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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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わっるい大人


 ウリ坊のような魔物・ウビ坊を何とか倒したシオウだが、若干涙目であった。

 魔物を倒すのはそこまで苦労しなかったが、何度も何度も回転する木の枝に痛い目に合わされたからだ。

 身体能力は上がっても周りが全く見えていなければこういう痛い目に合うと、物理的に思い知らされたシオウである。


「いててててっ」


 殴られた場所を擦る。

 何度も木々に殴られたにもかかわらず、赤く腫れる程度ですんだのは運がいいというか、クリッカーの能力で身体が頑丈になったおかげと言うべきだろう。


「あっ、魔石取らなきゃ」


 そう言うとシオウは倒したウビ坊がいた場所へと視線を向ける。

 今更だが、ダンジョンで魔物を倒すと死体は残らず煙のように消え、魔石がその場に残される。


「・・・う?・・・・お、お、お、お肉だーーー!!」


 そして稀に魔石以外の何かを落すこともある。


 シオウが手に取ったのは稀に手に入るドロップ品の肉であった。

 まあ、三階層で手に入る肉の量は微々たるもので、味も決して美味しい物ではない粗悪品であるため高値で買い取られることは決してないが


「うほほほほーい! やった! やった! やった! やった!」


 日常的に腐りかけの食べ物しか食べてこれなかったシオウにとっては、粗悪品であっても高級食材のそれであった。


「やった! やった! やった! やっきゅふっ!?」


 そして浮かれていると、その油断をつくように周りの木々に襲われる。

 故意的では無いとは思うし、ちゃんと周りを見ていれば避けられるので、本当にシオウの不注意でしかない。


「いっっってぇぇぇぇ! もうやめてよ! ばーかばーか! うわっ!」


 先程からポコポコ殴られている為、周りの木々に文句を言う。

 その声に反応するようにまた木々が襲い掛かってきたので辛うじて避ける・・・・が、


「あいたっ!? イタイイタイ! うなぁぁぁ!! もうやだーーーっ!!」


 避けた先の木々にまた殴られてしまう。

 そしてシオウはその攻撃から逃げるように二階層に繋がる階段へと駆けて出した。

 勿論ウビ坊の魔石とドロップ品のお肉を抱えながら。





 三階層からギルドまで逃げ帰ってきたシオウは、涙目になりながらも買取所に訪れていた。


「これとってきた」


 コロリと二階層の魔石よりほんの少しだけ大きい三階層の魔石を渡す。

 たった一つ、いや、一粒の魔石に買取所のおっさんは呆れたようにため息を吐く。

 一粒ばかり売りに来るなと思っているようだ。


「・・ほらよ」


 だが特に文句を口にすることは無く、くすんだ硬貨を数枚渡した。

 偏屈ではあるがそこは大人である。

 この程度で怒るおっさんではない。


「ねぇねぇ、お肉焼きたいから種火頂戴」

「うるせぇ。気安く話しかけるな」

「?? ねぇねぇ! お肉焼きたいから種火頂戴!」

「このガキ、人の話聞かねぇつもりだな。その耳は飾りか?」

「?? ねぇねぇ! お肉焼きたいから種火頂戴!!」

「うるせぇクソガキ! 仕事の邪魔だ! さっさとどっか行きやがれ!」


 そして短気な性格の為、少ししつこくしただけですぐに怒り出すおっさんでもある。

 本当は怒鳴るよりも拳骨を出す性格だが、そこは相手が子供であるため自重しているようだ。


「うぅ~、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃん。お肉焼くための火が欲しいから頂戴って言ってるだけなのにぃ~」

「そんなこと知るか! 適当に火打石でも買いやがれ!」

「だってそんな物買えるお金ないもん! まいったか!」

「情けねぇことで胸を張るな!」

「ふぎゃう!?」


 まあその自重などあってないようなもので、すぐに拳骨がシオウの頭に落とされることとなった。

 勿論、石頭を殴ったせいでおっさんも少なからずダメージは負っているが、そこは大人の意地としてなんでもない風に装いっていた。


「まったく情けねぇ奴だ。火をつけるくらい生活魔法でどうにかできねぇのかよ」

「そんなの知らないよ。まほうなんて教えてもらったことないもん」

「教えられなくとも生活魔法くらいなんとなく使えるだろうが。指先に火をともしてぇって思うだけでできるもんだ」

「う? そうなの?」

「そういうもんだ。魔法ってのは強く願えば大体使えるようになるもんだ」

「ほへ~~」

「わかったらさっさとどっかいけ」

「うん! わかった!」


 そしてシオウはなんだかわからないが話が終わったと思い、おっさんの言う通りその場を後にした。

 種火が欲しいと言う要求も何も成し遂げられていないが、多分魔法でどうにかなるだろうと安易に考えダンジョンへと向かっていった。

 一度も使ったことが無い魔法。

 更に言えば生活魔法とはいえそう簡単に使えないから火付け用の道具があるのだと言う事に疑問を持たずに。





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