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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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映像アドバイス


 シオウは二階層で必死に多くのブラバド達と対峙しては、逃げられ続けた。

 時々まぐれで振り回すこん棒に充てることができ仕留めることができたが、小指の先ほどの小さな魔石は数えるほどしか手に入れることができず、それをギルドに売ってギリギリ安いパンが一つ買えるかどうかの稼ぎしか得られなかった。


「むぅ~」


 ギルド内の食堂で安くて固いだけのパンを齧りながら、シオウは面白くなさそうにむくれていた。

 お腹いっぱい美味しい物が食べられる。

 そう聞いていたのに、今日得た魔石では安いパン一つしか買えなかった。

 そのことが不満で仕方がなかったのだ。


 その原因は己の戦闘能力が低いゆえであり、逆に今日得た以上の魔石を手に入れればシオウが求めるご飯を食べられるということだ。

 要するに自分が弱いから悪い。

 それがわかっているからこそ、不満そうにしながらも文句を口にはしていなかった。


「・・・えいっ! えいっ!」


 だからシオウはパンを食べた後、人気のないギルドの裏でこん棒を振り回していた。

 少しでもまともに振り回せるように、少しでも魔物を倒してご飯を食べられるようにと。

 こん棒の持ち方もわからず、ただがむしゃらに振り回すだけのシオウだが、わからないながらに、色々な角度で振り回しては少しでも強くなれるように努力していた。

 すると、その願いに答えるようにいつもの変な声が頭の中に響き渡り、それと同時に、


「えいっ! えいっ! え・・・・・う?」


 目の前に手のひらサイズの小さな人間達が現れだした。


「??・・・君達だれだ~?」


 シオウの問いかけに答えることは無く、その小さな人達はただ無言で互いに対峙すると、行き成り戦いだした。


 今さっきまで対峙する二人を空から眺める視点から、戦う人達自身の視点に切り替わったり、今さっき男同士で戦っていたのにいつの間にか女同士で戦っていたり、オジサンとお兄さんが戦っていたりと、瞬く間に戦う人が変わり、武器が変わり、戦う人数も変わり、戦う場所も変わっていく。

 目まぐるしく変わる目の前の映像。

 まるで意味のわからない光景ではあるが、


「す、すげぇ~」


 意味がわからずともその動きは達人とか超人とか言われる人の動きであることは、知識の低いシオウでも理解できた。


 おおよそ普通の人ではありえない動き、現れる人々の顔は皆独特な感じで、無駄に目が大きかったりするがそんなことはどうでもいい。

 それがどう見ても作り物であっても、絵本や人形劇を見たことがないシオウにとってそれが作り物であるかなどわかるはずもなかった。


 シオウが今見ているのは、頭の中にいる人の誰かが見ていた映画やアニメなどの戦闘動画集である。

 クリッカーの能力で身体が変化したのがきっかけか、元々備わっていた複数人の前世の記憶が思い出しやすくなったのかもしれない。


 ちなみにシオウの目には、目の前に画面が浮かび戦っている映像が流れているが、他の人には全く見えていない。

 幻を見せられていると言った所だろう。


「か、かっくいい」


 そして、初めて見る鮮明な映像にシオウが虜になるのは必然であり、流れるような動きで戦う人達に憧れるのも必然であった。


 ありえない動きである。

 壁を足場に走ったり、空気の足場を作って戦ったり、剣の残像をいくつも作り上げたりなど、身体能力だけでできるはずもない物語の世界を見せられる。

 だが、シオウは今見せられているのが作り物であるなど知る由もなく、それができる人達が目の前に大勢おり、それが普通なのだろうと誤認した。

 作り物だと知らないシオウからしたら、訓練を続けていればいつかこんな風に戦えるようになると思ってしまうのは仕方がない事でもあった。

 ここで巨大化するヒーローでも出てきたら、いつの日か自分も三分間だけ巨大化できると勘違いすることだろう。


「よーし、やるぞーー!」


 そして始まる無垢な子供の無謀な夢と無茶な訓練。

 目の前に流れる人達のようにこん棒を振るい、見様見真似でちょこちょこと動いてはこん棒を振るった。

 目の前の超人達に少しでも近づけるように。


「うるせぇぞ! バカやろう! ブッ飛ばされてぇのか!!」

「うひゃ!? あわわわわわっ!!」


 まあ、ちょこちょこといっても、壁を蹴ったり、叫び声をあげているので、それなりに騒がしく、冒険者達が怖い顔で怒るので、シオウがそこから逃げ出すこととなった。






 最後まで読んで頂きありがとうございます。


 感想や評価を受け付けておりますので、良かった点や悪かった点などを教えてもらえればと思います。


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