第3話 部室にて
第3話です。
最後まで読んでくれると嬉しいです。
―放課後―
「そういえば昼休みに見つかったのか?」
と坂本が机を運んでいる僕に聞いてきた。
「あ、うん見つかったよ」
「マジで!? うちの学校に少なくとも3人はいるってことか……」
「ん?今何人って言った?」
「あっ、……2人って言ったけど?それでその能力者って誰?」
「えっと確か……現代文化研究同好会の女子」
「あー、C組のあの人ね」
「知ってるの?」
「俺は顔しか知らないけど、優しそうな人で良かったじゃん」
「確かに、めっちゃ怖い不良の人が能力者だったら流石にビビる……っと、これで良しっと……」
あらかた机を運び終わったのでもう部室に行くことにする。
「それじゃあ坂本、もう行くね」
「おう、悪いないつも手伝ってもらって」
「別に大丈夫だよ」
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部室の前まで来たが、何故か少し緊張して入りずらい。
「ふぅ、入るか……」
ノックをしてドアを開ける。
「失礼しまーす」
部室に入ると、目の前に2つの机が横向きにくっつけて置いてあり、正面は窓、右側にはロッカー、左奥にケージが置いてある。
そして目の前机の右の席に彼女が座っていた。
「あ、どうぞー」
と彼女は微笑みながら言ったので、机の横にカバンを置き、彼女の向かいの席に座る。
「ごめん、ちょっと掃除手伝ってたら少し遅れちゃった。……ケージが置いてあるけど、何か飼ってるの?」
「はい。よっと……」
と、その時急に彼女と机の間からうさぎが顔を出した。
「うわっ!?」
「あ、驚かせちゃってすみません…」
「い、いや別に大丈夫だよ」
「それなら良かったです」
「へぇ……うさぎ飼っているんだ」
そのうさぎは全身真っ白で、赤色の首輪がついていた。
「綺麗な色をしているね」
「はい、真っ白でとってもかわいいです!!」
「名前は?」
「ラビ助です!」
「ふーん、ラビ助か……いい名前だね」
「ありがとうございます」
と話しているうちに、ここに来た目的を忘れるところだった。
「そういえば、君の持っている「能力」って?」
「ああ、そういえばそうでしたね」
と言って彼女は立ち上がり、ラビ助をケージに戻す。
「じゃあ、さっそく使いますね」
そう言いつつ彼女は、模様が描いてある右手を前に突き出した。
模様が光り、部室が黄緑色の光に包まれる。
すると彼女の目の前に光の粒が集まり、何かの形を作る。
間もなく光は徐々に小さくなっていき、光が消えると彼女の手には1冊の本が握られていた。
「何出したらいいかわからなかったので、適当に家にある本を出して見ました」
と言って彼女が本から手を離すと、同時にその本は光の粒へと変わり、消滅した。
「君の「能力」って……」
「私の「能力」は1度見た事のあるものを自由にコピー能力です」
「1度でも見たことがあると、どんな物でもコピーできたりする?」
「多分どんな物でも出せると思います」
凄い、流石は能力者だ……
「それで、あなたの「能力」はなんですか?」
「えっとね、僕は残念だけど「能力」は持ってないんだ、どうやら「能力」が無いのに「力」を貰っちゃったらしくて……」
「……けど、「能力」が無いのに「力」を貰ったら怪物になったりするんじゃ……」
「昨日聞いたんだけど、どうやら僕は「力」を貰っても問題の無い体質らしくて、その「力」が「身体能力を強化する力」に変換されたらしいんだよね」
「そうなんですか……じゃあ首にある模様の色が私のと違うのは……」
「「能力」かそうじゃないかの違いだね」
「ちょっと「力」って言うのがあまりわからないので、とりあえず「身体能力を強化する能力」を持っていることでいいですか?」
「んー、そういうことでいいね」
「そういえば、まだお互いに名前を言ってませんでしたね」
「ああ、確かに」
「それでは、私から自己紹介しますね。私は1年C組の夢野ツムギです。よろしくお願いします!」
「じゃあ僕も、僕は1年A組の湊宮アラタ、こちらこそよろしく!」
「さて、自己紹介も終わりましたし今後どうするかを決めましょう。」
「だね」
そういえば、博士は脅威がどうのこうのとか言っていたような……
「えっとさ、「力」をくれた人が「脅威」がどうのこうのって言ってたんだけど詳しく聞いてる?」
「はい、聞いてますよ」
「なら良かった、少し教えて貰ってもいい?」
「良いですよ。脅威というのは、宇宙から来た謎の影のような存在らしいです」
「影のような存在……その影は何か特別な力とかって持ってたりするの?」
「どうやらその影は他の生命体の体を乗っ取ることができるみたいです」
「乗っ取られるとどうなるかって知ってる?」
「乗っ取られると元の生命体の意識は完全に消えて、その影に操られて死ぬまで他の生命体を襲うようです。……しかも元の生命体よりもかなり能力が上がっているらしいです」
「乗っ取られた生き物を元に戻すことは可能?」
「それがどうやら絶対に出来ないそうです」
それは恐ろしい、1度乗っ取られるとそのまま「死」確定という訳か……
「ですけど、どうやら「力」を貰った人はどうやら乗っ取られることは無いようです」
「じゃあ、僕や夢野は大丈夫っていうことだね、良かった……」
「はい、それとその影は完全に日が落ちてからじゃないと活動できないようです」
「まあ、影だしね昼間に活動できたらどうかと思うね。じゃあ、今後はその影を倒すということで良い?」
「はい、それがいいと思います」
とここで夢野が言った。
「せっかくなんだか正義の味方みたいなことするので、何かそういう団体とか作りませんか?」
なんだか少し夢野のテンションが上がった気がした。
「もしかして、ヒーローとか正義の味方になってみたかったりした?」
「いえ!全く!!」
夢野がどこか楽しんでいるように見える。
まあ、シリアスな雰囲気ばっかりだと気が参ってしまいそうだし、少し楽しむのも良いかもしれない。
「別に良いんじゃないかな」
「それじゃあ明日までに団体の名前を考えてきてください!!」
と夢野は笑顔で言った。
「ああ、わかったよ。じゃあ影の退治も名前が決まってからにする?」
「いえ、さっそく今日から影を探して退治しましょう!被害が出るかもしれません」
という訳で今日から謎の影退治が始まるのだった。
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