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12.美味しいごはんと翻訳

 

 ナイクに着いたのはお昼過ぎ。

 屋台でお昼ごはんを買ってから、荷物を配達しようと言う話になった。


「嫌いなものはあるか?」


 そう聞かれてはっとした。

 私の偏食はおかしいのだ。同じキノコでも好きなものと嫌いなものがあるし、魚は生はダメでも煮たもの焼いたものは大好き。


 ……これをどう伝えればいいのやら。前の世界でも迷ったなぁ。


『モモカ、この辺りで魚を生で食べる習慣はありません。辛いものは苦手だと伝えてください』


 辛いもの! それだー! 


「あの、辛いものは苦手です。ちょっとなら大丈夫ですけど……」

「あー、じゃあアレはダメだな。ということはあっちかなー」


 ロニーさんがメニューの算段をしてくれているところ、ラナさんが呆れた顔でツッコんだ。


「ロニー、モモカちゃんにアレ食べさせる気だったの? ダメに決まってるでしょ」


 私は首をかしげる。


「ロニーは辛党なの。しかもけっこう過激なね。『ロールサンド』はどうかしら。私のオススメがあるのよ」


 あ、何か今、翻訳が入った気がする。実際にはちょっとちがうのかも。聞いてみよう。


「それって、ロールパンで具を挟むやつですか? それとも薄くスライスしたパンで巻くやつ?」

「パン? いえ、焼いたふわふわの小麦生地でいろんな具材を巻いたやつよ。ああ、でも確かに薄い白パンみたいよね」


 パンじゃなかった! ソフィアから『見た目』と注釈。でもなんかそれ、ちがう料理名でありそうなんだけど。

 まぁいいか。


「もしかして、いろいろ具材選べちゃうやつですか? だったら選んでみたいです!」


 ダメそうなのを避けて巻いてもらおう!


「あら? そうよね! 選ぶのが楽しいのよね! よし、ねぇ、私たちで買ってきていい?」


 なんだかウキウキしてきたラナさん。後半はロニーさんに話しかける。


「わかった。あの辺りに停めておくよ」

「わかったわ。ロニーはチリソース入り、オラヴィは肉多めで良いわね?」


 返事は聞かずに、そのまま移動し始めるラナさん。その手に繋がれ、そのまま連れ出された私の視界に、笑顔で手を振る男性二人が映った。


 ラナさんに連れられてきた屋台で『ロールサンド』っぽいのを購入。

 確かに見た目はロールサンド! 四角く白いふわふわの小麦生地に、具材はひき肉と、千切りのニンジンとキュウリと豆を、甘辛いソースと一緒にレタスで巻いてもらったもの。ちなみに野菜はすべて、『っぽい』ものです。

 トルティーヤ? でも生地が分厚く軟らかいからか、食感はパンで巻いたものの方が近いかな。


「美味しかったです♪」

「良かった。選ぶのも楽しかったわね♪」

「はい!」


 実はオラヴィさんのは、せっかくだからと3種の肉をたっぷり挟んでもらった、肉ニク肉サンドに。

 ロニーさんのは、「辛さで味なんてわからなくなるんじゃ?」という疑問から、目隠しして選んだ具材に唐辛子の粉をさらに追加してもらったチリソースをかけてもらって、激辛謎サンドにしました。


 店主に「誰かの罰ゲーム?」などと言われたそれをロニーさんは「ナニコレ、ウマイッッ!」と平らげていました。

 私とラナさんが、なんとも言えない顔をしていたのは言うまでもない。

 オラヴィさんには、大満足してもらったことも、言うまでもない。



 それにしても……日本ほどじゃない、とか言いながら、けっこう料理が豊富だなぁ。


『日本ほどは、素材の改良は進んでいませんよ。香辛料は、ダンジョンのお陰で豊富です。そのせいかもしれませんね』


 ダンジョン! ファンタジーきたー! 

 うん、でもよくわかった。ここってご都合ファンタジーな世界なのね。

 なら、そういうもんだ、で流しておこう。味噌と醤油がないあたりはご都合から外れてるけど。やっぱり謎だ。




 ― * ― * ― * ― 



 昼食を食べながら移動したので、ナイクで寄る3件は昼下がりに終わり、予定通り次の町・タイクに移動してから宿をとることになった。


 ナイクからタイクまでは、約2時間。

 ここまでの3ヶ所は、比較的近い場所にあるため、だいたい一気に回るのが通例なのだそう。


 そこから先は四半日から丸一日までかかるところまで様々。


 そちらには魔物が出ることもあるので、ラナさんの出番があるかもとのこと。

 いやいや、充分いろいろ助けてもらってますよ、私。危ないことする必要あります?

 ああ、でも彼女は護衛で元冒険者。戦う必要はない、何て言ったら不快かも。


「ラナさんが怪我するの嫌です。怪我しないでくださいね」


 そう言うだけにとどめました。


「ああ、ホントにモモカは可愛いわぁ! 癒される、ってこういうことなのね」


 なんかスッゴい撫でられまくりました。

 ラナさんって鎧で押さえ込まれてるけど、けっこう胸大きいですね?

 私は……うん、生前通り、程よい大きさです。ミロのヴィーナスと同じ大きさ。やっほい。


 カタカタと、荷車からあまり降りないまま、一日が終わりました。

 寝転んだり、クッションを改良したり、いろいろできるから助かります。



 

お読みいただきありがとうございました。


ごはん美味しいタグが回収出来ているでしょうか?


誤字脱字ありましたら教えていただけると有り難いです。


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