悪役令嬢、キャサリン
こう言う時に男性神エロスが居てくれたなら、と、女神アフロディーテことビーナスは思う。
まだ幼い子供のビーナスにとって、貧乏の毎日は苦しい。
明日の食べる物すらわからない生活、どうしてこうなってしまったと現在のビーナスは後悔している。
そんなある日の昼に、村に、とある女性が騎士団を率いてやって来る。ビーナスは話を両親から聞くに、貴族の女性だと知る。
その者の名は、キャサリン。悪役令嬢の異名をとる者。逆らう人間は皆殺しにするという。
それを聞いたビーナスは、ちょっとだけ違和感を感じる。何かはわからない、しかし、この令嬢はただ者ではないとビーナスは直感する。
「貧民のみなさま、農作物をさっさと作って売ってお金にして、とっとと私に捧げなさい!」キャサリンは村人たちを脅す。
それを聞いたビーナス以外の村人たちは恐怖の表情を浮かべる。ただ、女神アフロディーテことビーナスは、こう悪役令嬢に言った。
「私はあなたを許しません」
「あ? なんだこのガキは?」キャサリンが威嚇をする。
「す、すいません! この子はまだ幼いのです、キャサリン様!」ビーナスの両親が許しをこう。
「ふーん? 献上金を倍にする。それで許そう」キャサリンの言葉に村人たちは恐怖の声を上げる。
しかし、女神アフロディーテことビーナスは表情を崩さなかった。まだ幼い女の子の姿だが、その目には光が宿っている。
「覚えておけ? お前を殺すのは容易いことだ、と」キャサリンこと悪役令嬢はそう言って、騎士団を率いて帰って行った。
続く