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03.大教会とステータス

 街の入り口はほぼ素通りだった。


 ソフィアによると、街の入り口には結界があり、魔物と犯罪者は弾かれるようになっているのだそう。


 私の身分証は、職や住み処を得るためのもので、そういうものがない人は選択肢がかなり絞られてしまう。

 たとえば日雇いや『冒険者』、家は宿か一括払いだったり。


 そういえば、小説の『冒険者』もそんな感じだなぁと思う。簡単に実力者になるから不便はないように描かれるけれど、やはり身元がはっきりしない人間は信用度が低いものみたい。


 もともと、就職活動のために街に出てきた設定なのだから、持っていない方が不自然。

 これで目立たず普通に職と住む場所を探すことができる。


「神様、私が言わなくてもいろいろ考えてくれたんだね」


『願いがとても珍しいものだったので、『遊び心』だそうですよ』


 ……遊び心?


 一抹の不安を感じつつ、大通りを進む。


 まず向かうのは、大教会。




 ― * ― * ― * ― 



 大教会では、所謂ステータスを確認することができる。

 ステータス表を発行してもらえ、これを持っていると就職に有利になる。


 ステータスの確認は少額だが、表の発行にはその5倍の金額がかかる。

 けれども、地方の教会で発行された証明書を持っていくと、2回目まで無料で発行してもらえる。


 お得。すっごいお得。普通は1回でいいんだけど。



 で、そんなお得なステータス確認をソフィアに勧められてやってみたんだけど。

 なにこれ。



―――――――――――――――――――

(正)


[名前] モモカ・ヤマ=ノウチ

[年齢/性別] 15 / 女

[種族] 普人族

[加護/称号] 転生神の加護 / 転生者

[レベル] 1

[HP] 500

[MP] 800

[固有能力] 【ナビ】【テキパキ】【他言語理解】

[能力] 頑健,無限収納箱,生活魔法,聖属性魔法,


―――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――

(提出用)


[名前] モモカ・ヤマ=ノウチ

[年齢/性別] 15 / 女

[種族] 普人族

[加護/称号] 創世神の祝福 / 

[レベル] 1

[HP] 15

[MP] 8

[固有能力] 【テキパキ】

[能力] 壮健,収納箱(中),生活魔法,ヒール,


―――――――――――――――――――



 なんで2つもステータスがあるの?!

 2回無料って、こういうこと?


『(正)がモモカの本当のステータスです。教会などに見せると目立ちますので、控えめにしたものを提出用ステータスとしてプレゼントされています』


 所謂、偽装ステータスを神様公認でいただいた、ってことですか。

 なんか至れり尽くせりで申し訳ないです。


 ええと、じゃあ、発行してもらえるステータス表は提出用だけ?


『はい。本来のステータスは、私の方で読み込めましたので、いつでも手元でご覧いただけます』


 そう言って、鑑定板に写し出されたステータスと同じものを、ソフィアは空中に映し出した。

 って、わわ。


『今さらですが、この文字や私の声はあなたのスキルなので、他人には感じることもできません』


 あ、そうなんだ。良かった。

 でも考えたら当たり前か。こんなの人の回りにふよふよしてたら邪魔だよね。


『ちなみに、固有能力(スキル)【ナビ】【テキパキ】はモモカ専用スキルです。【他言語理解】無限収納箱は、転生もしくは召喚者限定能力(スキル)です』


 あ、思ってたの。【テキパキ】って何?


 すると、ソフィアの案内ではなく手元の表示でスキル説明が浮かんだ。


―――――――――――――――――――

【テキパキ】

超速思考と並列思考、演算加速と沈着冷静のスキルセット。どんな状況でも常に最速で思い通りの選択をすることができる。スキル【ナビ】と連動中。

(表向きは、自らの動きを補助し、なんでもテキパキとこなせる能力)


―――――――――――――――――――


 何それ、チートか。

 私、チートは求めていないんですけれど。


『神様の遊び心です』


 そんな遊び心はいらない。

 私は穏やかに暮らしたい。


 うーん、でもいろいろ考えてもらってるし、第一これぐらいのチートスキルじゃないと、私のフォローは難しいのかも。

 じゃあ仕方ないね。



 とりあえずそこまでにして、私は教会のステータス確認用の個室から出る。

 出入口にはここまで案内してくれた修道士さんが待っていて、証明書に似た赤茶色のカードを渡してくれた。

 開くと間違いなく提出用のステータスが書かれている。


 お礼を言い、代金に多少の上乗せをしたものを渡して、教会の入り口へ。


 行き掛けにもしたけれど、教会の奥に見える主神像にお辞儀をして退出。

 この国、精霊信仰らしいんだけど。

 まぁいいか。



 高台に立つ教会の扉から見た街は、まるでヨーロッパの古い町並みをそのまま再現したような、石造りの美しい景観が広がっていた。




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