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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第二章 強くなり・・・そして
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再チャレンジ


 ゴミ山で見つけたボロ布などをシオウは抱えながら川まで訪れた。

 身に着けているズタ袋の服はもちろん、持ってきたボロ布を川で洗うためだ。

 別段綺麗好きと言う訳ではないが、ボロ布を手に持っている時に変な声が、汚れたままの物を身に着けていると病気になるぞという声が聞こえてきたので、その忠告に従っただけだ。


「おぉ、ちんちんだけじゃなくて身体も大きくなってる。すご~い!」


 ジャバジャバと使えそうなボロ布を洗いながら、シオウは初めて川に映る己の姿を目にした。

 相変わらず痩せすぎと言わんばかりのガリガリの身体だが、ちゃんと食べればそれなりの身体付きになると思えるほどの骨格である。

 スキルのおかげでそんな体つきになっただけだがね。


「なんか力も強くなった?・・・身体が大きくなったからかな?」


 転がっている拳大の石を手に取りながら、川に投げる。

 なかなかに派手な水柱が上がる所を見るに、身体能力が上がっていることはわかった。

 まあ、身体能力が上がったと言っても、普通の子供とそう変わらないだろうと本人は思っているので、その身に宿った力の異常性には気付いていないが。


「おっきくなったから今度こそダンジョンに行けるかもしれない?・・・・ううん、絶対行ける! お仕事が無くなっちゃったし、またパン食べたいし、それに、ぼくにとって街もダンジョンも危ない場所なのは変わらないってわかったから、もう迷わないぞ!」


 ボロ布を洗いながら今後どうするか決意するシオウ。


 怪我するのはイヤだ。

 痛いのはイヤだ。

 だから魔物がいるダンジョンに行きたくないと思っていた。


 だけど、街の中にいても怖い大人達がいる事には変わりない。

 怪我をするのがどこにいても変わらないのならば、何もしていなくても痛い思いをするのならば、モンスターという魔物と戦って痛い思いをしながらもお金を稼いだ方がいい。


 お金を稼いで、美味しいご飯を食べよう。

 痛みと引き換えに命を掛け金としてお金を得よう。


「ママ。パパ。ぼくは強い子だけど、もっともっと強い子になるからね。そしたらぼくがお空にいったら褒めてね。絶対今よりも強い子になるから絶対褒めてね!」


 シオウはそう一人空に向かって亡き両親に声をかけた。


 死んだら人々は天国と言うお空の国に旅立つ。

 だからお空の国に来るまで恥ずかしくない男にならなければならない。

 強くて優しい男にならなければいけないと、そんな話を疑うことなく鵜呑みにした子供はいつか自分もその天国にいったときに、両親に恥ずかしくない自分を見せようと心に決めていた。


 故に犯罪はしない。

 悪いことはしない。

 悪い事をして大好きな両親に嫌われたくないから。

 そして、弱いままの自分を見せたくないシオウは殺伐とした世界に足を踏み入れることを決意した。


「あれ? そういえば身体も痛くないぞ?・・・・・・なんで~??」


 そして、昨日死ぬほどの痛みを覚えていた身体が一夜寝ただけで何事もなく治っていたのだが、結局その理由がわからず、まあこんなこともあるのだろうと思いすぐに忘れてしまうシオウだった。




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