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33.ダイフクのごはんとコリアンダー

 

 その後、貨幣協会(ギルド)のマークがついた、身分証を返してもらいにいきました。

 ロニーさんの手続きも終わり、黒い建物を出ます。


 持っていたお金も、ほとんど預けて、ちょっと身軽になりました!


『管理はおまかせください』


 はい、お願いします。

 私が管理すると、むちゃくちゃになりますからね。前世でも、大変でした……。





 この後、なんと、採集ダンジョンに行ってみました!


 入り口で、緊張して力の入った腕で、ダイフクちゃんを抱き締めすぎて、逃げられるというハプニングがありましたが、中にいた跳び兎ちゃんたちとの、モフモフショットが観られて、眼福でした。


 そうそう、ダイフクちゃんの食べるご飯も、きちんと判明したんですよ! 


 数種類の雑草で、自然に多く生えている他、庭や畑などを作るときにも、勝手に生えてくるものばかりなのだそう。

 作物を作るには邪魔なので、除去するしかなく、栽培はされていないかわりに、いくらでも手に入れる方法があるようです。


「良かったね、ダイフクちゃん。ご飯には困らないよ」


 もぐもぐするダイフクちゃんを抱き締めながら、ホッとしました。

 なかなか満足な量のご飯を、食べさせてあげられない従魔士さんの話を、聞いてしまいましたから……。


 ちょっとした不安が溶けて、良かったです。






 その、帰り道です。


 昼食は、ライスペーパーで野菜やお肉を巻いて食べるもの。


 コリアンダー、と言われて食べたものが、所謂パクチーで、ちょっと、口の中に衝撃を受けました……。

 ダメです……少量ならいいけど、大量に食べるものではなかったです……。


 柑橘類の香りがするお水を、注文して飲んでいたら、オラヴィさんと話していたロニーさんが、こちらを向きました。


「うん、じゃあ、隊商に参加しよう。モモカちゃんもそのつもりで」


 うん? 隊商? 


「他の商人さんたちと、一緒に行くんですか?」


「そう。まぁ、ちょっと不安要素がなくはないけど、布石は打ったからね」


 今まで、他の荷車が見えるように移動はしていましたが、隊列を組むことはありませんでした。

 その理由は……。


「従魔士協会の、正会員証を貰えたからですか?」


 私の能力が、狙われる可能性があったから。


「そう。これがあると、相手に無理を言われたときに、拒否しても頼る場所ができる」


 聞けば、能力の高い従魔士を引き込むのは、貴族でも正式な手続きが必要なこと。

 その手続きをするには、従魔士本人の明確な承認が必要なことを教えてもらいました。


 煩雑な手続きのために、手を出しづらくなるのだとか。

 無理矢理、脅迫などされた場合、最優先で保護される仕組みだとか。


「従魔士は、有益で応用力の高い能力だから、最低限の生活保障もつく。……まぁ、キツキツだがな。その他の職よりマシだ。仕事がないときに申請すれば、金をもらいながら、仕事を斡旋してもらえるところなんざ、従魔士だけだからな」


 いつもより長文のオラヴィさんが珍しいけれど、そういうことらしいです。

 紹介所でも、職業訓練所みたいなことは、してないみたい。

 うん、冷静に考えれば、そりゃそうか。平和で余裕ある世界だからこそ、できる制度だよね。



「そんな感じで、最低限の安全は確保できそうだから、一度体験しておくべきかな? って。どう? 今なら組みやすいから」


 もちろん、能力をばらすつもりも広める気もないよ、とロニーさんは笑いました。

 その手の、唐辛子をそのまま巻いたライスペーパーを見ながら、考え込む……ふりをして、ソフィアに相談します。




 参加した方が、いいのかな?


『これからの可能性を鑑みると、体験しておく、というのは有益です。しかしデメリットがないわけではありません』


 うん。……でも


『デメリットが起こった際の対応方法を学ぶ、ということもできるかもしれません』


 うん。

 実をいうと、私の公開されたぶんの能力が、どれだけスゴいものなのか、という実感はないのよね。


 便利だな、とは思うけれど、それぞれの能力は珍しいものではないはずです。


『……それを複数持つことは、珍しいのですよ?』


 ぐ。あぅ、やっぱり、そういうことなのね。


 うん、対応としては、複数持つことを隠す方向かな? 


癒しの術(ヒールスキル)を持つ従魔士、という方向が、他の商人からの目を紛らわせるのに最も効果的なようです。……参加したいのですね? モモカ』


 うん。

 私は、たくさんの人と、関わってみたい。

 その一歩になるかな? 


『はい、モモカ。サポートはお任せください』



 ソフィアに後押ししてもらって、私は笑顔で参加してみたいことを伝えられました。

 その際、ヒールが使える従魔士、ということにするのはどうかと提案すると、オラヴィさんの見習いをしていることにする、と付け加えられて、採用されました。


「何かあっても、私が守るから」


 ラナさんの笑顔を向けられて、幸せな気持ちになります。



 今日、申し込んで、明日の隊商で移動することになりました。


 ちょっと、ドキドキしますね。



お読みいただき、ありがとうございました。


タイトルに悩みました……。

コリアンダーとパクチーって同じなのに、名前が違うだけで、ぜんぜん印象違いますよね。


誤字脱字その他、ご指摘いただければありがたいです。



※ 5/12(日)

コリアンダーとパクチーを『近似種』と記載しておりましたが、同一植物です。

訂正してお詫びいたします。ご指摘ありがとうございました! (恥ずかしい(*ノノ))

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