわえて貴方の全てが上昇します! 更に今回より新たな機能とステージが追加されました。機能はこの私に感情が追加され日に一分間感情豊かな私と対話することが可能になりました。どうぞ精神の癒しとしてご使用ください。
ステージはスキン修復ステージが追加されました。現実世界で破損したスキンをタップで回復していきましょう。詳細は別のスキンに変更後にご説明いたします。
注意:只今画面がスライム村に固定となっております。ゲーム進行に問題はありませんが、元のスライム画面に戻す場合は五秒間長押してください』
そんな声が聞こえてきたが、言っていることがよくわからないシオウは気にせず、楽し気に跳ね回るスライム達に触れ続けた。
寂しさを少しでも紛らわすために。




