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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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二階層


 一階層で虫を見かけたが魔物は見かけなかった為、そのまま二階層に続く階段を見つけたシオウは降りてみることにした。

 そして降りた先がまた変わっていることに気が付き目を輝かせる。


 二階層は静かな夜の森の中であるのだが、大地が星の光の様に光り輝いており、逆に空は闇に覆われていた。

 まるで空と大地が逆転したような神秘的な世界が広がっていた。

 摩訶不思議な光景にまず人は恐れを抱くものだが、ことシオウに関してはただ面白い物を目にしたと言う感情しか浮かばなかった。


「お? むほぉぉぉっ!? 僕の足がぴかぴかしてる!」


 輝く星の大地を踏みしめれば、己の足にも瞬く星々が付着しシオウの足を輝かせる。

 なんとも面白い現象であり、子供のシオウは大はしゃぎ。


「きらきら、綺麗だなぁ~。持って帰れたらいいのに」


 ダンジョンから持って帰ることができるのは魔物を殺して現れる物だけ。

 それ以外はたとえ石ころ一つであっても外に持ち出すことは叶わず、持ち出してもダンジョンの外に出た瞬間霧のように消えてしまう。


 その辺の常識はギルドで教えられている為、シオウも持って帰ろうとはしなかった。

 もしも教えられていなければこのキラキラ輝く綺麗な土を持てるだけ持って、帰っていたことだろう。


 ペタペタと、地面を触ると、己の手にもそのキラキラしたものが付着する。

 その手をシオウは真っ暗な空に掲げ眺めた。


「へへへ~ん・・・・?・・・・・・・・・」


 何故かシオウは輝く手を自慢げに掲げて眺めていると、不意に星一つない真っ暗な空に何かが動いたのを視界でとらえた。

 真っ暗な暗闇の中で確かに何かが動いた。

 それが何かわからないが、シオウの五感が危機を感じ取り、自然と腰に差していたこん棒を抜き、臨戦態勢に入った。


「・・・・・・・・・・」


 力ない幼子が、危険な貧民区を生き抜くために身に着けた力。

 危機を察知する力は、成長した身体のおかげもあって更に強化されていた。

 そのおかげか、シオウはこちらに近づいてくる一つの影を見逃さなかった。


「キーキー!!

「えいっ!」


 音もなく近づき襲い掛かって来たのは二階層に住みつく魔物。ブラバドだ。


 闇に紛れるような真っ黒なコウモリ型の魔物で翼を広げれば最大体長が10メートルにもなる凶悪な魔物。

 ただ、そんな凶悪で大きな魔物はダンジョンの奥深くにしか生息しておらず、浅い階層にはそれほど大きなブラバドは存在しない。

 今シオウが対峙しているブラバドはシオウの頭ほどの大きさしかない小型の魔物。

 攻撃方法もその小さな牙や爪で襲い掛かる程度で、その身に受けても猫に引っかかれた程度のかすり傷くらいである。

 なのでシオウでも真正面から対峙することは可能であった。


「やー! とりゃー! この! このこのっ!!」

「キキー! キーーー!!」


 まあ、対峙できるからと言って倒せるわけではない。

 魔物は空を自由に飛び回りシオウの攻撃を回避し襲い掛かる隙を伺う。

 そしてシオウはシオウで、こん棒など使ったことなどなく、ただがむしゃらに振り回しているだけだ。

 ただ、めちゃくちゃに振り回しているが故にブラバドも襲い掛かるタイミングを作れずにいる。

 人狩りの経験の浅い魔物とまともに戦ったことのない素人の戦いなどこんなものだろう。

 見ていてなんともつまらなくも歯がゆいモノだ。

 そして、そんな一人と一匹の勝負の行方は


「・・・キキーー!!」

「あっ! まてーーっ!!」


 負けはしないし、勝つこともできない結果で終わるのだった。


 ブラバドはシオウの相手をするのが面倒と考え逃走を選ぶ。

 ブラバドからしたら、シオウの体力が尽きるまでのらりくらりと空を飛び続けていればいいのだが、空を飛び続けるのも疲れるし、何よりブラバドの戦い方は闇に紛れた奇襲だ。

 面と向かって対峙したとしても、闇に紛れることのできる己の保護色を利用し、ヒットアンドアウェーの戦法で獲物を弱らせ、仕留めていく。


 それがブラバドの戦い方だと言うのに、その戦法はまるでシオウには通じなかった。

 どれだけ離れても、音をたてずに接近しても、目の良すぎるシオウは見失わない。

 故に仕留められるといっても、時間がかかる面倒な相手であるシオウから逃げることを選択したのだ。

 こんなのを相手するよりも、木々の隙間に隠れているマライト鼠を仕留めた方が、腹が膨れると考えたからだ。


「くっそー! 今日のご飯がー!」


 そんなブラバドの考えとは裏腹にシオウは今日の飯代が逃げていったことに悔しがっていた。

 本人は運良く命が助かったなど微塵も思ってはいなかった。






ダンジョンの設定


 ダンジョンの中にもちゃんと食物連鎖が存在し、ダンジョンの魔物達にも食欲というモノが備わっていた。

 ただし、人が考える食物連鎖とは違い、ダンジョンの魔物同士で捕食し合うのは快楽を満たすためであり、その快楽を満たすためにどの階層にも捕食される魔物が存在している。

 仮にだが人がダンジョン内に存在する捕食されるだけの魔物を倒したとしても魔石をおとすことはない。

 そして魔物も捕食されるだけの魔物をどれだけ捕食しようとも魔物本来の格が上がることは無く、もし成長したいのであれば、人の命を奪うほか手段は存在しない。

 更にダンジョンの魔物は不老不死であり、魔石がダンジョンの外に持っていかれない限り、死ぬことはなく、ダンジョン内に放置されればその内魔石を媒体に生き返ります。




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