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06.紹介所と相談

初日からブクマやpt、ましてや感想など戴けるとは思わず、泣きそうになりました。


がんばります。

 

 朝。


 いつものように、ベッド脇のメガネを探した私。けれどもそんなものはない。


 メガネがなくてもある程度動けるけれど、裸眼じゃ10センチぐらいから視界がぼやける私では、細かい所がわからない。

 また気付かずに落としたメガネを思いっきり踏みつけるかもしれない。


 おそるおそる起き出した私に、ソフィアが話しかけてくれたところで、寝ぼけ眼から覚めて、視界がクリアなことに気がついた。


 ソフィアが浮かべてくれた時計は6:07と表示されている。この世界での時間は同じ感覚でいいんだろうか?


『実は、日によって時間の感覚が違います。日の出を朝6時、日の入りを夕6時、正中を12時と考える世界ですので、時刻表示もそれにしたがっています』

「うわ。それ毎日計算してるの?! ソフィアごめんね」

『いいえ、モモカ。それより、そんな調子ですので表示を変えた方がいいかと思うのですが、どれがいいでしょう?』


 そんなわけで、朝の準備をしながらソフィアと時計のデザインを話し合った。昔の日本風デザインが一番しっくりきたのでそれに決定。

 慣れれば表示が要らなくなるかもだけど、それまでは楽しもう。


「ありがとう、ソフィア」

『どういたしまして、モモカ。今日もがんばりましょう』


 まずは、宿の食堂で朝ごはん。



 ― * ― * ― * ― 



 シンプルながらも美味しい朝ごはんをいただいたあと、私は紹介所にやってきた。


 昨日はあれから、いくつかの募集を見て傾向や報酬のおおよそをソフィアと確認して、会員証をもらってから帰った。


「これだけの技能があれば引く手数多だと思いますよ」


 そう言ってもらえたので、ちょっと期待してます。


 相談窓口に行き、会員証を出して職業相談をしたいと言うと、その会員証を見てにっこりと笑われた。

 受け付けしてもらったのは、40~50代のふくよかなおじさん。こういう人の方がきっと頼りになると思うのよね。


 席に座って、身分証明書とステータスの写しを渡すと、目を見開いて驚かれた。


「技能が素晴らしいですね。商店から引く手数多になりますよ」

「商店ですか?」


 具体的な話が出た。お店の店員さんかぁ。


「読み書き計算ができて、収納箱というレア能力を持っている。しかも中規模。さらに祝福持ちで、ヒールが使える。店番から仕入れの補助、荷運びまでなんでも行けますね。商店主が見たら即勧誘されるでしょう」


 うわわ。仕入れに荷物持ちか。なるほど、収納箱ってそういう役にはぴったりだもんね。


「固有能力は、どんなものか把握されていますか?」


 固有能力っていうと、【テキパキ】の方かな。


「【テキパキ】は、私の動きを補助し、なんでもテキパキとこなせるようにしてくれるものみたいです」


「成程、それも非常に有利な能力ですね。商店でも業績の安定した中・大規模の所をご紹介しましょう」


 うわー! 大企業紹介してもらえるみたい! 前世じゃ絶対無理だったよ。


 私が嬉しさと前世とのことを悩ましく思い出していると、不満なのだと思われたのか、続けてこんな提案をされる。


「それとも、これから急成長が期待される新進気鋭の商店の方がよろしいでしょうか」


 うわぁ! 悩ましい! そんな選択肢前世じゃ(以下同文


 まぁ、どちらかと決めたからといって内定がもらえるとは限らないわけだけど、余計に悩む。

 どうしよう。どうしたらいい、ソフィア?


『直接見てから決めるか、他に条件を入れてみるかですね』


 ふむぅ。そういえばそうだよね。

 第一、異世界の商店がどんな感じなのかも私よくわかってないし。

 どちらの世界でも共通の、理想の就職先といえば……。


「あの……」

「はい。どういたしましょう」


 私は、意を決して就職先の条件を言う。


「商店の大小に関わらず、人間的に信頼できる雇い主さんのところに勤めたいです。相性もあると思いますので、この人ならと思う方を何人か教えていただければ……」


 と、ここまで言ったところで、紹介所の男性が唖然とした顔をしているのに気がついた。

 ヤバイ。大分失礼なことを言った。



「あの、すみま」

「大変失礼しました! そうですよね。まずは商店主の人格が信頼できなければレア能力を悪用されかねません。そこは、まずしっかりせねば」


 謝ろうとした矢先、紹介所の男性のほうから頭を下げられ、なにやら捲し立てられたあと、改めてステータス表を見ながら決意した目をされた。

 いやいや、そんな大袈裟なことではないです。


「いえ、あの、生意気なことを言って申し訳ないです」

「いえいえ。これだけのスキルを持つ人は滅多に出合えませんよ。当然の自衛です。安売りせず、じっくり行きましょう」


 えーいやいや。田舎から出てきて早く稼がなきゃいけない立場なのに。実際には異世界から来たところで、早くこの世界に馴染みたい。


 困った顔をしていたのだけれど、その前に男性は資料を探すと言って席をたっていた。


 うーん、うーん。どうしよう。






お読みいただきありがとうございました。


明日も更新できるようがんばります。


誤字脱字明らかな勘違い、ありましたら教えていただけると有り難いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 分かりやすくすらすらと読める描写が良いですね。素直にストーリーを楽しむことができます。 ソフィアによる世界観の表現も適切で、ファンタジー初心者の方にも勧められると思います。 あと早くもソフ…
2020/10/29 17:55 退会済み
管理
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