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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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受付嬢は気になる


 ダンジョン一階層で隠れるように住んでいるシオウだが、日に一度は最低でも魔石を売り、安いパンを買うために街に顔を出す。

 とはいっても寄る所は探索者ギルドだけで、ギルド内で魔石を売り、そのまま隣で販売されている安パンを買っていくだけであるが。


「シオウく~ん。またねぇ~」

「あ、う・・・うん! ばいばい!」


 街の仕事の依頼を受けない(実績も信頼も無いので受けられない)シオウは受付に行くことは無く、受付嬢達と話す機会などほとんどないのだが、なぜかよく受付嬢達に声を掛けられる。

 あいさつ程度だが、それでも優しく挨拶され、名前を呼ばれることが嬉しいシオウはちょっと恥ずかしそうにしながらも笑顔で手を振り、そのままダンジョンへと帰っていく。




「はぁ~~~、かっわいいわねぇ~~」


 屈託ない笑顔で、それでいて恥ずかしそうにしながら挨拶を返すシオウに、声を掛けた受付嬢は頬を緩ませる。


「ホントいいわ~。見ていて和む~」


 二階層でとれる小粒の魔石を大事そうに抱えて売りに来る姿。

 その姿はまるで巣穴に木の実を運ぶ小動物のようで、愛らしいと思っているようだ。

 そして何より生意気じゃないのが受付嬢達に好かれる要因でもあった。


 最近シオウと同じ年代の(体年齢が12歳くらい)数人の子供達が訪れギルドに登録しに来たが、その時の子供達はあまりにも生意気で人の話を聞かない子達だったので、なおさら素直なシオウが可愛らしく見えたのだろう。


「あ~あ、シオウ君どうにか依頼受けられないかしら。そうすればお姉さんが色々教えてあげるのにぃ~」

「・・・さっきからなに一人で気持ち悪い独り言言っているのよ。物凄くキモいわよ」

「ちょっとそれ酷く無~い? それに気持ち悪くないわよ。貴方だってシオウ君に色々してあげたいと思ってるくせに~」

「アンタと一緒にしないで欲しいわ。というか、言動がヤバいわよ。衛兵に捕まっても知らないからね」

「捕まりませんよぉ~だ。はぁ、けど少しくらいナデナデしてみたいわ。さっきだってちょっと声を掛けただけで、一瞬恥ずかしそうにした後、その恥ずかしさを隠すために笑顔で手を振ってくれたのよ。多分私の美しさに一瞬見惚れたのね。ホント可愛いわ。可愛いまま細マッチョになってくれないかしら」

「・・・アンタがヤバイ奴だってのはわかったから、そろそろ仕事してちょうだい。さっさと処理しないと残業する羽目になるでしょ。言っときますけど貴方の仕事が残っても私は手伝わないからね」

「そんなの言われなくてもわかってるわよ・・・・・・・あら?」


 ブー垂れながら仕事に取り掛かる受付嬢。

 だが、一番上の依頼書を取るとその動きが止まる。


「ねえ、これウチより兵士に任せる案件じゃない?」

「ああそれ。それは確かに兵士達の領分なんだけどなんか今忙しいらしいからウチに回されたのよ。まあ、街道を巡回するだけの簡単な仕事だから、碌に働かない飲んだくれ共にでもやらせたら?」

「やらせたら?って言うけどこれ見てよ。こんな安い賃金で動くわけないじゃない」

「そう言われても依頼主がそれしか出さないんだから私達にはどうすることもできないわよ」


 そう言うと話は終わりというように友の受付嬢は己の仕事へと戻った。


「う~ん、確かにそうなんだけどね~・・・・・・・・けどこれ、ちょっと気になるのよねぇ」


 受付嬢はもう一度依頼書を読みながら、首をひねった。

 受付嬢が読んでいる依頼書の内容は最近街道で盗賊が現れると言うので、街道の巡回をして欲しいというモノだった。


 依頼自体は特に変わったものではないのだが、街道に現れる盗賊が一風変わっていたのが問題だと受付嬢は考えた。

 積み荷を積んだ荷馬車や馬車は襲わず、乗合馬車ばかりを襲う盗賊達。

 女・子供や金品を奪うが、なぜか奪うだけで他の者達は殺されずに見逃される。

 見逃せばすぐに盗賊がいると知られると言うのに・・・。


「・・・・う~ん、やっぱり気になるわね~」


 あまりにも不自然な盗賊。

 あまりにも可笑しな盗賊達に受付嬢は首を傾げながら、最後には友からさっさと仕事しろと言われ、仕方なくその依頼をいつもの様に処理するのだった。





 最後まで読んで頂きありがとうございます。


 感想や評価を受け付けておりますので、良かった点や悪かった点などを教えてもらえればと思います。


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