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17.従魔師? と裏通り

 


「今日の取引先は、午前中に2ヵ所。午後のは俺一人で行くから、荷物出してもらったあとは自由時間だから」


 読み上げられたリストの荷物を出し終わると、ロニーさんがそう言った。


 ええと……つまり? 


『2件回ったあとか、昼食後に午後の荷物を受け取ったあとは、町の観光に行っていいですよ、ということですね』


 おお! それいい! 


「私だけですか? ラナさんやオラヴィさん、ラブロやタタールは?」


 一緒に回ったり、もふもふしたりしたい! 特にタタールを。さっきはラブロについ夢中になっちゃったから。


「私はモモカちゃんと一緒に行くわよ! 何ヵ所か行きたいとこがあるのよ」


 台車から少し離れて警備していたラナさんが、喜び勇んで近づいてくる。

 じゃあ、ラナさんにオススメを聞くのは決定、もう片側は? 


「俺一人で行ってもいいけど、やっぱり荷車ごとのほうが向こうは分かりやすいかな」


 そうロニーさんはオラヴィさんと目配せした。首肯くオラヴィさん。

 あぅ、タタールの強そうな毛並みの弾力……。


 と、気がつく。今日も荷車に繋がれているのはラブロだ。タタールは何処に行ったんだろ。


「タタールもなでなでしてあげたかったんですけど、厩ですか?」


 オラヴィさんに聞いてみると首を横に振られる。


「昨日はほぼ一日休みなしであいつが牽いたから、今日は休み」

「ああ、送還してあるのか」


 そのロニーさんの言葉にまた首肯くオラヴィさん。

 首をかしげる私に解説してくれたのはラナさんだ。


「オラヴィは従魔師(テイマー)なんだけど、必要に応じて従えてる魔物を喚び出したり還したりできるのよ」

「へぇ!」


 ラブロもタタールも、その背は私の顎の高さ。体長は私の両手を広げたより長い。

 こんな大きな魔物をテイマーは自由に喚んだり還したりできるんだ! どこに、かは分からないけれど。


『オラヴィのステータスを表示しますか?』


 ソフィアが声をかけてきた。何で今? 


 でも、そう言えば、オラヴィさんのだけ見てなかったかも。

 従魔師(テイマー)さんのステータスって従えてる魔物とかも出るのかしら。


 見せてください!



 ―――――――――――――――――――



[名前] オラヴィ・ゲルストナー

[年齢/性別] 19 / 男

[種族] 銀狼族

[加護/称号]  / 召喚師

[レベル] 41

[HP] 620

[MP] 540

[固有能力] 

[能力] 召喚Lv.9,従属Lv.7,生活魔法,


 ―――――――――――――――――――




 魔物一覧はなかった! 

 と、いうより、オラヴィさん従魔師(テイマー)じゃないじゃない、召喚師って書いてあるよ。


『高位の召喚師は指定の異空間に、召喚獣や従魔を収納する能力を持っています』


 なるほど、そういうことか。


 普段、オラヴィさんはテイマーとして仕事しているから、召喚師なんてややこしいことは言わないってことね。

 納得です。


『……』


 とにかく、そういうわけでタタールはいないので、もふもふナデナデはお預けなのか。がっかり。


「また今度、タタールも撫でさせてくださいね」


 そう言うと、しっかり首肯いてくれた。

 わーい♪ 楽しみにしとこう。




「じゃ、出発するか」


 ガタガタと、荷車が動き出す。

 ラブロの手綱をオラヴィさんが握り、その隣にロニーさんが乗る。囲われた荷台の前の方に荷物が積まれ、それを押さえるように私とラナさんが座る布で包まれた藁や綿のクッションが積まれている。

 その布の色や柄は様々で、下になっているものほどボロい。むしろボロいから下にしてるんだけどね。


 コレが今の私たちの移動スタイル。

 時々、見通しの良いときは、ロニーさんも荷台に来る。

 冒険の話、次の町の話。


 でも、町中ではそうは行かない。

 ロニーさんもラナさんも前後左右に気を配る。


 私は基本後ろ向きなので、後ろから少し離れて付いてくる荷車がみえる……あ、角を曲がった。


 この道は荷車が通るように作られているので、歩く人は少ない。

 歩きの人は、お店の入り口が並ぶ表通りを行く。ここはお店に荷物を運ぶ裏通り。


 ちらっと前を見ると、慣れたように二人は荷車を進ませている。


 カチャカチャと、どこかで皿を洗う音がする。かたかたと棚に物を置く音、開け閉めする音。バタンと戸が閉まる音。

 あちこちからする、生活音と人の気配。


 こういうときに、私はこの異世界を現実だと強く感じる。


 けれど、嫌な圧力のようなものじゃない。懐かしさを伴う暖かい感触だった。

 誰かがいて、家族や友人、親しい人と生活を営む、愛おしい感覚。



 知らず口元がニンマリとしてしまう。


「ん? どうしたの、モモカちゃん」

「えへへ、なんでもないで~す」


 灰色の裏通りでワクワクするのは私ぐらいだろうか。


 これからこの世界が好きになっていけそうな、そんな予感がする。

お読みいただき、ありがとうございました。


前回、前々回の更新で、絶対ブクマも減るだろうなと覚悟していたのですが、そんなことはなく、

総合200pt突破しました! ありがとうございます。


とにかく完結をつけられるよう、がんばります。


誤字脱字その他、ご指摘いただければありがたいです。


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