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13.朝パンとナデナデ

 

 タイクの町の朝。


 今日は、メガネ探さなかったです! 

 一瞬探しかけたけど、探さなかったのでセーフです! 


『おはようございます、モモカ。只今5:30頃です』

「おはよ、ソフィア。起こしてくれてありがとう」


 前世で早起き苦手だったけれど、ソフィアのお陰でスッキリ起きることができました。

 これもスキル【テキパキ】の効果なのだそう。


 やはり【テキパキ】×ソフィアさんの組み合わせは最強(チート)だと思うのです。



 早起きしたのは、日の出頃に集合、と言われたから。

 昨日はナイクで荷物を配り終わり、荷台には私たちと座る場所以外なにも乗っていない状態でタイクに入った。

 タイクで配る分は、私の収納箱に入っている。

 受け渡して納品して回ったあと、次の町に出発する。かかる時間は半日近く。


 だから、私がいないと始まらないのです。前世だったら務まらなかったなぁ、この仕事! 


 でも、前の世界とは時間の感覚がちがうので……朝は日の出と共に起きて、夜は日の入りと共にしまう生活なので、生前ほどキツくはないのかもしれない。昨日も寝たの8時ごろだったし。あれ? 逆に寝すぎた?


 慌てて集合場所の食堂の入り口に行くと、当然のように3人とも集まっていた。


「おはようございます! 遅れてすみません」


 近づいて頭を下げると、ロニーさんの声が慌てたように降ってきた。


「おお、おはようモモカ! 全然遅れてないぞ。みんな今から食堂に入るところだしな」

「でも、起きたとき、ラナさん居なかったです」


 そう。昨夜私はラナさんと同室だった。が、夜明けごろに起きた時点で居なかったのだ。私より遅く寝たはずなのに。


「私は日がないうちから剣を振るうのが日課だもの。この中でも早い方よ」


 ラナさんが目線を合わせウィンクしてくれる。


「早い方ってか、オラヴィと変わらないってだけな。オラヴィはラブロの様子見なきゃならんし」

「ラブロ?」

「荷車を引っ張ってくれる従魔」


 ロニーさんは、食堂に入りながら言う。そして手招きする。


 そうか。あのモフモフのワンちゃん、ラブロって言う名前なんだ。結局昨日は毛並みを触らせて、って言えなかった。今日こそ撫でさせてもらうんだ。もふもふ。




 そして、食堂の空いている席に座って、揃って朝ごはんを食べることに。

 宿の朝ごはんは、パンと柑橘系の香りがするお茶、温野菜とベーコンみたいなお肉、そして、スープ。


 だいたい宿の朝ごはんというと、味は違えどこんな感じのメニューが多い。


 パンは、何かちょっと酸っぱさがあるけれど、よく異世界小説にある黒パンみたいに固くて食べられないなんてことはない。


 聞いてみると、なかなか小麦が手に入らなかったり、保存がうまくできない地域にはあるらしく、この辺りは朝から宿で焼いたり、パン職人から買ったりするものらしい。


「次の町には評判のパン職人がいるから、だいたいの宿はそこから買ってるようだ。目ぼしい職人が居なかったり、ここみたいに上手く焼ける料理人がいる場合は宿で作って出す。『パンが焼ける宿』は旨い飯を出す宿の証明でもあるんだ」


 なるほど、パン一つでもいろいろあるんだなぁ。


 はっ! オラヴィさんお肉おかわりしてる! やっぱりお肉好きなんだ……。って、ラナさんもおかわりしてる!! 


「ここのお肉は柔らかくて、味付けが好みなの。たぶん、パンに合わせてあるんだわ」


 なるほど、確かに濃いめの甘味がある味付けのお肉と交互に食べるとちょうどいい。

 けど朝から分厚いお肉2枚はむり。


 結局、他の3人はおかわりしたけど、私はせずにただキチンと食べ終えた。


 ごちそうさま、美味しかったです。




 ― * ― * ― * ― 



 荷物は、この町で配るぶんだけ。

 引っ張る側からすれば余計な荷物は負担になるだけ。

 荷台の上で、ロニーさんのリストを読み上げる声を聞きながら、ソフィアが出してくれた荷物を置いていく。


 ワンちゃん……ラブロの役に、こっそりたってるのかな?

 そんな風に思いながら、荷台の前にやってきた尻尾を見る。


 指定された荷物を、荷台で出し終わった直後、ソフィアが言った。


『モモカ、今じゃないですか?』


 今? なにが……あ!! 


「オラヴィさん!」


 ワンちゃんと荷台を繋ぐ作業をしているオラヴィさんに話しかけると、こちらを見て、少し目を細める。


 あ、邪魔しちゃった……かな……。


「どうしたの? モモカちゃん。オラヴィに質問?」


 

 ラナさんが、ラブロの向こう側から尋ねてくる。

 荷台に乗ると、いつもは見上げるラナさんと目線が同じになるのに気付いた。


 少し、落ち着く。


 オラヴィさんは、こちらを向いて私の言葉を待ってくれている。別に邪魔じゃなかったみたい。


 深呼吸をひとつ。大丈夫。



「あの……ラブロちゃんを、撫でていいですか?」



 ……。


 言ってから気がついたけど、こんな大がかりな雰囲気で言うことじゃない! 


 顔が真っ赤になっている自覚がある。



 けれど、そのあとの出来ごとの方がよほどだった。



「いいよ」



 そう言って笑ったオラヴィさんの笑顔はとても綺麗だった。


 私の顔は限界突破。

 茹でダコよりも真っ赤に茹で上がって、目を回して倒れてしまい。



 ラブロを撫でる機会が、また今度になってしまった。



 美形さんの全力笑顔は凶器です。


昨日はちょっと誤字脱字機能を初めて使いました! 自分の作品コレで! 

便利ですね! 読みかえしながら違和感のあったところをピックアップできるのがいいですね! 


ぜひご活用戴けたらと思います。


今回もお読みいただきありがとうございました。

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