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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第三章 強者へと至るその代価
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いざ大航海へ!


 柔らかハンドを手に入れて三日後に船ができあがり、更に三日かけて食料や水を用意した。

 船は丸太を削った丸太船。

 なんか思っていたより細長いけど、船の周りに僕がカッコイイドラゴンの絵を描いたから結構いい感じになったと思う。

 船の名前はリュリュリュ号と名付けたよ。


 そして食料と水だけど、基本食料はそこら辺で捕まえた獣や蛇の肉を焼いたものと葉物野菜や果物を、着せ替え機能を使ってクリッカーの内?に入れた。

 よくわからないけどそこに入れておけば腐らないんだって。凄い便利だよねぇ。


 後は腐っちゃう食べ物とは別に生きた芋虫やバッタをいっぱい捕まえて船に乗せた。

 火を通さないと美味しくないけど、生きている食料は早々腐らないし、何より魚を釣る時の餌にもなる。

 まあ、今の僕なら泳いでるお魚を捕まえられなくはないから別に釣りをする必要はないってお姉さんが言ってたから、多分ほとんど僕のお腹の中に入っちゃいそうだよ。

 一応釣竿ぽい物は作ったけど使うのかな?


 そして水だけど、これはスライムの姿になって半日近く湧き水の水をひたすら飲み続けたよ。

 厳密に言うと飲み続けたと言うより吸収した感じだね。

 飲もうと思っても口なんてないし、身体に水が触れていればそこから吸収しちゃうんだ。

 なんか乾いた布が水を吸い上げるようだった。


 お姉ちゃんはスポンジみたいって言ってたけど、スポンジって何だろう?


 まあそんなこんなで多分人一人なら数カ月分くらいの飲み水を確保することができた。

 だって半日近くぼ~としていただけだから。


 そんな感じで船出の準備が整い、今僕は大きなオールを担いで船に乗っている。

 ただしまだ船は海に浮かべておらず、砂浜に置いてある。

 なぜって海に出る前に、


『航海のお約束、一つ』

「僕が強くても日差しは天敵! 木の皮被って日陰で作業!」

『一つ』

「お水をこまめに飲もうね! ねっちゅうしょう対策!」

『一つ』

「暑くても服を脱いじゃダメダメ! 暑いなら海に入りましょう!」

『一つ』

「船を降りるときは蔦を足にマキマキ! お船にちゃんと戻りましょう!」

『一つ』

「狩り(漁)をするときは錨を降ろして準備体操イッチ・ニィ・サン! 獲物に夢中になっちゃダメなのだ!」

『一つ』

「気分が悪くなったらスライム変身! ポチポチしてお身体回復!」

『一つ』

「どんな時でも焦らず対応! シオウは強い子・元気な子!」

『一つ』


 お姉ちゃんと交わしたお約束を確認する為である。

 お姉ちゃんが言うにはこんな小さな船で海を渡ろうとするのはとても危険なんだって。

 だから少しでも危険を無くすためにいくつものルールを決めたんだ。

 それを守れば生存確率ってのが上がるって言ってたから、頑張って覚えたよ。

 そして僕はお姉ちゃんから言われたルールを全部復唱している。


『はい、良くできました。ではルールを守って楽しく航海をしましょう』

「いえっさ~!『アイ・アイ・サー!』・・・う? あいあいさ~??」

『またヘンな声が聞えて来たわね。まあ、いいわ。アイ・アイ・サーって言うのは海軍・・・・・・えっと、海の男達の返事みたいなものよ。イエッサーと意味は同じだから返事したいならどっちでもいいわよ』

「海の男の返事・・・わかった! だったらあいあいさ~でいくね!」

『ええ、好きにしなさい』

「あいあいさ~!」


 気の抜けるような声で返事をすると、シオウは船を海へと押していった。


「さあ出航だ! 進め! リュリュリュ号! 勝どきをあげろー!」

『何で勝どきをあげるの? 意味わかってる?』

「う? わかんにゃい! ただカッコいいから言ってみただけ!」

『だと思った』





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