通勤電車について
職場まで電車2本を乗り継いで出社している。乗車時間はそれぞれ短いが、まあ混む電車である。
抗がん剤投与日から、四、五日はこのすし詰めがしんどくなるときがある。
だが、誰も気づかいはしてくれない。
もしあなたが、電車内で座っていたとしよう。
マタニティーマークをつけた妊婦さんや、ヘルプマークをつけた方が乗車してきてあなたの目の前に立ったら、あなたが席を譲ったりする確率はかなり高いだろう。あるいは、松葉杖をついていたり、首にコルセットをつけていれば、同じことをするだろう。
でも、あなたは目の前に立っている人が、開腹手術後や、抗がん剤投与中の人間であると判るだろうか?
答え:判るわけねーだろ
みんな誰しも、自分さえよければ後はどーでもと思っている。
特に、満員電車は人間の本性が如実に表れる場所である。
こんな人を見かけたことがないだろうか?
遅延している電車がなかなか来ず舌打ちを繰り返している人、われ先に降りようと目の前の人をどついていく人などを。
しかもそういう行為をしているのが、パリッとしたスーツを着ている品のいい男性や、才媛さを醸し出しているOLさんだったりするのだ。
なので、誰か気を使ってくれるだろうと甘い期待は抱かないほうがいい。
自分で、工夫するしか手はないのだ。女性専用車とか始発電車を利用するとか、もたれかかる位置をキープするとか。
ただまあ、親切に席を譲ってくれる人もいるかもしれない。それを当たり前のことと捉えず、今日はラッキーデーだな程度に思っていた方がよい。
幸いなことに、電車では不愉快な思いはしなかったのだが、エスカレーターで腹を立てた日が一回だけ遭った。
件のエスカレーターは幅の狭いタイプ(一列)のものであり、歩かずに乗っていたら後ろにいた人間(男性五十代、某企業の社章をつけていたので会社員)に文句をいわれた。
「急いでんだから歩けよ、常識だろ」
あまりにも腹が立ったので、振り返りおじさんを見下ろすと脱帽して、ハゲ頭を晒すと言い返した。
「すみません、体調悪いんで歩くのは無理です。それにエスカレーターでは歩かないのが一般常識です。知らないんですか?」
おじさんどころか、その後ろに乗っていた何人かも、ぎょっとしていた。
ハゲ頭、恐るべし。
そもそも電車で座ることはめったにないが、今後つらそうな人を見かけたら、声をかけていこうと思う。それが、また別の誰かにつながっていくことを願って……。
お勉強で読んだ文献の中に、同様につらかった方が広めているバッジがあるそうだ。
『うさポンバッジ』というらしい。
気になる方は、検索してみてください。(ただ、入手は時間がかかるみたいです)