ある盗賊風な男達
街道から離れた森の奥には小さな古城があり、その古城の中には数人の盗賊達が隠れ住んでいた。
勿論戦利品である女や子供も一緒であり、当然盗賊達に酷い目に合わされている・・・と思うだろうが、そんなことなかった。
女を捕まえれば欲望のはけ口にし、子供が騒げば鬱憤を晴らすように死ぬまで殴り続ける。
盗賊とはそんな者達の集まりのはずなのだが、なぜかこの盗賊達は誰一人戦利品に手を出すことは無かった。
「残念なことに今回もハズレばかりです。やはり街中に潜んでいるのでしょうか?」
盗賊の様な身なりだが、言葉と行動から察するにどう見てもそこらの盗賊ではない。
いや、盗賊ですらないことがわかる。
「巫女の言葉から察するにその可能性は高いだろう。まっ、俺達が優先すべき仕事は目標の捕縛じゃねぇ。だからそこまで神経尖らすこともあるめぇよ」
古城の外でタバコをふかしながら、遠くの木に向かってナフを投げ、的当てゲームに興じる男。
この男も身なりは盗賊であるが、どうみても見た目だけである。
彼等は他国の諜報員。
彼等の元にいる巫女と呼ばれる者のお告げで、この国の港町のどこかに寵愛を受けし者がいることが判明し、探しているのだ。
ただし捕獲はついでであり、メインの仕事は港町に潜む仲間達のサポートであった。
「ですが目標を捕縛すれば手柄となります。そうなれば我等を日陰者と揶揄する者を黙らせることができましょう」
だが、いつも仲間のサポートばかりさせられ、手柄を奪われている諜報員達からすれば不満が溜まると言うモノ。
誰のおかげで安全に戦えるのか、誰のおかげで情報が正確に得られているのか重臣達はわかっていない。
結局華々しく敵の首をあげられる者にしか称賛が送られないのだ。
「言わせたい者には言わせておけ。我等の重要性は王も巫女もわかってくれている。それなりの給金も払ってもらえているし、多少の娯楽でさえ経費で落ちるから文句はねぇさ。ただガキに会えないのが難点だがな」
「・・・・・・自分はこの部隊が認められないのが許せません。上から目線のクソ共や口だけのボンボン共を黙らしてやりたいです」
「熱いことはいいことだが、口が過ぎるぞ。クソで脳みそ空の戦闘狂共でも、一応は重臣だ。ボンボンで力もないザコガキも一応はお貴族様だ。あんまり下手な事抜かしてるとその内首が飛んじまう。少しは慎め」
そう注意を促す男だが、どう考えても促している男の方が酷い事を言っていた。
そのことにアンタこそ注意しろと言いたくなりながら、やはり己と同じ考えなのだろうと思い注意されたほうはどこか嬉しそうに頭を下げた。
「まあ、おしゃべりもここまでだ。次の狩りに行くぞ。もっと被害を広げて無能な兵士様が動かざるを得ない状況にしねぇと、いつまでたっても一杯ひっかける事もできやしない」
「その通りですね・・・・・・・・一応お聞きしますが、無能とはどちらの兵士を差しているのですか?」
「それはお前・・・・・・・・どちらもとしか言えぬよ」
「やはりそうですか。貴方と意見があってとても嬉しく思います。いつのひか王の座を奪いたいものですね」
「く、くくく、若いな。だがそれでこそ我等の国の者よ」
不敬となる言葉を吐きながら男達は静かに笑いながら古城を後にする。
目的の獲物を狩りに行くために。
そしてその日、また街道で乗合馬車が盗賊達の襲撃にあった。
女・子供、そして金品を奪われたが、なぜか護衛をしていた者以外は殺されることは無く、御者や客の男達は全員縄で縛られた状態で、馬車に揺られて港町まで無事に着くという可笑しなことが続いたそうな。
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