面舵いっぱい
「う、う~ん・・眩しいよぉ」
『あらおはよう』
コシコシと目を擦りながらシオウは目を覚ます。
山や森とは違い海は遮るものが無い為か物凄く明るい。
しかも太陽が昇る方角に向かって進んでいるので、夜明けの太陽を真正面から受ける形となった。
「う~~ん・・・お姉ちゃ~ん、眩しくて目が開けられない~」
『無理に開けようとしなくていいわよ。今のシオウなら太陽をガン見しても目はつぶれないけど、それでも辛い事には変わりないんだから』
「う~~」
布団代わり兼日傘替わりにしている、ボロボロの毛皮を顔に被せ、う~う~と唸る。
昨日なかなか寝付けず、夜遅くまで起きていた為まだ眠いのに、こんなに眩しいと眠れない。
日の光のおかげで冷えた身体が温まるのは嬉しいが、この眩しさはどうにかして欲しいよ。
「こんなに眩しいのは初めてだよ~」
『今日は特に雲が少ないから仕方ないわ。けどシオウって海のある街に暮らしてたんだからこういうのは慣れっこじゃないの?』
「そんなこと言われてもこんなに眩しいのは初めてだよ~。それにいつも太陽はお山の方から登って来るもん。海から登って来ないもん」
『そうなのね・・・・・・・・・・・ん?』
なんとなく今の言葉に疑問を覚えたお姉さんはう~う~唸るシオウを放っておいて一人考え込む。
『・・・・・・・・・ねぇシオウ。ちょっと確認したいから住んでた港町がどんなだったか思い浮かべて貰ってもいい? できれば街全体を思い浮かべて』
「う~~? う~~ん。いいよ~・・・こんな感じ~?」
よくわからないお願いをされたが、シオウは言われるがまま住んでいた港町を思い浮かべる。
シオウがいた街は大きな海が広がっているのは勿論の事、街の周りは森に囲まれていた。
男は海に漁へと出かけ、女は海へと繋がる川で洗濯をし、たまに森で食料を採取しに出かける。
そして子供達は太陽が昇る山の方へと薪を拾いに行く。
それが一般家庭の光景。
お店屋さんをやっていない家のありふれた光景であった。
『やっぱり・・・・・・』
なぜか一人納得したお姉さんは疲れたようにため息を吐くと、いつの間にか毛皮で顔をグルグル巻きにして光から逃げているシオウに視線を向けた。
『シオウ残念なお話があります』
「う~、な~に~?」
いきなり神妙な声になるお姉さん。
なんか変な感じになってると思いながら、ゴロゴロしながらお姉さんの言葉をまった。
そして
『恐らくこのまま東に向かっても目的地の港町に着かないわ』
「・・・・・・・・・・・ぬへ?」
シオウにとって衝撃的な事を言われて嫌でも目が覚める事となった。
「え? え? どういうこと? こっちじゃないの??」
『恐らくよ。恐らく。ただ高確率で東ではないのは確実ね』
「そうなの?」
『ええ。多分だけどシオウが向かいたい港町は南、いえ、だいぶ東に来ちゃったから、南西かしらね』
「なんせい?・・・あっ! 左下ってことだよね! だから・・こっち?」
『左下はあってるけど、向いている方角が東だから変な方を差しているわよ』
「う?・・・・あっ! わかったこっちだ!」
初めは北西を差していたシオウだが、お姉さんの指摘を受けて正解の南西を差す。
『よくできました。と言うことで、そっちに向かってもらっていい? 最悪西に向かってもらえれば陸地が見えると思うから』
「う! 了解!・・・けどもうちょっとゴロゴロしててもいい?」
『ええ、別にそこまで急ぐことでもないでしょうし、もう少しおやすみなさい。方角は私が見ていてあげるから』
「うん!」
そしてシオウは柔らかハンドに顔を擦りつけるようにしながらゴロゴロと横になり出した。




