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05.お金と宿と


 満腹になって宿に向かう間に、お金についてレクチャーしてもらう。


 貨幣単位は『ロッツ』。

 石貨  1ロッツ

 角貨  10ロッツ

 黒貨  100ロッツ

 銀貨  1000ロッツ

 金貨  10000ロッツ


 ぜんぶ十進数でわかりやすい。

 感覚的には1ロッツ≒10円で、黒貨と角貨という耳慣れないものもあるものの、銀貨まではだいたい10円玉から100円玉ぐらいの大きさと薄さで違和感はいうほどではない。


 石貨は黄色い石の硬貨、角貨は同じ素材が微妙に大きくなっていて、八角形に加工されている。

 黒貨は黒いすべすべの石の硬貨で、金貨は小さくて六角形。1円玉ぐらい。

 うん、一番高い価値のある硬貨が一番小さいということが、一番の違和感。

 製造法は秘匿されているが、魔法で作られているらしい。

 

 所持金は、金貨2枚と4,765ロッツ。

 これで今日は宿をとって、職業紹介所に登録しにいった後所持品の確認をしたり、どんな方向の職にするのかソフィアと相談。

 紹介してもらうのは明日。



 ソフィアオススメの宿屋は、少し高めでセキュリティ重視のところなのだそう。出入りも女性か身綺麗な男性ばかり。

 奥の部屋ほどセキュリティが高いそうなので、受付台に行き「一人なのですが、突き当たりの部屋は空いていますか?」と聞いてみると、あいにく埋まっているという。

 女性ばかり4人グループが突き当たりに泊まっている部屋の隣を薦められたので、そこにする。

 普通、先払いでチェックアウトの時にお釣りを渡すのだそう。世界が変われば習慣も変わる……。銀貨を渡して鍵を受けとりました。


 2階に登って鍵につけられた木札から、部屋を探す。同じ記号のついた扉の鍵穴に合わせると内側に開いた。

 正面にはカーテンの下がった窓。奥にはシングルベッド、その隣に小さなチェスト。反対側には小さめの机と椅子。

 隣の大部屋に位の高い人が泊まった場合に、侍女が使う部屋らしいと、ソフィアが解説してくれた。なるほど。


 窓を開けて、部屋の中を確認。清潔で安心。


 荷物は持ち歩くようにソフィアに注意を受けたので、そのまま踵を返し、職業紹介所に向かうことにした。

 受付で夕食やお湯を使う場合の諸注意を確認して、鍵を預けて木札の半分をを受け取る。

 


 職業紹介所は、大教会と同じ町の中心方向にあるが、通りが違う。そちらは、職人が多く住む区画なのだそう。大教会は、宿屋や屋台や店舗が多い区画にある。観光客や傭兵・冒険者が多い。


 人通りの多すぎない道を通って大きな建物の前につく。

 白い壁と赤い石組の頑丈そうな建物には、何ヵ所かの入り口があり、とりあえず入ってみると、大きなホールになっていた。

 日本の役所みたい。


「こんにちは、職業紹介所にようこそ。はじめてですか?」


 ボーッと眺めていると、優しそうな女性が近づいてきた。案内の人かな?


「はい。まずは登録と、どんな職を募集しているのか見てみようと思って」


 私は礼儀正しくみえるように返事をした。

 女性は一瞬目を見張り、次ににっこりと笑うと登録窓口に案内してくれた。


 窓口で代筆の有無を聞かれてから紙を受け取り、必要事項を書き込む。

 名前と、年齢、証明書類所持の有無、希望業種など。

 書いている途中に、何人かの人が来て、代筆を希望して代筆屋の列に並びに行った。

 この世界、平民の識字率は40%ほど。貴族なら90%を越えるけれど、平民では日常最もよく使う語句を読み書きできればじゅうぶんなようで、こういう書類は代筆屋に頼むものらしい。


「はい、これで受け付けしますね。会員証の発行まで、相談窓口前の職業募集情報をごらんになっていてください」


 書いたものを受け付けに渡すと、ホール中ほどの人がたくさん集まっている辺りに移動する。

 そこには、今募集されている職が、貼り出されたり棚に収められたりしている。

 棚には木の薄い板に書かれたものが一番多く、次に羊皮紙っぽいの、紙のようなものは一番少なく、一冊にまとめて置かれている。


 どんな感じなのか見てみようとしたら、また話しかけられた。今度は若い男の子。今の私よりちょっと年上かな?

 どうやら代読をしてくれる人のよう。


 さっきの代筆もそうだけれど、代読も安定して稼げる職のひとつらしい。読めないのを良いことに、嘘を教える悪い人もいるみたいだけれど、紹介所にいる人はそういうことをすると紹介所に出入り禁止の上、犯罪歴をつけられる。

 まともな職にはつけなくなるので、かなり厳しい。なので安心して依頼できるそう。


 けれどまぁ、私は読めるので断ります。

 彼は気を悪くした風もなく、別の人に声をかけてその人を案内しはじめました。

 いくらでも需要がありそう。候補にいれておこうかな?


『代読・代筆屋は、職業を持つ人の副業として人気です。するならば、他の職業に慣れてから兼業するのが良いでしょう』


 あ、なるほど。それだけでやるものではないんだ。


『専任の人もいますが、兼業中に専任契約を受けてからの転職がほとんどですね』


 なるほど……まずはきちんと職を体験してみることから始めるのが良さそう。

 さてさて、見てみようっと。



お読みいただき、ありがとうございました。


誤字脱字ありましたら教えていただけると有り難いです。

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