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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第三章 強者へと至るその代価
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時間に追われるステージ


『パンパカパーーーン! ステージクリア! ステージ37に上がります! くわえて貴方の全てが上昇します! 更に第二次ぷよ成長のぷよりんバランスが整い、無事思春期スライムが大人スライムへと成長しました! 報酬の思春期スライムの感謝と思春期スライムのスキンを贈呈します』


 あれから数日かけてステージ37まで上げることができた。

 そして毎度のことながら流れるムービー。

 内容は思春期スライムが大人スライムとなったことを喜び、そしてそのまま親や友達に「僕・・・・大人になったよ」という報告後に、皆から喜びの喝采を浴びてと言った感じである。

 そこでみんな幸せに大人スライムとして過ごしましたとさ・・・・・・で終わらないのはいつものことで、まだ無駄にお話が続いていた。


「ふぉぉふぉぉふぉぉっ! これより! 新人大人スライム達への祝い会式をおこな~うふぉぉふぉぉふぉぉふぉぉっ!!」

「「「ぽよぉう! ふぉぉふぉぉふぉぉふぉぉっ!!」」」


 全ての思春期スライムが無事に大人スライムへと成長し、それを祝って宴が始まる。

 己の体を太鼓代わりに打ち鳴らし、豪華な料理に舌鼓を打っていく。

 そして、


「僕この日のために磨き上げた、ぽよぽよジャンプ秘奥伝を見せるんだ~!」

「僕だって真ぷよりん大竜巻を見せるんだ! みんなに楽しんでもらうぞ~!」


 大人スライムとなったスライム達は、ちょっとした出し物の準備をする。

 この出し物は今自分がどんなことができるのか、皆に知ってもらい、この子の仕事はこれに適していると、今の大人スライム達が判断し、本人の希望に沿ってお仕事を与える。

 そんな催しであった。


「あわわわわわわ」


 だが中には何も準備ができていないスライムもいた。

 そう、それは最後まで思春期スライムとして過ごしていた子だ。


「どうしよう。どうしよう。僕まだ何もできないよぉ」


 思春期スライムを卒業して一週間たったが、その間に簡単なぽよぽよジャンプもぷよりん回転も習得できなかった。

 これでは、何もできないダメダメ大人スライムになってしまう。

 そんなダメダメ大人スライムになっても、みんな受け入れてくれるし、また来年頑張れと励ましてくれるけど、そんなのヤダ。

 僕だって皆と一緒にちゃんとした大人スライムだって認められたいのだ。

 だけど、今からじゃ間に合わない。

 覚えたくても覚えられないよぉ。


「ふぉぉふぉぉふぉぉっ! お困りのようじゃのぉ! お若いのぉ!」

「あっ、貴方は! 村長スライム!」

「ふぉぉふぉぉふぉぉっ!」


 グニグニと身体を揺らしながら、困っていると、宴の挨拶をしていた村長スライムが現れた。

 この村で一番偉いスライムで、偉いスライムの証として、村長のおひげを装備している。


「運悪く最後までぷよりんバランスを崩していたお若いのであろう? 辛かったであろうな。皆が先に行ってしまうのを見て寂しかったであろうな。そしてやっとみんなと一緒に駆け出せると思ったら時間が無くなってしまったのだろうな。悲しいよのぉ」

「うん、悲しいよぉ。僕とっても悲しいよ。けど、どうすることもできないよ・・うぅ」

「な~にをバカなことを言っておるか! まだ諦めるには早い! ここには村長がおるのだ! ここには村長スライムがおるのだぞ! だから安心するのだ! そなたの順番が来る前に最高の! 伝説の! 究極の技を伝授してしんぜようぞう!」

「きゅ・・究極!? け、けど村長! そんなすごい技覚える時間なんてないよ!」

「大丈夫だぁ! お若いのならできる! 村長が付いておるのだぁ! それとも諦めるか? 諦めてしまうのか?」

「けど・・・・・・」

「お若いのならできると信じておる。この村長が信じておるのだ。村長が信じるお前を信じゲフンゲフンッ・・まあそう言うわけじゃ!」


 なぜ最後のセリフを言い淀んだのかわからないが、ここまで励まされてできないなど弱音を吐けるわけもない。

 そして大人スライムとなった子は、村長の教えの元、最高で、伝説で、究極の技を身に着けるために修行を始めるのだった。



 緊急クエスト発生!

 制限時間内にステージ39まで上げ、最高で、伝説で、究極の技を習得せよ!

 制限時間内にクリアできなければ・・・・・・・・・・。


 報酬 大人スライムの感謝 & 大人スライムのスキン


 制限時間 ∞



「おうりゃぁぼにゃはぁぁぁぁぁぁっ!!」


 そして始まるいつもの。

 ただ今回は制限時間付きであるため、いつもよりも必死に画面を殴っていた。


『この子のこんな鬼気迫る表情初めて見たわね。と言うかこの時間制限無限って表記されているじゃないの。なのになんでこんなに必死なのかしら?』


 なぜそんなに必死になるのかわからないお姉さんだが、まあ少しでも早くステージがクリアされるならそれに越したことはないだろうと思い、黙って見守るのだった。

 そして∞という印の意味を知らないシオウは必死に殴り続けた。





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