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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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新たな住み家と訓練場


 冒険者に怒鳴られ怖くなったシオウが逃げ出した先は、元々ねぐらにしていた崩れかけた城壁の小穴だった。

 狭くて隠れきれないが、今はそこしか帰れる場所が無い。

 ないのだが・・・


「う、埋まってる」


 住み家だった小穴は綺麗に埋まっていた。

 いや、塞がれていたと言った方が正しいだろう。


 今日シオウがダンジョンに行っている間に、壁の状態確認をしていた兵士が板で隠された小穴を見つけ、補修作業が行われたのだ。

 流石に一日で全ての壁を点検し補強することは不可能だが、流石にシオウが住みついていた小穴を塞ぐことくらいわけないことだった。


「ズーン」


 帰る住み家が無くなり、シオウは肩を落とす。

 今から身を隠せて眠れる安全な場所を探すのは無理だ。

 そろそろ日が落ちる時間。

 貧民区内で子供が隠れずに眠るなど、襲ってくれと言っているようなモノだ。

 どうしよう、どうしようと、シオウはあたふたと慌てながら考えを巡らせる。


 隠れられそうな場所で、安全な場所。

 できれば寒く無くて、それなりに広い所がいい。

 必要な寝床の条件を口に出しながらシオウは考え続けた。

 そして、


「あっ! あそこならいいかな。襲われなかったし・・・うん、あそこに行ってみよう!」


 条件に合った場所を思い付き、シオウは駆けだした。







 シオウはある場所にたどり着くと、自分がすっぽり入れる穴を掘る。

 それだけで、安全を得られるという訳ではないが、穴の中に入って眠れば一目でシオウがいるなどと気付ける人はいない。

 そして、シオウがどこに穴を掘り、何処を住み家にしようかと考えているのかと言うと、


 モソモソ


「だめ、ここぼくの! 君はあっち!」


 今日訪れたダンジョン一階層であった。


 ダンジョン一階層の魔物は人に危害を与えない。

 ただこの銀世界で同化しながらのんびりと暮らしているだけの魔物ばかりで、世間一般で言われている恐ろしい魔物は存在しなかった。


 とはいえダンジョンの中、いつ魔物が変貌し凶暴するかもわからない。そう考えるのが普通である。

 日が沈む時刻になれば魔物は凶暴化すると考えられているのだから、いくら安全な一階層とはいえダンジョン内をねぐらにしようと普通は考えないだろう。

 過去にも、シオウと同じように考えた探索者がおり、同じように寝床として活用していたのだが、ある時安全だと思っていた魔物達が凶暴化し、襲い掛かってきてそのまま死亡した・・などと言う話は珍しくないのだから。


 まあ、シオウはそんな情報を知っていても、貧民区と変わんないくらい危険なだけとしか考えないだろう。

 むしろ貧民区に住む大人に見つかれば問答無用で襲い掛かってくる時点で、ダンジョン内の方が安全と言えよう。

 寝ている時に襲い掛かられたらそれはそれだ。

 襲われてから考えるだけである。


「ん~! なかなかいい!」


 足を延ばせるほど広くはないが、それも数日掛けて掘ればいい感じの住み家(穴)ができあがる。

 地べたに寝るのは冷たいし、なぜか夜なのに目に優しくない銀の光が降り注いでいるが、目を瞑れば気にならないので、シオウにとっては結構住みやすい場所であった。


「あっ! ついでに練習しよう!」


 そしてこれだけ広ければ好きなだけこん棒を振り回していいと思い、シオウはへとへとになるまでこん棒を振り回し続けた。

 危険なダンジョン内だと言うのに、シオウは無警戒にダンジョン内で眠るのだった。



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