漂流日誌
『・・・・・・・・・・・・・』
ザンザを海に引きずり込み、溺れさせて勝利したシオウは、今とっても困っていた。
『ご飯とれないねぇ~』
『そうね。ちょっと難しわね』
ザンザにおわされた怪我が酷くて、一旦スライムの姿になり修復画面で治療していたのだが、残念なことに治しきることができなかった。
どうやら本当に死ぬ一歩手前だったようで、修復する為には大量のエネルギーが・・要するにご飯が必要だったのだ。
なのでいっぱいご飯を食べてさっさと人の姿に戻りたいのに、このスライムの身体はとってもプニプニした細い触手を出すことしかできず、素早く泳ぐお魚を取ることができなかった。
水の中だからぽよぽよ跳ねることもできないし、だからと言って潜ることもできない。
スライムの身体って物凄く浮く・・・と言う訳じゃないけど、沈もうと思っても沈めないのだ。
まるで空気の抜けたビーチボールの様に浮かんだり沈んだりを繰り返しているのだ。
『お姉ちゃ~ん。このままじゃ餓死しちゃうよ~』
『それなら安心して。スライムは水だけでも生きられる魔生物だから早々に餓死することはないわ。それに飲み水だけなら柔らかハンドに保管されているから優に二カ月は耐えられるわよ』
『お水だけなんてヤダよぉ。ちゃんとご飯食べたいよぉ』
『私だってそうしてあげたいけど、ご飯が取れないんだから仕方がないでしょ?』
『う~~~、そうだけど~~~~』
仕方がない事とは言え納得できないシオウ。
そりゃあ食べなくても生きていられると言われても、何かしら食べたくなるのは仕方がないだろう。
『駄々をこねても無理なモノは無理なんだから諦めなさい』
『う~う~!』
『う~う~唸らないの。陸地に流れ着くまでの辛抱だから、がんばりなさい』
『うが~う~!』
『獣になっても無理なモノは無理よ』
『がう~~うっ!』
空腹のせいかいつもより聞き分けの悪いシオウは、駄々をこねるがお姉さんにはどうすることもできないので、ただシオウの我儘を聞いて鬱憤を晴らすのに付き合うのだった。
漂流生活一日目
今日から僕は心の中で日記を書こうと思う。
キャプテンは海に出たら公開? 後悔? こうかい日記というのを書くべきだと今思い出しから書くことにするのだ。(注意:シオウは航海日誌を書きたいようです)
けど今日は別にこれと言って書くことないし、これ以上は書かないよ?
今日はこうかい日記の一回目だと言うことを記録したかっただけ。
だから、今日はこれで終わり!
漂流生活二日目
空は青くて、海も青くて、僕も青くて、『地球は青かった』らしい。
ちきゅうってなんだろと思いお姉ちゃんに聞いてみると、夜空に見えるお星さまのどれかが、ちきゅうっていう青いお星さまなんだって。
みんな全然青くないのに変な話だよね。
漂流生活三日目
ご飯を全く食べなくなって三日たった。
物凄くお腹ペコペコだよ。
けどなぜか苦しくはない。
食べられない日々には慣れているけれど・・・何だろう。
お姉ちゃんが言った通りお腹は減っている感じはするけど、お腹が減って苦しくなるような気分は全く感じない。
ちょっと食べたりないなぁ~っていうもやもや感がずっと続いている感じだ。
だから全然苦しくないよ・・・・けどね、なんか・・あれだね・・・・・・・ご飯食べられなくて悲しい。
漂流生活四日目
今更だけど僕の朝は早いのだ。
お日さまが上ると同時に起きて、お日さまが沈んでチョットしたら眠る。
たまにお姉ちゃんとお空のお星さまについてお話して貰うけど、基本的にとっても早く寝て早く起きているのだ。
そうするとお姉ちゃんがちょっと褒めてくれるんだ。
早寝早起きは成長をそくしん?させるんだって。
だから続けなさいって言われたよ。
けどその後『まあ、今はスライムだけど・・・・』って言ってたけどスライムだと何かダメなのかな?
もしかしてスライムって成長しない?
漂流生活五日目
相変わらず変わらぬ海の上でプカプカしているだけ。
けど別に寂しくないし、つまらなくもないよ。
だってお姉ちゃんが遊んでくれるし、クリッカーをペシペシしたりしているんだもん。
それにたまにだけど、いろんな映像が流れたりしてくるんだ。
以前見た物凄く強い人達が戦っている光景や、ダークブリンガーが魔法を使おうとしている姿とかいろんなのが流れて寂しくなんてないよ。
だから海の上でも結構楽しい! ただ不満があるのはご飯を食べられないことだよ。
お姉ちゃんが見かねて柔らかハンドをもぐもぐさせてくれるけど、全然満たされない。
だってもぐもぐしても食べているんじゃなくて、なんかおしゃぶりの様に遊んでいる感じなんだもん。
それに結局柔らかハンドから食べられるのはお水だけだからね・・・はぁ、お肉食べたいなぁ。
漂流生活十日目
今日はちょっと嬉しい事があった。
なんと小さな木の板を手に入れたのだ。
これでただプカプカしているだけの生活とはおさらばだよ!
