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07.紹介と面談室

ブクマありがとうございます!


 


 相談窓口の席に座ったまま、途方にくれた顔をしていると、別の女性相談員の人が通りがかった。


「ご相談ですか?」

「あの、資料を探すと言ってくださって」

「まぁ、何か珍しい職をお探しなんですか?」


 前世の私より少し年上ぐらいと見える彼女は、いろいろ笑顔で話しかけてきてくれる。


「いえ、あの、私がいけないんです……」


 普通に二択から選んでおけば良かったのに。

 けれど、今の言い方も良くなかったのだろう。女性は同情的な目で見てきた。


「まぁ。うちの職員が失礼してしまったのね。ごめんなさい。大丈夫、あなたが悪いことなんてないのよ」


 慰めてくれるのだけど、そういうんじゃないです。いたたまれない。


「いえ、ごめんなさい。そうじゃないんです」


 そう言ったところで、当の男性が戻ってきた。


「大変お待たせしました。おや、カルチェどうした」

「え、所長?!」


 え、所長さんなの?!


「ああ、待ち時間の相手をしてくれていたのか。私としたことが重ね重ね申し訳ない。この町を拠点にしている商店で、信頼できる店主たちを見繕ってきたよ」


 女性……カルチェさんが唖然としている。

 その間にも所長さんは嬉々として資料を並べ出す。その資料を見て、カルチェさんが唖然とする。


「街一番の大店に、老舗ながら常に最先端を担う服飾店、あれは店主が気に入らない人間は採らないという超最難関就職先……この子何者?」


 カルチェさんがぶつぶつ言ってますが、ソフィア補正で全文字幕化してます。

 ただの転生者ですよ。


「店主だけでなく、従業員も信頼できるものが多いのはこの辺りでしょうか。あとは会ってみなければ相性は分かりませんね。お時間はありますか? これから何ヵ所か案内できますが」


 いやいやいや、不動産屋さんの案内じゃないんだから。カルチェさんの開いた口がふさがらないじゃないですか。

 所長さん、すごいウキウキで紹介してくれます。えー。


「あ、あのそんなスゴいところでなくても。私ただの田舎の小娘ですので」


 申し訳なさでいっぱいです。

 カルチェさんが、そっと私の証明書とステータスを見て目を剥いている。


「読み書き計算ができて、礼儀も最低限仕込んである、その上で祝福持ち。これだけで貴族の小間使にも紹介できるわ。でも収納箱を持ってるから、商店を勧めているのね。たしかに貴族に使い潰されるより、信頼できる店で自立も視野に仕込んでもらった方が彼女のためになる。さすが所長だわ。それにしても、さらにヒールに固有スキルですって? 保護するには、老舗の方がいいのかしら、フットワークのいい小規模店の方がいいのかしら……」


 字幕がすごい流れてますが、真剣な顔のカルチェさんの口は動いてないし、声も聞こえてません。

 ソフィア、何を拾ってるの?


 でもわかった。貴重なステータス持ちを保護しなきゃいけないのか。うーん、ますます本当のステータスは出すわけにはいかないな。


 そんなことを考えているうちに、所長さんの話は進んでいた。


「ふむ、小規模の店の方が好みですかね。でしたら……彼に会ってみますか?」


 そう言って、別のファイルから資料を出してきた。

 ええと……なになに?


「仲買?」

「はい。彼は特定の拠点を持たない旅の仲買商です。定期的にこの街の……ここと、ここですね。訪れて品を卸しています。貴族との繋がりもあり、彼を介さなければ売買されない貴重なものも多いですよ。元冒険者で腕っぷしはありますが、礼儀正しく人当たりがいいですね。人格も保証します。いかがでしょう」


 つまり、旅の商人さんか。

 所長さんは立場上いろんな人に会って目利きしているはず。第三者的立場のカルチェさんの意見も合わせて、会ってみてもいいかもしれない。


 ソフィア、いいと思う?


『まずは会ってみるところからだと思います』


 うん。じゃあ。


「なるほど、わかりました。会ってみたいです」


 そこで、連絡をとってもらい、会うことにした。




 ― * ― * ― * ― 




 会うのは午後の2時ごろ。

 相手の商人さんのスケジュール上、その頃に所長さんが紹介所に呼んでくれるらしい。


 ありがたいことです。早めに行こう。


 そんなわけで、一旦お昼を食べたあとで紹介所へ再び向かうことにした。

 お昼はキャベツとベーコンのパスタによく似た料理。あっさり。


 紹介所の周辺をソフィアに案内してもらいながら時間をつぶし、1時半ごろに中へ。所長さんに取り次いでもらう。


 面談場所は所長室になったそうだ。

 普通は相手側の商店か、面談室でやるみたいなんだけれど……わわわ、緊張する。


 案内してくれたカルチェさんではない紹介所の女性職員さんが、所長室の扉を叩いて入室する。

 続いて入ると、所長さんはにこやかに出迎えてくれた。

 改めて思う、すごい厚待遇。


「彼らはもう少しで来るようだから、こっちに座ってお茶でも飲んでなさい」


 お茶はハーブティーっぽい感じだった。美味しい。


 飲みながら雑談をしていると、しばらくして、ノックが響いた。





もうちょっとパスタの描写した方が良かったでしょうか……平麺の程よい太さのものです。


次回は新キャラ!

がんばります。

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