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夏の海辺にて~たまにはイイんじゃない?~

作者: R.Gin

ある夏の日の午後。

赤ちゃんを抱いた気の良い女友達と、その隣人のちょっと太っちょな男友達を誘って、愛車で隣町の海岸へ遊びに行った。

お天気もよくて、海水浴日より。まぁ赤ちゃん連れだから、どのみち水着になっても波打ち際で水遊びが関の山だけど、ずっと狭い家の中でウダウダしてるより、たまには明るいお日様の下で風と波と戯れるほうがずっと気持ちいいしね。あたしも水着なんか着るの2年ぶりだし。


ただ、海水浴場近くに二人をおろしたはいいけど、駐車場が満車だったのは誤算だった。

しょうがない、停められそうな場所を探してくるよ。少し時間かかるかもだから、3人で先に遊んでて。そう言って、以前このあたりに来た時に見た覚えのある、無料で停められそうな場所を探しに愛車を走らせる。

左側が海、右手の林際の停車スペースを越えたところを右折して走ると山際の上り坂が続く。左の窓の外に見える家を通りすぎたら営業してない飲食店があり、そのまましばらく走ったけど、歩いて往復するには遠すぎると思いUターンした。

適当なスペースに車を置いて、歩いて山道をおりた所に、きれいな水路のような細い川に半ば水中に没した細道があった。以前歩いたその細道になんとなく懐かしく嬉しくなって、遠回りな普通の道じゃなく、左から右前方へ伸びるその細道を足首まであるロングワンピに白のレースカーデを羽織った姿でチャプンと歩き出す。

と、見ていた人がザワついた。

「お、おい。あれ」

「マジかよ。」

途中、見た目より水深があったので、ウッカリ胸近くまで水につかってしまった。失敗、失敗。

ザワつく男どもの視線が..(笑)。

びしょ濡れた夏物のワンピースの胸元をギュッとしぼってふんわりと浮かせ、ずれた肩紐を直すとワンピのスカートをギュッと絞ってから歩き出す。車道を渡って、白線沿いと海への路地の間の斜路を歩き始めてすぐにUターン。だって斜路の先は海沿いにある林を削ったあとにツツジを植えた斜面で道がなかったんだもの。


う~ん、このまま歩いて海へ行ってもいいけど、日が暮れる前にまた車取りに行かなきゃだよね。この距離だとそれほど海で遊ぶ時間ないかな~?

斜路をおりた所で立ち止まって悩む。友達のいる海岸と愛車のある山側に視線をウロウロさせながら、どうしよう...と迷っていると。

「よう。」

側に車がとまって、運転してた男が声をかけてきた。

「やっぱりユミちゃんか。どうした、こんなとこで。」

あれ、この人...

「?ああ。」

あ、メガネ外した顔見て誰か判った!

