表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/42

35.巨大な牛さんと不文律

大変にお待たせいたしました。


※ 後書きの、次回更新予告を書き換えました。

 しばらく、揺れるタタールのおしりと、ラブロのしっぽを見ながら癒されていましたが、いつも通り後ろ向きに座り直しました。


 ら、思ったよりも近くに見える後ろの荷車の牽獣の迫力にビクッとしてしまいました。


 大型の荷車を牽くのは、立派な角を持つ牛。

 地球のバイソンによく似ています。テレビでしか見たことないですけど。


 それが引っ張る、大きな幌つきの荷台。


 圧巻です。


 今乗っている小型の荷車が、一台まるごと入るスペースが、間にあるはずなのに、ここまで間近に感じられるのも、大きさの証明ですね。


 ……ああでも、頭の辺りは、もふっとしてそうだなぁ。休憩時間に、触らせてもらえないかなぁ。



 出発したばかりだけれど、休憩時間がすごく楽しみで、牛さんを見ながらずっとニコニコしていました。




 ― * ― * ― * ― 



 順調に進み、お昼御飯を食べるための広場にやって来ました。

 あれ? カレーとはお別れしたはずなのに、匂いがしますよ。

 ……反対側の休憩場所では出てなかったのになぁ、カレー屋台。この違いは、なんなのかな。



「やっぱ、香辛料の匂いがすると、つい引かれるよなぁ」


 ロニーさんが呟いて、今日のお昼もやっぱり決定な予感がします。


 すると、


「ロニー、止める場所はあっちだ」


 青いたてがみの馬っぽい子に乗ったデリックさんが、後ろからやって来て言いました。

 あ、止めるところ決まってるんですね。


 どうやら、隊商を組んでいるひとは、屋台から遠くに止めないといけないらしいです。

 屋台の前に、団体さまが陣取ると、他のひとが来づらいですからね。

 さらに、大型の荷車は広めの地面のぬかるみにくい場所があるとか。


 不文律、というのでしょうか? 

 とにかく、デリックさんに案内されるままに進みます。


「昼は、うちが持つ。というか、知り合いの屋台が出てるから、そこで買わせてくれ。人数は4人で間違いないな?」


 デリックさんはそう言うと、また後方に戻っていきました。


「メニュー、決まっちゃった?」

「何になったのか、聞く間もなかったわね」

「……カレーじゃなさそうだなぁ」


 このあたり、といわれた辺りに停めて、私は荷台から降ります。

 先に降りていたロニーさんは、打ち合わせに他の人の荷台へ。ラナさんは荷物周囲の警護。


 私はオラヴィさんと一緒に、ラブロとタタールのお世話です。

 藁を敷き、ふわふわになるようにバサバサと空気を入れながら広げました。


 そこに冒険者二人がやって来て、感心したような声をあげました。


「手伝いか、偉いな。それにだいぶん手慣れてる」

「私だって、従魔士の端くれですから」


 ダイフクちゃんを指差しながら言うと、パトリックさんは、カラカラと笑いました。


「ああ、そうか。非戦闘員と強調されていたから、ついな」

「戦えませんよ? 従魔はこの子だけですし。だからってお手伝いができないほど、子供じゃないです」


 そうかそうか、と頭を撫でられる。

 めっちゃ、子供扱いされてる! 子供好き? 本当、私何歳に思われてるんだろう。いちおう、10歳は越えてるように見えてるんだよね? ね? 


 グニューさんは、どさりと横たわったタタールに、ちょっと大袈裟なぐらいビクッとしたあと、その後ろにいた大きな牛さんの鼻息に、再度のけぞった。


 ……あっ、牛さん!


「あっあのっ」

「ん? どうした?」


 寝床はできたので、牛さんの牽く荷車の人に話しかけて、撫でてもいいか、許可を得ます。

 ちょっとびっくりされたけど、オッケー貰えました♪ おしりはダメという注意つき。大丈夫、目的は頭です! 


 ゴワゴワとふわふわが混ざった、頭を快く撫でさせてくれる牛さんに、感謝しながら癒されていると、隣の牽獣さんたちが目に入りました。


 えっ、アルマジロ? 


 その向こうにいるの、熊だよね。茶色いのと黒いのと。


 うわ、撫でていいかな? いいかな? 



「そんなに牛が好きなのか、その子」


 打ち合わせは、アルマジロと熊さんの間あたりでされていたので、デリックさんやロニーさんから、私が丸見えです。


「いや、あの子は牽獣が好きなんだ。良かったら、他のやつも撫でさせてやってくれないか?」


 ロニーさん、ナイスアシストーーーー!!


 それならと、まずはアルマジロ……の、つぶらな目、あり得んカワイイーー!!

 皮膚は予想通り固いけど、ほどよい柔らかさもあって、まさに皮冑のよう。

 このまま、ゆっくり撫でていたいけど……。


「あっちの黒いのは気が荒いから、こいつだけな」


 茶色い子の頭を抱えながら、熊の従魔士さんが言ってくれます。

 牙の鋭い口周りは、ダメということで、大きな背中をもふもふ。

 うむ。ラブロほどではないですが、ほどほどに、もふもふです♪ じゅうたん♪ ああー、抱きついちゃえ~♪


「本当に好きなんだな。君ぐらいの子に泣かれたことはあっても、抱きつかれたことはないから、コイツ固まってるよ」


 あやや、ごめんなさい。

 でも、やっぱり、10歳以下に見られてない? 私。



 堪能してから、用意してもらったお昼御飯を食べます。

 ハンバーガーかサンドイッチみたい? 

 中のお肉が柔らかいですよ。お野菜のコリコリとした歯ごたえとのハーモニーが素晴らしい。


 ……ロニーさんのが、色が赤い上に、唐辛子っぽいものが見える気がするのは、デリックさんが好みを知っていたからだそうですよ。

 すごく幸せそうですね。




「空に雲が増えてきた。残りは少し早足で行くことになったぞ」


 朝から多めだった雲は、空を覆いつくそうとしているかのようです。

 大型の3台と、中型の1台には屋根がありますが、うちのにはありません。


 降ってきたら、こっそり荷物を収納してほしいと頼まれました。


お読みいただき、ありがとうございました。



体調と、子供関連のあれこれが落ち着いてきましたので、執筆進めています。


【予告】

次回更新日は、令和が始まる直前、平成最後の日、

4月30日にしようと思います。


翌日、5月1日と、5月2日にも更新しますので、よろしくお願いします。



誤字脱字その他、ご指摘いただければありがたいです。


▼誤字報告 機能がページの一番下に▼

ありますので、ぜひご活用くださいませ! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


+*゜。*。゜*+―+*゜。*。゜*+―+*゜。*。゜*+

ランキング参加しています。

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー

+*゜。*。゜*+―+*゜。*。゜*+―+*゜。*。゜*+
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