今日からはこの木の板改め、ドノちゃんと一緒に新たな冒険を始めようと思う。
ちなみにドノちゃんって名付けた理由はドアノブがその木の板に付いていたからだよ。
初めはドアノブのアブちゃんって名付けようとしたら、お姉ちゃんにダメだって怒られた。
何でだろう? イイと思うんだけどなぁ・・・アブちゃん
漂流生活十五日目
僕は今日また一段と強くなった。
何とステージが41に上がったのだ。
スライムの身体だから早く動けなくて、ペシペシと物凄くゆっくり叩くことしかできなかったけど、僕はまた一段と強くなることできた。
お姉ちゃんもそんな僕の努力を労ってくれて、柔らかハンドでぽにょぽにょもにょもにょしてくれた。
ただねお姉ちゃん。
ナデナデしてくれるのは嬉しいだけど、そこ頭じゃなくて顔だからね。
いや、スライムに顔はないし全身青色なんだけど、なんかそこ顔っぽい感じがするんだよ。
足はなんかお空に向いているような・・・そう逆立ちしている感じだったり、していなかったりと、よくわかんない感じだ。
今更だけどこのスライムの身体って何なんだろうね?
よくわかんないや。
漂流生活は二十日目
僕は今危険なチャンスに直面している。
僕のお船。ドノちゃんの周りには大きな背びれを持つ、大きなお魚達が僕を取り囲んでいるのだ。
それはイルカ。
海の狩人とも呼ばれる賢いお魚だ。
なんかきギィィィィィとかピューイピュィーピィーって鳴いている。
多分僕を食べようとしているのだろう。
自然界は弱肉朝食。
弱い者が強い者の朝食になっちゃう世界なのだ。
だから僕は今とっても危険であるのだが、さっきも言ったようにこれはチャンスでもあるのだ。
だって久しぶりにご飯が食べられるのだから!
さあ、勝負だ! お前達僕のご飯にしてやる! あっ! 痛い! 痛くないけど痛い!
やめてよ~! ボールみたいにポンポンしないでよぉ~!!
漂流生活二十一日目
僕は戦いに敗れた。
流石海の狩人と呼ばれるだけはある。
まさか手も足も出ないなんて思わなかったよ。
元々スライムの身体には手も足もないが・・・。
そして戦いに敗れた僕は、またプカプカと海の上を浮かんでいる。
僕のお船のドノちゃんは残念なことに先の戦いで大破してしまい、海の藻屑とかした。
とても悲しい。
とっても悲しいが、負けてしまったのだから仕方がない。
次こそは・・次こそは・・・・絶対アイツ等食べてやるからな!・・と、思ったのが悪かったのか、まだそばにいたイルカ達にボール代わりにされた。
うぅ、いつか絶対丸焼きにして食べてやる! うわぁぁぁん!
漂流生活二十五日目
僕をイジメるイルカ達はどこかに行き、平和な日常が戻って来た。
うん、とっても嬉しいな。
別に痛くなかったけど、意味もなくお空に蹴飛ばされる? こともなくなってとっても嬉しいよ。
好きな時にお姉ちゃんと遊べるし、好きな時にクリッカーできるし、ナデナデもして貰えるしでとっても嬉しいよ・・・・・・・けど何でだろう・・・・・ちょっと寂しいと感じてしまう。
漂流生活三十日目
今日はとってもグワングワンした日でとっても怖かった日だよ。
なんかね。目を覚ますと朝なのにお空が真っ暗で、黒くて厚い雲がそこら中にあふれていたのだ。
ああこれは嵐だと思ったよ。
風もビュービュー強く吹いているし、風が強く吹けば吹くほど海が荒れて波が大きくなってとっても怖かったよ。
沈んでも別に苦しくはないんだけど、海の中にいたかと思えば海の外にいて、海の外にいたかと思えば後ろから大きな波が迫ってきたりと、とっても怖かったよ。
上とか下とか全然わかんないくらいグルグル回ったし、ホントにとっても怖かったよ。
やっぱり海の嵐って怖いんだなぁ・・・うぅ、なんかグルグル回り過ぎてちょっと気持ち悪い。
お姉ちゃんがさんはんきかんってのも強化されているから気のせいだって言ってるけど、そんな筋肉鍛えた事無いよぉ。
ぐるんぐるんする~。
漂流生活三十三日目
漂流して約一カ月。
そろそろ気分的に何かご飯が食べたい。そう思う今日この頃・・・・・・・そう思ったのが良かったのか、それとも三日前の荒れ狂う嵐の海を乗り切ったおかげか、やっと陸地が見えた!
どうやら僕の長い“ご飯が無いよ 悲しいよ 漂流生活”が終わりを迎えそうだ。
やったね! これでお腹いっぱいご飯を食べれるようになる!・・・そしてまたお船作りだ。
そしてそしてお船を作ったら、僕をいじめた悪いイルカさん達を捕まえて食べてやるんだ!
キャプテンシオウをバカにしたこと後悔させてやるだもんね!