「元気だった?」

「相変わらず。なんか困ってんのか?」

「ん~。仕事中じゃないの?」

「帰るとこだ。」

ならいっか。制服姿はじめて見たけど、カッコ良いなぁ。男の人の仕事着姿って、胸キュンだわ~♪

「乗れば?」

「スカート濡れてるよ。」

「そのまんま海で泳いだのか?」

微笑ってるし~。いいけどさ~。

「ん~ん。そっちの細道歩いてきた。」

右手でチョイと山の方を指さすと、あ~、と納得した顔になった。さすがジモティー(地元人)。

「水着は?」

「着てるよ?」

なら、と後ろに置いてた上着を助手席に広げて、

「水着で乗れば大丈夫じゃね?」

と笑った。

そだね。夏だし、海の近くだし、水着姿でもおかしくないか。砂がつくのがイヤで上から脱ぐと、まだワンピの下半分がぐっしょりしてるのでギュッと絞る。

もう大丈夫かな。

絞ったワンピを手に助手席側にまわると、男が窓を開けて「どうぞ?」と笑った。

車道に車が走ってないタイミングでドアを開けて乗り込む。とりあえず愛車を置いてきた場所を言うと、男は車を山へ向かって走らせた。

「で、何悩んでたんだ?」

「それがね~、」

道々訳を話すと、

「もっと早く来いよ。」

と呆れられた。

ごもっとも。しょうがないな~て顔で微笑ってるし。

えぇえぇ、どーせ準備に時間かかって、挙げ句忘れ物やら何やらで何度も玄関出たり入ったりして出るのが遅くなった私が悪いんですとも、わかってますよ~だ。

それでも、友達に気晴らしさせてあげたかったんだもの。気温の高い昼日中の海岸は赤ちゃんにはキツいから、夕方少しだけでもと思って連れてきたけど。仲の良いヤツも一緒なら、ちょっとは進展するかな~とか、ね。彼女バツイチだしさ。

「なら、もうちょっと時間ある?」

ん?て、車停めたとこ通りすぎたよ?

「どこまで行くの?」

「この先まで。行ったことある?」

「1回だけ。けど行き止まりだったから引き返したよ。」

「夏しかやってないからな。」

男は車を駐車場に停めた。そこは公営の保養施設で夕方5時で閉まるが、駐車場は従業員の出入りなどがあるため、シーズンオフまで開放したままなのだとか。

「水着、よく似合ってる。」

「そう?」

一応、水場に行くんだし、と着てきた水着。ソフトジーンズっぽい短いスカートの下に、真紅の生地に白とピンクのハイビスカスの花柄のパンツとおヘソが見えるか見えないかくらいの肩紐の細い同じ柄のタンクトップの水着。タンキニって言ったっけ。

水着に気を取られてたら、カクンと座席か後ろに倒れた。え、と思ったら、男の右手がシートレバーを引いてた。そのまま覆い被さってくる。

ちゅ、てキスされた。大人のキスされて力が抜けた。

まだ暗くないのに。他に車がいないから従業員もみんな帰ったのかもしれないけど、夏だから夕方とはいえまだ明るくて。車の中でも窓から中で何してるかなんて丸見えなのに。

「後ろスモーク貼ってるから大丈夫だよ。」

後ろはね?

そりゃ駐車場の角の、人の背丈より高いサツキの樹壁が前にも左にもあるとこだから、運転席から悪戯してれば外からは見え難いっちゃ見え難いけどさ~。

「もう少しだけ、な。」

と言われて。人気が無いのをいいことにHな悪戯してくるのを、キャ~♪メガネ制服男子に襲われちゃう~♪さすが現場派、素敵な筋肉!と、内心ドキワクしながら悶えていると、しばらくして外が薄暗くなりはじめたのが窓から見えた。

ヤバイ!

「んっ、外、暗くなる、から、」

悪戯する手を止めようとしたら、

「この後会える?」

耳にキスしながら囁かれ、ゾクッてする。

「送ってかなきゃ、だから、」

「どうしても?」

「ん。」

ギュッと男の体を抱きしめて、それからキス。

「残念。」

手をゆるめたら、男が離れた。

二人して身なりを整える。

男は私を愛車まで送ってくれてから「またな。」と言って帰って行った。


さあ、迎えに行かなきゃ。

ちょっと遅くなっちゃったけど、仕方ない。

久しぶりに会った友人(?)につかまって長話(笑)してた、って話したら許してくれるよね?


アッチはどうなったかな~♪

ちょっと楽しみだったり。せっかくチャンス作ったんだから、少しだけでも男を見せてくれてたら...なんて思ってたんだけど、そういまくはいかなかったようで。ちょっと残念。


その夜。そろそろお仕事終わりかな~と思ってたら、その日最後のお客が来店。

「よう。」

誰かと思ったら、昼間の彼だった。

あ~、確かに「またな。」って言ってた~。

こーいうコトか~。

納得。じゃ、続きはお店の外で、ね♪

まっててね~♪


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